「魂のフランチャイズ・プレイヤー」

 2001年、イチロー選手がポステイングシステムを用いてオリックス・ブルーウェーブからシアトル・マリナーズへ移籍を遂げた時、「フランチャイズ・プレイヤーに憧れています」と、熱く語っていました。

 フランチャイズ・プレイヤーとは、入団から引退まで同じチームで活躍する選手のこと。

 イチロー選手は、その代表として、当時まだ現役選手で40歳のメジャーリーガーだったボルチモア・オリオールズのカル・リプケン選手の名前を挙げました。

 そして、「その勇姿に眩さを感じている」と目を細めたのです。

 ルーキーでありながらマリナーズへの深い愛着を抱いていたイチロー選手は、「今は、一つのユニフォームで野球人生を終えることができれば、それはとても尊く、嬉しいことだと思う」と語りました。

 メジャー挑戦1年目、オールスターに出場したイチロー選手は、MVPに輝いたリプケン選手と並んで写真に収まり、「握手をし、サインをもらった」と少年のようにはしゃいでいました。(リプケン選手は、この年、つまり2001年の10月6日を最終ゲームに、生涯オリオールズの選手として引退したのです。41歳でした。)


 それから11年後の2012年、レギュラー選手を若手に切り替えたマリナーズのチーム構想により、ニューヨーク・ヤンキースへの移籍を決めたイチロー選手が、その会見で見せた表情が忘れられません。

 MLB一の名門チームの一員になったことの喜びより、マリナーズへの惜別の思いを切々と語り、涙を浮かべたのです。

 「マリナーズで過ごした日々を振り返れば、寂しさだけが思い浮かびます」

 それは、誇り高きフランチャイズ・プレイヤーを諦めた瞬間でもあったのでした。


 7年の時を経て実現した愛するマリナーズへの帰還。

 この移籍は、イチロー選手にとって、50歳を目標に現役を続けることの、最大のモチベーションとなるでしょう。

 シアトル・マリナーズの「魂のフランチャイズ・プレイヤー」であるイチロー選手を、セーフコ・フィールドを埋め尽くすファンが出迎える瞬間が近づいています。

 私も、叶えば、その熱狂に立ち会う一人となりたい。

 今、そう思いながら、MLBのスケジュールカレンダーを眺めています。



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コメント1件

パリーグがまだまだイマイチ人気がなかった高校生のころ、新聞の打率トップ10の1番上に.390イチローって出ててなんだコイツはと思ったのが懐かしいです。結局ほとんど打率を落とさずシーズンを終えて、そこから今にいたるまでずっとスーパースターってほんとにスゴ過ぎてスゴさがわからないくらいです。
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