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9章②【江戸時代助兵さん登場】 4つ目のパラレルワールド 2/14/2019

ヤフーブログでリアルな知り合い、フランチャイズの社長の助兵さん、ブログ名「ゆうさん」のリアルでの実話である。
この話は長編なので、3、4回に分けて、今回は1回目。

異質な空間[平成31年2月13日(水)] 

フランチャイズのビジネスショーに行った。

あらゆるフランチャイズビジネスが集まっていて、呼び込みやチラシ配りやシステムの説明をするあらゆる声が飛び交う。

塾、コンビニ、ファストフード、カルチャースクール、保険、コンサルタント、お掃除代行、介護、運送、花屋にスーパー、靴屋に美容院、中には、探偵や何でも屋のフランチャイズもある。

探偵業に興味が湧いたが、最初に払うロイヤリティーが300万円と聞いて、驚いた。
コンビニと同じくらいかかるんだ。

いろんなブースを廻って、人混みに酔いそうになる。

なかなか、これだ、という仕事は見つからないから、今日はもう帰ろうと思う。
雑踏から離れて、人のいない通路を見つけたので、ホッとした。

その、薄暗い人の通らない通路に、
『コツコツ型の地味な仕事で、他のフランチャイズビジネスよりリスクが無い』
という、うたい文句が書かれた小さな立て看板をみつけた。

その看板を見上げると、こんな暗がりに1つのブースがあった。

会場は活気があって会話や物音が煩いほどなのに、なぜか、そのブースだけ、ちょっと離れて、周りの喧騒が嘘のようにひっそりと宣伝もなくたたずんでいたのだ。

あとで考えたら、そこだけ異質な空間だった。
あそこのブースだけ異様だった。

通常なら100万円から200万円、300万円近くする契約金、ロイヤリティーが50万円という破格の安値。

社長の助兵さん(ゆうさん)と事務員さんと呼ばれている女性の2人が、静かにテーブルを挟んでフランチャイズの説明をしてくれた。
今まで見てきた他のフランチャイズよりも分かり易く、丁寧で、なんと言っても、儲け主義では無いのが気に入った。
研修費用は20万円と高額だが、一度払えば一生涯再研修は無料だという。
契約は、研修を1日受けてから決める事ができるというので、研修を受けてみることにした。

どちらかというと慎重で、決定するのに何ヶ月も掛かる性格なのに、どうしたことか、明日から研修に行くことを、二つ返事でその場で決めてしまったのだ。


異様な研修[平成31年2月14日(木)]

研修は。

社長の助兵さん(ゆうさん)が指導して、会長の治兵さんが総合指導らしい。

研修といっても形だけで、1時間ほど、一連の作業の仕方をざっと簡単に説明した後は、自分でやってみてくださいと言われ、その説明の書かれた紙を見ながら作業をしてみる。

それでも何とか、紙を見ながら、一連の作業だけは覚えた。
これが、研修なのか尋ねたが、本日は初日の顔合わせで、明日からは猛特訓するという。
それに、2日間というのは名目上であって、プロの腕になるまで研修を続ける事ができるし、仕事を始めてからも分からない事があったら聞きにきて欲しいという。

丁度、九州から研修にきていた30代くらいの男性に話を聞くと、研修は1週間受けていくという。
男性も、この仕事を大変気に入っていて、
「この仕事に賭けてみることにしたんですよ」
と熱く語ってくれた。

同じようなフランチャイズは沢山あるが、1週間で20万なら相場である。
その男性も、それだけの価値がある研修だといって楽しく作業をしている。
その様子を見て、信頼したボクは、即断即決して研修費20万円を支払った。


異様な研修[平成31年2月15日(金)]

次の日の研修を期待していた。

しかし、研修は、ざっと簡単な説明で、後は自分で手順を見ながらやってみてくれと言われた。

暇な会長の治兵さんは、タバコを吸いながら、ずっとこちらに話しかける。
ボクは喘息持ちだから、タバコの煙は、極端に苦手である。
ここは、分煙では無いのか。

ボクが、煙を避けながら、ひとり手順通りに作業しているのをよそに、会長の治兵さんは、なんやかんや話しかけてくる。
趣味はなんだ、休みの日は何をしているのか、家族構成は、出身地は、生い立ちは、好きなものは。
センシティブな質問が多い。

社長の助兵さんは、研修もしないで、ふむふむとその話を聞いているだけ。
なんなのだ、だんだん腹が立ってくる。

「もう特訓するというのは、いつから始めるのですか?」
と助兵さんに尋ねたら、
「あれ、今、やってます」
と、とぼけた答え。

1週間研修を受けていると言う男性は、何をやっているのか見に行ったら、昨日と同じことを、なにやら一生懸命やっていた。

なにも、教えてもらわないまま夕方4時になり、今日は、他の人も新しくフランチャイズ契約したので、歓迎会をするから絶対に出て欲しいと言われた。

歓迎会と称して、ただ経費で飲みたいだけのようだった。
下品極まりないことをヘラヘラしながら言う。

初対面でなければ、蹴り上げたことであろう。
従業員だったら、セクハラで訴えるだろう。

しかし、今は個人事業主。
社長の助兵さんが、これからの連絡のためにLINEを教えて欲しいという。
今までスマホを電話以外で使ったことがなかったから、LINEの登録の仕方を教えて欲しいと懇願する。

この下品極まりないオヤジに連絡先を教えるのはどうしたものかと考えたが、仕事の付き合いが始まる日なので、LINEの登録をしてあげて、ID交換をした。
仕事の連絡で急を要する時はLINEの方が便利だから、今は仕事でもLINEばかりでメールを使うことは稀である。

そうはいっても、こんなに不快感のあるオヤジと連絡先を交換するのは、気分のいいものでは無かった。

いやな予感は当たった。
歓迎会の帰り道に、早くも社長の助兵さん(ゆうさん)から、LINEが入る。
「今どこにいるの?もう帰ったの?」
と不審な内容。
しかし、これからの仕事が捗るようにと、
「今日はありがとうございました。帰りました」
と返信をした。

それも間違いだった。
それから、30分間隔くらいに、質問が来る。
「どこの駅なの?」
「帰り道は暗くないの?」
「ビール好きなの?」
「ケーキは好き?」

普通なら無視するところだが、これから仕事の関連会社になるとあっては無下にはできないと、1つの質問にだけ答えた。

セクハラおやじ[平成31年2月16日(土)]

それも間違いだった。
休みの朝にLINEが鳴るので見たら、
「おはよう、好きな花は何?」

唖然としたが、
「おはよう」から「趣味は何?」「これから寝るよ」まで続く。

「ストーカーっていう言葉、ご存知ないんですか」
と書きたかったけど、ここは、個人事業主。

「すみませんが、休みの日は休むことに集中したいのでLINE切ります。普段はあまりLINEしないので申し訳ありません」
と丁寧にお断りした。

つもりだった。
しかし、助兵さんには、通じてなかった。
「なんで、返事くれなくても、読んでくれていてうれしい」
「今飲んでるよ」
「ねえねえ」
「さびしいよお」

初対面の人間に書く言葉か。
というか、おまえ、それでよく社長業できてるな。
と、返事したいところを我慢した。

詐欺[平成31年2月17日(日)]

今日も、朝の7時からLINEのメッセージが届いている。
これは耐えられない。
会長の一治兵さんといい、タバコの煙といい、全く仕事をしない社長の助兵さんといい、休日のくだらないメッセージといい、イライラする事ばかりだった。
研修の2日間で、何も出来ていない。

研修で一緒だった男性に話を聞いたら、実は半年前に契約したのだけど、事業を開始する勇気がなくて、相談のために事務所に来ていたという。

これは、引っかかったかな。
うわあ、まんまと詐欺に引っかかってしまったかもしれない。
20万円払ってしまって、契約書も取り交わしてしまった。
しかし、クーリングオフは確か8日くらいあったはず。
今からでも、契約取り消ししてもらおう。

まだ講習2日目だったので、20万円の返金を申し出た。

社長の助兵さんに、丁寧に話したが、契約解除と言う言葉を聞いた途端に、態度が急変した。
まるでヤクザの親分気取りで、
「あんたね、一度契約したことは、取り消せないんだよ」
と憮然とした態度で出てきた。

あまりの変貌に唖然としたが、
「態度、変わりすぎで、詐欺していますって言ってるようなものですよ」
と言ってやった。

しかし、こちらの落ち度でもあった。
クーリングオフの事項が契約書に記載されていなかったのだ。
そのことを確認せずに契約をしてしまったのだ。

社長の助兵さんは、
「一円たりとも返さない。契約書に返すなんて書いてないでしょ」
と、にやにや不気味な笑みを浮かべながら、チョコレートをかじっていた。

知り合いの弁護士に相談したが、これは典型的な詐欺ですよ、と断言。
けれど、弁護士費用等考えると泣き寝入りが一番いいと思う、とのことだった。

たった2日で20万円が消えた。
よくよく考えたら、ロイヤリティーが50万円なんて、そんないい話あるわけない。
フランチャイズのフェスであんな隅っこで暗くあったこと自体、なぜ変だと思わなかったのだろう。

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138字

注意!!!  未来から来てしまったと重複しています。

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