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1章⑩【鈴先生のお宅】パラレルワールドの事実 Season1 07/02/2018

鈴先生のお宅[平成30年7月2日(月)] 

歴史のゼミの教授である鈴先生に、ボクがゼミ内でうまくいかないから辞めたいと話したら、
「うちに来て、なんでも話しなさい」と鈴先生のお宅に招いてくださった。

先生にお招きされて緊張しながら訪問した。
暑い日、今日は特別暑い。
電車とバス乗り継いで出かけた。
バス停から歩いていると、じんわり汗が出てきた。
鈴先生のお宅あたりで、スマホの地図を確認していると、
「こっち、こっちよー」
振り向くと3件先の門の前で手を振る鈴先生がいた。

閑静な住宅街に立つ豪勢なお宅には、手入れの施されたいろんな植物があって、いろんな工芸品が置かれていて、廊下もピカピカで、玄関に入るなりキョロキョロしてしまった。
鈴先生の書斎は大きな天井まで届く本棚に囲まれた豪華だけれど木の温もりのある造りで、愛情こもったお宅だった。

7月の猛暑が近づく中、エアコンの入ってない書斎で、論文をみて頂き、とっても嬉しいのだけど、とっても暑かった。

初めて訪問のお宅で、言いづらかったけど、
「あのーぉ、エアコン着けないのですか?」
耐えきれずに、聞いてしまった。
「あら、そうねえ、普通の人は暑いわよね。でも着けないの。我慢しなさい」と言われ、
「―うわあ、まいった」と思った。
じんわり出てくる汗をハンカチで拭きながら、先生の持論を聞く。

研究者の鈴先生を支えるご主人は、家事を全部やってくれるという理解者ということで、学者の鈴先生は生まれてこの方家事は一切やったことがないと言う。
「喉乾いたでしょー」と、2リットルのお茶のペットボトルと、お中元で頂いたというチョコレートをポンっと机の上に置いてくださった。
「うわー、嬉しいです」

このサウナのような部屋の中で、本当に嬉しかった。
「自分で入れてねー」と紙コップをくださったので、
「はーい」とお茶をごくごく飲んで、なんとか熱中症にはならなかった。
夏に先生の家に通うのはハードだなあと思いながらも、先生にみていただくと論文の筆が進むので、通いたい。

鈴先生はマイペースだけど、優しくおおらか、それで大雑把。
そういう、大雑把なところは、ボクも同じなので、なんだか親しみ湧く鈴先生。
相談も明るく聞いてくださった。
話してしまうとスッキリ。
修士に向けて頑張ることにした。

鈴先生のお宅は、学生時代にちょっとだけ一人暮らしした街なので、夕方の少しだけ涼しくなった道を歩いて駅まで行った。
この街並みは懐かしい。
まだ変わっていないところもあって、学生の頃(今も学生か)に戻りたいなあって思った。
タイムスリップできたらいいのになあ、と何気に思った。


☆尊敬する人は、いますか?

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79字

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