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「女性活躍」という言葉が、いつか無くなる日。

昨日、庁内で始まった検討会を傍聴した。
役所の検討会は、民間等の有識者や学識経験者の方々に委員として参画いただき数回にわたって議論、最終的に政策提言をまとめていただくというもの。うちの庁内だけでも、年間を通じて何本もの検討会が走る。

私たちは、そのようにまとめていただいた提言をもとに、新たな政策立案をしたり、それに関連する予算折衝を行ったりする。

今回のテーマは、「観光分野における女性活躍推進」について。

その中で、私はある委員の言葉にハッとした。


✔︎「観光分野で女性がたくさん働くようになって、結果的に管理職も増えました」が、この検討会の出口にならないように。
✔︎女性らしい =きめ細やかなサービスや仕事ができる=観光に向いてる という考えは違う。


本当にその通りだなと思った。
男女の区別無く、多様な人たちが働きやすく、誰しもが活躍できる社会の創造が根底になくてはいけない。
そこがブレたまま議論が進んでいくと、きっとおかしなアウトプットになるだろう。そんな風に思った。


実際、観光分野の現状はどうなのか?

宿泊業、旅行業、ガイド、地域づくり等。
いわゆる観光産業は比較的、女性比率が高い業種だと思う。それはある程度データでも立証されている(※後日、資料公開と併せてエビデンスを掲載したいと思います)。

また、現場最前線からマネジメントまで、それぞれの業務内容も働き方も多岐にわたるし、ある意味、懐の深い産業と言えるかも知れない。 

一方で、待遇面、給与水準、生産性の低さ、定着率の低さなど、それそこ男女関係なく、働く環境としては、まだまだ課題も山積している。

そんな観光分野を土台に、こういった議論が始まり、異業種も含め社会全体でお手本となるようなモデルが、この観光分野から生まれるとおもしろいし、観光にはその素地があるとも思う。で、あるからこその期待も。


旅することも、働くことも、全て同じ。

また、女性活躍の議論はユニバーサルツーリズム(以下、UT)にも通じるものを感じた。
UTは誰もが快適に楽しめる旅行を指す。
とかく、スロープを設置したり、間口を広げたり、などといったハード面での取組といったイメージがあるけれど、決してそうではない。

ユニバーサルツーリズムとは?


universal designのプロダクトが誰にでも使いやすいように、誰しもが旅を楽しめる仕組みや環境を創ること。それがUTの考え方。

今回の議論の根底には、そのような考え方が流れていて欲しいと思う。

日本人も海外の方も、障害の有無も、老若男女問わず。誰かや、何かを特別に扱うのではなくて、みんなが分け隔てなく旅を楽しめること。

そう、働くことだって同義だ。

今回、検討会の名前に据えられている「女性活躍」という言葉も、その境界すらもいつか無くなって、個人として一人一人が必要とされたり、活躍できたり、その上で共創できたり。そんな日が来るだろうし、この検討会がその扉を開けるきっかけになれば素敵だなぁと思った。

産業政策は、とても興味深い。
引き続き、この検討会に伴走していこうと思う。


✴︎観光分野における女性活躍推進に向けた検討会

※近日、配布資料等を公表予定。

※検討会は、年度末に向けて複数回開催予定。