見出し画像

アジア紀行~ベトナム・フエ③~

フエ・ボートツアー Uターン

ベトナム最後の王朝、阮朝の帝廟を訪れるツアーもあとわずか。
一行の乗ったボートはミンマン帝廟を後にして、フォン川を下り始めた。

午前中に上陸したカイディン帝廟やトゥドゥック帝廟の船着き場を過ぎ、川幅も少しずつ広くなっていく。
左手に寺院の美しい塔が見えてきた。往路でも右手に見えていたが、その時は通り過ぎただけだった。今回はそのすぐ近くに着岸する。ティエンムー寺院という古いお寺だ。

ティエンムー寺院(Chùa Thiên Mụ)

ティエンムー寺院は1601年に建立された、フエで最も古く美しい寺院だ。ティエンは「天」、ムーは「姥」を意味するそうだ。この寺の創建にはこんな言い伝えがある。

阮朝の祖先にあたる広南朝の太祖グエン・ホアンは、国を開くためにこの地を訪れた際、村民からある伝承を聞いた。その伝説では、ある夜に赤い衣と緑色の裾を着た一人の老婆が丘の上に現れ、人々に「いつかここに真の主がやって来て、霊気と龍脈をあつめ強力な国をつくるために、寺を建てるであろう。」と語ったという。これを聞いたグエン・ホアンは、民衆の願いを叶えることができるように、また慶事の知らせに感謝をして、フォン川に面する丘の上に寺を建て、「天姥(ティエンムー)寺」と名付けた。

この寺院の見どころは、なんと言っても七層八角形の美しい塔である。塔の名前は「トゥニャン塔」という。「トゥニャン」とは「慈悲」という意味らしい。

塔の高さは21mある。各階には、過去七仏(釈迦如来までに登場した7人の仏陀)の坐像が安置されているという。

この寺院が、今回のボートツアー最後の見学地になった。名残惜しい気持ちと疲労を引きずりながら船着き場に戻る。

ボートはフエ市街の船着き場を目指して、ゆっくりと進む。上流を振り返ると、絵のような風景が広がっていた。

ボートツアー終了

午後3時45分、元の船着き場に到着。出発したのが今朝の8時半だったから、7時間余りのボートツアー
だった。これで料金2ドルというのはかなり安い。しかし、実際は船着き場で待ち受けているバイクに乗らなければ帝廟に行けなかったり、それぞれで入場料が必要だったりしたので、それなりの出費はあった。

暑さでのどがカラカラになる。手持ちのミネラルウォーターもすぐになくなってしまう。ツアーでいっしょになった大阪市大の院生の2人を誘って、アイスクリームを食べようということになった。フォン川沿いに並ぶ店の一軒に入り、それぞれダブルで2種類のアイスをコーンに盛ってもらう。甘いけれども、冷たくておいしい。しばし暑さを忘れて幸せな気分になる。
フンヴォン通りまでいっしょに歩き、互いの旅の無事と幸運を祈って別れる。帰り道で1.5リットルのミネラルウォーターを買って、ホテルに戻る。

シャワーを浴び、ベッドに横になると、力が抜けていくのがわかる。いつの間にか時間が過ぎていく。窓の外がオレンジ色に染まっていく。

すっかり日が暮れた午後8時。くたびれているせいか食欲はないが、何か食べておかないといけない。フエに着いた日に行ったマンダリン・カフェに再び行く。ここには欧米の旅行者がいっぱい集まってくる。周囲を見るとビールを飲んでいる客が多いので、自分も注文する。
 サイゴンビール 6,000ドン
 ヌードルスープ 3,000ドン
 フライドポテト 3,000ドン
合わせて12,000ドンは、日本円で100円ぐらいだから、とんでもなく安い。たったビール1本のアルコールがからだを巡っていく。早くホテルに戻って横になりたい気分・・・。
今日もまた、濃密な一日が過ぎていく。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?