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熊本の土木公務員が税金を滞納するひとを追い詰める話

おはようございます。
公務員でも税金は納めてる小松です。

長男が二十歳になるので、もうかれこれ21年前の話ですが、県庁に入って道路や橋をつくる仕事をしてたら税金を徴収する業務にまわされました。県税事務所収税一課という部署です。

土木の技術屋さんだけど税金を使うばかりでなく税金を取る側の仕事も経験しなさいという人事上の背景があったようです。
当の本人は、税金を滞納してる人って怖い人が多いのでは?という先入観があったのですが全く違いました。

滞納者は99%いい人でした。
そのうち半分は噓つきでした。(笑)

税金を滞納してる人を大別すると、払えない人と払わない人がいます。
大半は払えない人です。
財産調査しても金銭価値のあるようなものは何もでてきません。
ほとんどの税目は自動車税なので自動車を所有するくらいなら税金を払う資力、担税力はありそうですが、そうでもないのが実情でした。


滞納処分という仕事

まずは納税期限をすぎていることを相手に伝えて、税金を約束の日まで納税しないと滞納処分することを警告します。
この「滞納処分」という聞きなれない言葉ですが、要するに財産差押ってやつです。
実は法律上は「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、財産を差押えなければならない。」と規定されてます。
なので、自動車税は大半が3万~4万くらいの税額で8月くらいには督促状が発行されて、大半は9月までに財産差押えを実行しなければなりません。

そんなことは実際の業務上は無理なので電話で催告することが多くなります。

滞納者は嘘つきばかり

督促状がでたあと電話したり差押え予告書なるものを郵送してたりしてると徐々に滞納者は減っていくのですが、仕事の相手がだんだん嘘つきと行方不明者に限定されてきます。

何度も払ってもらう約束を破るような滞納者の方には実家に電話したり職場に電話したりします。
ここでトラブルこともしばしばありましたが、ちゃんと納税してる人からすると前述したとおり法律上は財産差押さえないと職務怠慢になります。

財産調査し滞納処分へ

どうしても払ってくれないなら銀行預金や郵便貯金、給与、保険など財産調査して金額が滞納してる税額に見合う額であれば一定の手続きをして差し押さえて強制的に税金へ充当します。
この時に裁判所にいって手続きして、うんぬんと考える人もいますが、そんな面倒なことは必要ありません。

銀行預金であれば役所内の上司との相談のあと、身分を証明するものと私印を押印したペライチの紙をもって口座がある銀行に出向きます。
銀行の方も一定の知識がある担当者が対応してくれるので10分程度で現金で引き出されます。一般的な業務ではなかなか経験することはありません。


最近の滞納処分

当時は滞納者の自宅に突撃したら背中にタトゥーが入った若者がでてきたり怖いこともありましが、いい経験でした。
とくに不動産取得税や個人事業税など税金の種類や仕組みを勉強できたのは貴重な学びとなりました。日本では税金の勉強科目はありませんよね。

最近は、個人の所有物に目をつけて花瓶やスパナなど動産として差押えてヤフーオークションで売却してたりするみたいです。
当時の職場の上司に教えられたのが、税金の徴収業務は「取る」「押さえる」「あきらめる」の三つしかない、ということでした。

毎月の進捗を営業成績のように担当者ごとに把握して自分の頑張り具合が相対的に分かるのが私の性格にはピッタリ合ってました。
徒競走でも受験戦争でもなんでも競争が好きみたいですね、私は。

以上、また明日。

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