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出戻り

大学院を中退したのは2016年8月の暑い日。
名古屋の夏は大阪と同じくらい暑くて、その暑さにも嫌気がさしてたとき。
私の体や心も大学院に嫌気がさしていた。

4月に入学してわずか3か月ちょっとだったけど、
地獄に片足を突っ込んだような生活をしてました。

膣炎・膀胱炎・脱毛、片足が急に痛みで動かなくなったり、頭痛や肌荒れもひどかった。
学校よりも病院に居る方が実は長いんじゃないかな?
って思うくらいに頻繁に通ってました。

一番辛かったのは髪の毛が抜けたこと。
それも何と表現したらいいんだろう…。
ガムとか歯磨き粉に入っている「キシリトール」
あれが頭全体に塗られたような感覚になったら、抜ける合図。
スーってミントを塗られた後に髪の毛がどっさーって落ちるんだ。
何も引っ張っていないのに、何もしていないのに。

枕に頭を置いていたらその瞬間20本以上抜ける。
ドライヤーをしたらそれ以上で、もっと抜ける。
目の前で髪の毛が突然たくさん抜けるって恐怖でしかなかった。


その時は怖くてすぐに家の近くの皮膚科に行くと、優しそうな女医さんが診察してくれた。
「スーって頭皮がして、髪の毛が抜けたという女性は実際に5人ほど見たことがあります。医学書には症例はのっていなくて、説明できないことだけれども、人の体って不思議なもので…」


説明してくれているけれど、この時、こうなった原因の正体を本当は私は分かっていた。

・・・・・

大学院に入って、痛感したのが環境が合わないということ。
大学でのゼミの雰囲気とは一転して冷たい・暗い雰囲気だった。
授業中も協力して結論を出すというよりも、批判を存分にしあうことが大事とされていた。

ここにいちゃいけないと本能的に悟ったのか、私は授業がない時間でも研究室にまともに顔を出さなかった。
同じ研究室の先輩はうつ病になって大学内でカウンセリングに通っていた。
この環境じゃうつ病になっても全くおかしくないわなぁ…と思っていた。

私は6月頃からどんどん授業に出なくなっていって、休むことが多くなった。
朝を迎えても今日が早く終わることだけを考えていた。
今の私なら秒で辞めちゃうんだけど、その時の私はまだ通っていた。

そんな私に反発するように体はどんどん悪くなっていく、眠っても疲れていることが増えた。
7月はほとんど大学へ顔を出さずに、家でぼーっとすることが多かった。

そして8月はじめに彼と大阪に買ってきて、一緒にドーナツを食べている時に「大学院、辞めたら?」と言われて、その瞬間から涙があふれてた。


やめたい。やめたかった。やめたかった。
こんなまいにち、もうやめたかった。
自分のことが大嫌いになりそうだった。
あんなに入りたかった大学院だったけど、思ったのと違いすぎた。
私はもっと、私が楽しいところにいたいんだ。


気づいてから退学する手続きを行うまではあっという間だった。
両親も了承してくれて、私は9月実家に出戻った。

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