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大阪市の神社と狛犬 ❿城東区⑥八坂神社~世代を超えた阿吽の狛犬~

大阪市城東区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。城東区は、その名前が示すように大阪城の東に位置し、東西に寝屋川と第2寝屋川が流れ、南北に城北川や平野川が通じるなど、河川が多いのが特徴です。区内には住宅地が多く、人口密度は大阪24行政区の中の1位です。

城東区には神社が9社あります。神社庁に登録された8社と、天王田の八坂神社です。中浜の東本稲荷神社は小社で狛犬もいないので、このnoteではそれ以外の8社について紹介したいと思います。
今回は天王田の八坂神社です。この神社は神社庁には登録されていません。八劔神社の南東、ほど近い所に鎮座します。JR学研都市線・おおさか東線・大阪メトロ今里筋線各「鴫野」駅からは約800mほどです。

八坂神社

■所在地 〒536-0012 大阪市城東区天王田10-19
■主祭神 素盞嗚命 
■由緒  創建は明らかではないが、京都の八坂神社の祭神を勧請して、当地天王田てんのうでんの氏神として信仰されていた。明治末期からの神社合併政策により、大正4年(1915)に八劔神社に合祀されたあと、神社の跡地は長い間荒れ放題だったが、地元の人々の強い懇願により、昭和55年(1980)に元の場所に再建された。

八坂神社拝殿と狛犬

狛犬1(阿)

■奉献年 昭和56年11月奉納(1981)天王田クラブ 
■石工  不明
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

昭和56年奉納の阿形狛犬

狛犬1(吽)

■奉献年 不明 
■石工  不明
■材質  砂岩
■設置  拝殿前

砂岩製の浪速狛犬(吽形)
砂岩製の浪速狛犬(吽形)

拝殿前に一対の狛犬が安置されているが、左右の制作時期はまったく異なる。由緒のところでも書いたが、明治末期の神社合併政策により、当社は大正4年(1915)に近くの八劔神社に合祀されてしまった。

合祀碑

その後、神社の跡地は荒廃してしまったというが、この吽形狛犬もその被害にあったのだろうか。頭部が扁平に見えるのは、目の辺りから上がすっぱりとなくなっているからである。後方から見ると、そのことがよくわかる。

砂岩製の浪速狛犬(吽形後ろ姿)
砂岩製の浪速狛犬(吽形後ろ姿)

第二台座から下の基壇部が新しいものになっているので、奉献年などはわからないが、江戸時代の浪速狛犬であることは間違いない。横にある立て札によると、失せ物発見の霊験があるとのことだ。
吽形狛犬は、損傷があるものの何とか残ったが、阿形狛犬は見当たらない。そのため、昭和55年の八坂神社復興の翌年、神社が整備されたときに、新しい阿形狛犬が相方として奉納される。それが現在の花崗岩製狛犬である。
阿吽のスタイルの差が大きいが、40年以上こうして仲良く神様をお守りしているのですね。

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