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アジア紀行~カンボジア・アンコール遺跡の旅④~


シェムリアップ2日目

昨日はいきなりのアンコールワット見学で圧倒され、夜はあっという間に眠ってしまった。今朝は7時前に目覚め、出かける用意をしてからレストランに行く。アメリカンスタイルの朝食が4ドル。トースト・ハムエッグと飲み物はコーヒーとジュース。
バイクタクシーのキーさんとの今日の約束は8時だ。間もなくカンボジアの濃い1日が始まる。
キーさんは予定通り午前8時きっかりにホテルの前にやって来た。午前中の目的地は、シェムリアップの南にあるトンレサップ湖だ。


トンレサップ湖


トンレサップ湖は東南アジア最大の湖で、クメール語の「巨大な淡水湖」(sap)と「川」(tonlé)という言葉が組み合わさっている。この湖は「伸縮する湖」として有名だ。乾季の面積は2500㎢(これでも琵琶湖の4倍はある)、水深も1m程度だが、雨季には面積が約6倍の16000㎢ まで拡大し、深度も10mになる。
当然ながら漁業が盛んだが、このように水量が不安定なために湖畔に定住することができず、人々はやがて湖上で生活するようになった。

私が訪れた7月は雨季だが、湖はまだシェムリアップの町から離れていた。キーさんが運転するバイクに乗って、シェムリアップ川沿いの道を30分ほど走る。道の両側の建物はほとんどが高床式で、川にせり出して建てられているものもある。やがて一面に草地が拡がるところに出る。水田だろうか。景色を眺めているうちに、トンレサップ湖に到着した。

バイクを置いて、岸辺に停泊していた船に乗り込む。たぶん10人ぐらいを乗せて湖に出る観光用の船だと思われるが、乗ったのは私とキーさんの2人で、あとは船を操縦する若者だけだ。いわば貸し切りである。料金がどうなっているのか、わからない。

しばらく幅の広い水路のようなところを進む。両側に水上生活をしている人々の家や姿が間近に見える。船の上に家があるものと、木を組んで作った大きな筏の上の家もある。



なんと学校も水上にある。病院やレストランもあるようだ。

水の上が彼らの道路であり、生きる糧を得る場であり、生活そのものである。炊事洗濯も水浴もトイレも、すべて同じ湖の水を使う。




水の上で豚を飼育しているのには驚いた。

子供たちが水の中ではしゃいでいる。彼らの遊び場も、もちろんこの湖だ。


引っ越しだって簡単にできる。船が家を牽引している。どこまで行くのだろうか。


私たちの乗った船はやがて湖のひらけたところまでやって来て、そこでUターンした。湖をさらに南に下っていけば、その先は、カンボジアの首都プノンペンだ。プノンペンからスピードボートでシェムリアップに入るルートもあるそうだ。
Uターンした船は、しばらく走った後、一艘の家船に立ち寄った。この船は、ナマズのような魚を養殖したり、ハゲたコウノトリのような鳥を飼ったりしている。


鍋がいっぱいある。竈らしきものもあった。



トイレもあった。「モノ」はそのまま湖に落ちていく。


キーさんが、この船にいる男性に、30ドル支払えという。トンレサップ湖のツアー代金だ。私たちが乗った船はこの男性の持ち船のようだ。それにしても唐突だし、30ドルは高いと思う。料金は先に伝えておくべきではないかと、キーさんに抗議する。しかし、これが彼らの相場なのかと思うと、どうしようもない。言われたとおり払うしかなさそうだ。まだ船の上だし・・・。

異国の人々の珍しい暮らしや景色を見てきた興奮が一度に冷めてしまう。船着き場に戻ると、建設中の家があった。これが筏に乗せられて、湖に浮かぶのだ。

子どもたちも遊んでいる。やはり地面の上のほうが自由に遊べるだろうな。



午前の部はこれで切り上げてホテルに戻る。帰りのバイクは、ちょっと気まずかった。
ホテルに到着してキーさんと別れて、まずシャワーを浴びる。いやな気分も水といっしょに流れていく。ベッドに横になると、突然眠気が襲ってくる。昼ご飯をどうしようかと頭のすみで考えながら、しばらくウトウトする。午後の部は2時半ホテル前と、キーさんと約束してあったので、脱力状態で1時間ほどが過ぎていった。

ふと気がついて時計を見ると2時だった。なにも食べないのもよくないので、ホテルの1階にあるレストランでサンドイッチを食べる。
午後の部の行き先は、待望のバイヨン寺院だ。写真でしか知らない巨大な人面の塔を実際に見ることができる。

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