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嗚呼フタモッチ

狛江スリムでは、雪平鍋の他にストウブをよく使っていました。煮込み料理はもちろんですが、ビリヤニを炊く上でも鍋全体に熱がよく周り、少量でも状態よく炊けるのがとても助かっていました。

こういった鋳物ホーロー鍋は他にもバリエーションがあり、料理を楽に美味しくしてくれるのに抜群の性能を発揮してくれます。しかし、実際の調理シーンで意外に取り回しに苦労するのが蓋。重量もあり、しかも熱いので置き場を選びます。内側は食品に面しているので衛生的にも気を使います。

こうした悩みは一般的なため、メーカーでも純正のリッドホルダーを販売しています。ロゴが入って可愛いのですが、本体の掴み手に差し込む形になっているため、鍋蓋単体でうまく置くことはできません。また、蓋のノッチをすくい取って持ち手を鍋本体に差し込むので、気をつけないと熱いです。

他にも鍋置きというのは色々と売っていますが、デザイン性に欠いたり、置き場が予想以上に必要だったり、なかなか痒いところに手がとどく物が見当たりません。しかしそんな中、抜群の製品に出会いました。その名もFutamotti(フタモッチ)と言います。

これは、熱い状態の蓋を持ち上げたり、そのまま立てかけたりできるようになる優れもので、蓋の置き場だけでなくミトンの代わりも同時にこなしてくれます。サイズも蓋より小さいので、収納時には鍋の上にちょこんと置くなり、鍋の中に入れてしまうなりが可能です。(もちろん、鍋サイズにもよりますが)

鋳物ホーロー鍋の悩みのさえたるものを一気に解決してくれる超優等生なのですが、ここで気になるのが価格。このちょっとした工夫の木工品が、メーカー純正のリッドホルダー以上のお値段がしてしまうのです。

形が分かれば理屈は簡単なので、いっそ自作してしまうことも考えました。しかし持ち手の部分の削りやら、重い蓋を取り扱う上での強度面なども考え出すと結構な手間です。数日間悩んだ末、結局目を瞑ってエイヤと購入してしまいました。

効果はてきめんでした。ストウブを使うときにはいつもかたわらにフタモッチをスタンバイさせておき、蓋を持ち上げるときにも、蓋を外して置いておくときにもさっと利用します。しっかり引っかかっていてくれるので、ノブだけミトンで掴むよりも安定感があり、熱くて重い蓋を楽にホールドできるのです。

使い慣れてしまうと、フタモッチがない状態に戻るのが難しいくらいに勝手が良く、やはり当初は金額に抵抗していたもう一人の店主連も最後には陥落。晴れてフタモッチャーがさらに生まれることになりました。

言ってみれば「なんて事のない木切れ」なのですが、これがあるだけで料理の楽しさすら変わります。言い方を変えると、「鋳物ホーロー鍋良いんだけど、ちょっと蓋の取り回しがなぁ」という口に出しにくい悩みをかなりの部分で消し去ってくれます。どうしてメーカーが純正でこれを出してくれないんだろうと思うくらいに、素晴らしい鍋の相棒でした。

小さな工房の製品らしいので、少し高めになるのも仕方ないのかもしれません。いつかメーカーからもライセンスされるようなことがあれば、世界中で喜ぶ人がいるのではないかなぁと思いながら、今日もフタモッチを使っています。

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