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セカンダリー市場への、小さな一歩


私のTwitterやblog等ご覧の方はご存じだと思うが、私は18年半ギャラリーを運営してきた。


以前公開して、大反響をいただいたこの記事。



日本のアート作品が広まらない原因として、作品の手離しづらさ、また、手離す際に作家に一銭も入らないことなどを挙げた。


日本では、アート作品のセカンドオーナー制度(※セカンダリーマーケット)がきちんと整っていない。


歴史の浅い創作人形に関しては、特にそうだと感じている。


実は、海外には追及権というものがある。
こちらの美術手帖の記事を読むとわかりやすい。


追及権とは、簡単に説明すると、
作品を何回売られても、その都度作家にお金が入る仕組みの事だ。


国や販売価格によって、その都度入るパーセンテージは細かく決められている。


日本には、これが無い。


なので、創作人形などの一点ものを手離す際に、
誰が買ったものかバレてしまう上に、
一度手元を離れた作品が高値になったとしても、作家には一銭も入らない。

このことにより、セカンドオーナーを嫌う作家も多いのだと思っている。


国に決まり事がないのでと、ただ手をこまねいていても、何も進展しない。



本当に限りなく小さな一歩だが、実は先月から当ギャラリーでは、単独でこれをスタートさせた。


私の元にはお年を召した昔の顧客さまから、作家名も無い状態でお人形が送られてくる事がある。

その場合、作家さまにご連絡し、セカンドオーナー探しをさせていただくと言うことをお話しさせていただき、
また、定価をお伺いしたりして、販売価格を決めさせていただいている。


そして先月から、販売価格(本体価格)から数%を作家さまにお支払いする取り組みをスタートさせた。


ご遠慮される作家さまが殆どだが、
私のチャレンジとして受け取ってほしい、と話をすると受け取ってくださるようになった。


追及権が無い中での私のこのチャレンジは、本当に小さすぎるほど小さなムーブメントだと思う。
でも、誰もやらないなら自分がやるしかない、と思い至った。

セカンドオーナーとして売れた時にも、作家さまにお金が入る。

この動きにより、売る側の罪悪感も薄くなり、作家のセカンドオーナー販売を見る目も変わってくると思ったからだ。

このことで、セカンドオーナー(セカンダリー市場)を少しでも円滑にし、アート作品を後世に残し、世界に広めてゆきたい。

尚、このチャレンジを受けてくださった作家さまは、
セカンドオーナーが購入した作品も、今後もメンテナンスして下さると言ってくださり、本当に嬉しい瞬間だった。


ギャラリー側としては、普段払わないお金を払うことで利益が減る上に、作家との交渉、振込みなど、作業量は増える。

日本には追及権がないので、そんな支払い項目が無いことから、担当税理士にも無理を言ってやらせていただいている。



それでもこれは、私がやりたかったことのひとつなのだ。


今現在は「快くセカンダリー販売を受けてくださった作家さまへの謝礼金」が近い状態だと言える。



日本のアート作品、創作人形は、本当にレベルが高い。
現在海外にもコレクターが増えてきている。

それがなぜ広まらないかを考察し、上に貼った記事で書いた。



作家とっても、手離す側にとっても、新たに買う側にとっても、ほんの少しでもセカンドオーナーに対する気持ちがほぐれたらと願っている。


まだ踏み出したばかりで、今後改善すべき点など沢山山積みになると思っているが、その都度学んで改良してゆくつもりだ。


読んでくださりありがとうございます。


※トップ画像は、20年前私の母がセカンドオーナーで購入した、浮津麗さん作の創作人形。
母はこの子をとても大切にしていました。

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