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近未来な江戸 隅田川と野見宿禰(のみすくね)神社

宿禰(すくね)という文字を見た時、呪術廻戦の宿儺(すくな)と空目した。一度浮かんだイメージは消えず、伏魔御厨子のような形の神社を勝手に期待し、秋のご機嫌な週末狛犬狩りに。
両国駅から徒歩10分もかからない。途中の甘い芳しいチャイの香りや江戸情緒あふれるちゃんこやに後髪引かれながら進む。相撲のない国技館は閑散としており、街路樹の並ぶ裏路地歩きをまったり楽しめる。
社殿は当然伏魔御厨子のような物騒なものではなく、手入れの行き届いたお雛様めいたコンパクトなものだった。

相撲協会が東京場所の際にはお参りを欠かさないらしく、狛犬もモダンで現代的な佇まい。

神社の名前となっている野見宿禰は、古墳時代の豪族で、殉死の代わりに埴輪を提案したとされ、相撲の神様として崇められてきた。相撲で当麻蹴速(たいまのけはや)に勝ち、奈良の領地を手に入れたとされている。宿禰が手に入れた奈良の領地。筆者のきなこがひと目見たいのに常に展覧会に出張中でお目にかかれない「当麻曼荼羅」を所蔵する当麻寺の地だから因果なものだ。古墳時代の殉死と言えば、なぜか手塚治虫の火の鳥を思い出す。

境内に昭和に入ってからの歴代横綱の名を刻んだ石碑。力士の名前は日本の山や海、神話の生き物の名前あり。

せっかくだからスカイツリーを眺め隅田川沿いの遊歩道も歩く。潮に流されたクラゲの群れが紅葉と一緒になってのんびりと浮かぶ。屋形船も数隻出ている。釣り糸を垂れる人もいて、聞けばスズキや鯛が釣れるという。

浅草と人口密度が全く違い、人間よりもクラゲの数の方が多いかもしれない隅田川であった。

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