脳疾患後の免許更新

脳梗塞から丸3年、誕生日まで1ヶ月を切ったため、免許の更新のため免許センターへ
ゴールド免許だから講習時間は30分と、更新ハガキには書いてある

受付やら写真撮影やら講習で所要時間50分と予想し、午前受付終了20分前に到着した

これが終わったら、以前から気になっていたピザ屋さんに夫とランチに行く予定を立てている

受付をし、書類を記入、手数料を払って視力検査へ
「痙攣を起こしたことがありますか」的な質問は、当然「はい」に丸をつけなければいけない

視力検査終了後、みんなとは別エリアで待たされて、女性警官が迎えにきた
「脳のご病気をされた方には、シュミレーターを使って適性検査を受けていただかなくてはなりません、申し訳ございませんが相談室へご案内しますね」と

適性検査とはなんぞや、高齢者講習みたいな
やつかしら、
と思いながら着いていく

着いた先は運転相談センターと書かれた部屋

隣の受付机には、会話が成り立っているのかいまいち不安な高齢男性に、別の女性警官が既往歴などを聞き出していた
なるほど、認知症疑惑の高齢者はここで篩にかけられるのか、どこまでちゃんとした検査なんだろう

少し待つと、聞き取り調査が始まった
脳梗塞はいつしたのか、持病は無かったのか、今までにてんかんの診断はされていないか、現在の病状や服薬、仕事は、などなど
とても気さくで話しやすい人だ

10分ほどの聞き取りの後、
「シュミレーターが2台しか無いので、空くまでもうしばらくお待ちください」と、廊下で20分ほど待機
後ろのシュミレーター室は壁と天井に隙間があって、今検査をしている声が聞こえてくる

耳が遠い高齢者なのか、かなり大きい声で検査の説明をしている
聞くに、ぶっつけ本番ではなく少しだけ練習をさせてくれること、6分間なにかをぶっ通しで検査することが分かった

20分後、検査室に通された
中には、白いセダン車の後ろ半分が切り取られたような、運転席から前の部分と、その前に大きいモニターが設置してある
早速運転席に乗車し、椅子とハンドルの位置を合わせてから検査の説明が始まった

まず最初は、ハンドル操作の検査
出来る最大の速さで、ハンドルが止まるまで回し続ける
これを左右1回ずつ

次に、急ブレーキをしっかり踏めるかの検査
まずアクセルを全開まで踏んで、警官の合図で急ブレーキを踏む練習を2回ほどした
モニターにはアクセルとブレーキを踏むとそれぞれ反応して色が点灯する縦長のメーターがある(仮装大賞の採点のやつみたい)

練習後、本番はモニターに映し出された信号機に従って同じ動作を2回繰り返した
この信号機、黄色をすっ飛ばして青から赤に変わる仕様になっている
検査後は反応の速さ、制動距離が画面に現れた

もう1つ、急ブレーキと急ハンドルを同時にできるかの検査
警官の合図で、先ほどの急ブレーキ動作に急ハンドルを加えた練習を左右1回ずつ練習した

本番は、モニター中央に赤旗を両手に持った棒人間が映し出され、旗を上げた瞬間に同じ方向へハンドルを切って急ブレーキ
こちらは反応速度等は表示されなかった気がする

最後に、「高次脳機能検査」という名の、視野と反射神経の検査
モニターには車で街を走っている動画が映し出され、10秒に1度ほど、画面のどこかに赤い丸が現れる
それが見えたら、ハンドルのクラクション部分にあるボタンを押すというなんとも簡単な検査
1分ほど練習をした後、6分間の本番に挑んだ

途中で気分が悪くなったら、良くなってから再検査を受けられるが、全て終わって結果の説明を受けてからの再検査は厳禁との念押しを受けた

動画は全国共通なのかは分からないが、多摩ナンバーばかりが走っている片側2車線の道路を走行していた
(ちなみに今私は埼玉の鴻巣免許センターにいる)
動画内のルートは、途中で公園のようなところに寄って、来た道を戻っていく感じ

ごく普通の風景の中に突然赤い丸が現れるから大抵すぐに気がつくが、道路脇の樹の深緑の中に現れたり、赤い服を着た歩行者と重なって出てきたりと、なかなか反応が難しいパターンもあった

ちなみに、「赤い丸」に注意して反応する検査のため、間違えて赤信号やブレーキランプに反応してボタンを押したとしても、ノーカウントになるそうだ
検査に影響が出るのは、反応が遅過ぎる、または見えなくてスルーしてしまうことらしい

検査に集中している最中、部屋の外では合否発表が行われていて、歓喜や落胆の悲鳴に溢れていて、非常にうるさく普通にイライラした

検査後は車から降り、警官からの結果説明
モニターには格子状の40ほどの枠の中に、0.54などの数字が2つずつ映っている
検査中は各場所に2回ずつ赤い丸が現れていて、それぞれ反応するまでの時間だということだ
視野欠損の可能性も発見できるらしい

左上の1箇所が2回のうち1回だけ2秒かかってしまったが、それ以外の箇所はほぼ0.5秒台で反応できていたので、まったくもって異常なし

上記すべての検査結果から、運転能力に問題はなしのお墨付きをもらった

さて、本題の免許更新だが、すでに午前の部は終了してしまっているため、午後の部の1番手で対応してくれるそうだ
しかし時刻は12時30分
午後の受付まであと30分もある

混雑した中でなんとか空いたベンチに座って、人間観察開始

黒のスラックスに白のワイシャツ、大きめの黒いショルダーバッグを下げたサラリーマン風の容姿をして、ひたすら受付付近をくるくると歩き回っている挙動不審のおじさん
5分おきに「まだですか」と受付に絡んで、毎回「1時からです」とキレられている
(さっき相談センターに現れて認知機能検査は事前予約制だって言われて断られていた人だ、、、)

机や柱に忘れ物のビニール傘が点在している
ここから見えるだけで6本はあるな

あの紙袋を持った人たちは再受験手続きをしてきた人か

あ、隣のおじさんも柱に立て掛けてた傘置いて行ったじゃん、、、

そんなこんなで受付時間5分前
事前に説明されていた4番窓口に行ったのだが、その待機場所が電気もついておらず真っ暗
しかも先頭にいるのが黒人男性1人
私の後ろに着いたのも、中国人男性

すごく嫌で、壁に背中をつけて2人が視界に入るようにして、肩掛けカバンを両手で押さえながら1時まで待機

やっと電気がつき窓口を通過、写真を撮って30分の講習
お腹が鳴りそうで大変だった
新しい免許証の交付を受け、急いで自宅へ向かった

自宅前で夫を拾って、ラストオーダーギリギリにピザ屋入店を成功させ、やっとこさランチにたどり着いた
待ちに待った本格窯焼きピザは美味しかった

脳梗塞から3年
やっぱり大変な病気をしたんだと改めて思った1日だった

次は遅くなってもいいように、午後の部1番に受付しようと思った


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