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黄色い花


春の花は黄色い?

春に咲く花は黄色いものが多い? 赤も白も、桃も紫も、色とりどりの花が一斉に咲いている。桜の季節はほぼ終わってしまったが、あの薄桃色のはかないような美しさが、春の色を代表していると言えなくもない。

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

平安時代の古典の世界では、「花」といえば「桜」を指す。都に咲く桜の花は薄緑の柳と調和して、美しい錦の世界を織りなす。

見渡せば 柳桜を こきまぜて 都ぞ春の 錦なりける




しかし、町に出て、やはり目立つのは黄色い花だろう。

4月のある一日。最寄りの駅まで自転車で出かけた。いつも通る山田川沿いの狭い道。陽の当たる南向きの庭に、鮮やかな黄色の花がいっぱい咲いている。たぶん〈ガザニア〉だろう。




そこからしばらく行くと、須佐之男命神社がある。狭い駐車場の傍らに黄色い花がいっぱい咲いている。〈オオキバナカタバミ〉だ。花弁は5枚、葉はハート型でかわいい。


これで黄色い花2つ。確か駅の手前に、〈モッコウバラ〉の垣根の家があったはずだ。きっと今頃が満開ではないだろうか。わずかな記憶をあてにして探してみる。あった!


これで3つ。まだまだありそうだが、もう駅はすぐそこだ。帰宅したら、近くの公園に行ってみようと思う。



ということで、帰宅後、自転車で近くの「ジャブジャブ池公園」に行く。「ジャブジャブ池」というのは子どもたちが勝手につけた呼び名で、本当は「市場池公園」という。ここには市民花壇のようなものがあって、四季折々の花を咲かせている。

まずは〈パンジー〉。ほかにもいろんな色があるけれど、やはり黄色は目立っている。


次は〈キンセンカ〉。漢字では「金盞花」と書き、薬草だとか。別名〈カレンデュラ〉ともいう。濃い黄色で、オレンジ色に近いものもある。


フリージア〉も発見。これもいろんな色があるらしい。白や紅色や紫もみかけることがある。



そして忘れてはならないのが、〈チュ-リップ〉だ。

さいた さいた チューリップの 花が
ならんだ ならんだ 赤 白 黄色
どの花みても きれいだな  ♪




まだまだ黄色い花はありそうだけど・・・。
そうだ、我が家にも垣根に〈カロライナジャスミン〉の黄色い花がいっぱい咲いていた。


タンポポ〉も忘れてはならない。公園や道端を注意して見れば、必ず咲いている。たぶんセイヨウタンポポだろう。



〈タンポポ〉という名前は、かわいくて好き。タンポポの名前の由来については諸説あるそうだが、その一つは、その形から「ツヅミグサ」という古名があり、鼓を打つ「タン・ポン・ポン」という音からタンポポになったという。


黄色い花が多いのはなぜ?

こうして春の花を見ていると、黄色い花が多いことは間違いないだろう。
では、なぜ黄色い花が多いのか。「黄色」という色が、その植物にとってきっと都合がいいのだろう。植物にとって都合がいいとしたら、それはただ一つ、「生き残り」である。
花は普通受粉することによって子孫を残していくが、花粉を媒介してくれるのは、風や虫や鳥である。中でも虫媒花がもっとも多い。「黄色」は虫にとって魅力的な色なんだろう。
調べてみると、次のようなことがわかった。

ヒトと昆虫では、識別できる光の波長が異なる。ヒトの眼が感じることができる光は、色で表すと紫、藍、青、緑、黄、橙、赤、である。一方ミツバチやアブなどの昆虫は、赤や橙は見えず、その代わり紫外線を見分けることができる。黄色も実際は青っぽく見えているらしいが、昆虫にとっては目立つ色で見つけやすいようだ。


黄色い花、まだまだありそうだけど、本日はこれまで。
日本は四季の国だけど、春は短そうだ。まだ4月だというのに、夏を思わせる日がある。花たちも、開花の時期を戸惑っているのではなかろうか。





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