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永久の黄昏

大月つき様の「トワイライトリフレイン」を使用させていただきました。

KP:なした

PL:朱来儀/マフィア(赤石)

???/マフィア(NPC)

***

——さよならを言いそびれた誰かへ。

シナリオ「トワイライトリフレイン」、始めていきます。

***

——???

貴方は目を覚ます。

普通であれば何の違和感もないそのことに、貴方は困惑することだろう。

——貴方には確かに、自らが死んだ記憶があるのだから。
1/1d4のSANCです。

???:ccb<=95 SAN
Cthulhu : (1D100<=95) → 10 → スペシャル

KP:???のSANが1減少(SAN:95->94)

???:「…!?こ、こは…?いや、それよりも何故俺は…」
???:「……俺はあの時、死んだはずだが…」

今貴方が居るのは馴染み深い場所、アジトだ。
見渡せば、談話室備え付けのソファで貴方の上司、朱来儀が眠っているのが目に入る。

???:「…来儀、さん?」

???:「…すみません、起きてください」

——来儀

貴方は、自身を呼ぶ声で目を覚ます。

確かに昨日は自宅で眠りについた記憶があるが、そこはソファの上だ。
そして目の前にいる、自分の名を呼んだ人物にはまるで見覚えがない。
0/1のSANCです。

朱来儀:ccb<=32 san
Cthulhu : (1D100<=32) → 8 → 成功

朱来儀:「…んん……、…!?」起きたぁ…

KP:来儀は<アイデア>どうぞ。

朱来儀:ccb<=65 アイデア
Cthulhu : (1D100<=65) → 40 → 成功

その人物の姿や声に、何か心に引っかかるものがあるような気がした。

朱来儀:「…、?な、なんだお前は…」距離取るわ
朱来儀:「どうやってここに入った」

???:「…?いえ、俺も気付いたらここに居たので詳しくは…本当にどうして、でしょうね」
???:死んだんだけどな…

朱来儀:「…は?言っていることはわからないが、ここはお前のいるような場所じゃない 出て行け」ゴメン…そういうことじゃないんだ…ごめんね…
???:「…そ、れは…分かっています、が…」

朱来儀:「…もしかして敵組織の人間か?何が目的だ」
朱来儀:シルバニアファミリー?

???:「…来、儀さん?何を言ってるんですか…?」

朱来儀:「……ボスもモブも外出中、か?…俺が居てまだ良かったな。」
???:「…?すみません、話が見えないのですが…」

朱来儀:「…俺の名前を知っているようだし、色々調べてはきたみたいだな。ここまできて誤魔化しても無駄だぞ」
朱来儀:エンエン…

???:「な、にを言って……忘れたんですか?俺は、…」

貴方は自分の名前を告げようとする。

しかし、何故か喉から言葉が出てこない。
自分の名前が分からないからだ。

何故か自身の名前が思い出せないことに気付いた貴方は、1/1d3のSANCです。

???:ccb<=94 SAN
Cthulhu : (1D100<=94) → 44 → 成功

KP:???のSANが1減少(SAN:94->93)

???:「…!俺、は…俺は……」

朱来儀:「忘れた…?そもそも俺はお前の事なんて知らないぞ」
朱来儀:「さっきからなんなんだお前は」

???:「……知らない、ですか……なるほど」

???:「……どういうことだ?そもそも、俺は…」心臓に手を当ててみようかな!

貴方が胸に手を当てると、そこは規則的に脈打っている。

???:「…!?生き返った、のか…?いや、しかしあの状況から助かるはずが……」

朱来儀:「……まぁいい、お前の事はボスに任せよう。アジトに入られた時点でただで帰すわけにもいかないからな」

???:「……また、奇妙なことに巻き込まれているのか」
???:(どういう仕組みかは分からないが…ここが死後の世界だというよりはマシか……)

朱来儀:「(……どう考えても怪しいな……とりあえずボスに、連絡を取るか)」

電波は入っているが、連絡を取ろうとしても相手が応答することはない。

朱来儀:「……………くそ、繋がらないな、」

朱来儀:「………ボスが帰ってくるまでお前はここに置いておく。お前の事はそれからだ。一応言っておくが逃げようなんて馬鹿な考えは捨てるんだな」オラ!こっちは銃持ってんだからな!
朱来儀:???さんも持っていると思いますが!

???:「……そうですか。元より逃げる、つもりはないんですが…俺がこのままここに居てもいいものなのか…」地縛霊的な…

朱来儀:「…は?さっきから言っていることがわからないな」
???:「…いえ…、帰り方が分からないので、どうしたものかと思っているだけです」

朱来儀:「…この状況で良くもそんなことが言えるものだな。帰れなくなる可能性も、頭に入れておけ」

???:「…それは、困りますね。まあ、それならまだ良いんですが、問題は…」
???:「…帰りたくなくなった時、ですね……そう思うと、忘れられているのは好都合か」

朱来儀:「…はぁ???」こいつさっきから何言ってんだ?って思ってる…

そんなやりとりをしながら辺りの様子を見てみると、来儀は1冊の本が自分のすぐ傍に置いてあることに気付く。
また、ポケットの中に違和感を覚えるだろう。

朱来儀:「なんだ、これ、……?」ポケット見る

中身を取り出してみると、そこにはいつしか手に入れた懐中時計があった。

朱来儀:「これは……………」懐中時計見る…

紅と群青の混じったような色の宝石が埋め込まれた、古びた懐中時計だ。
18時過ぎを指したまま時針、分針は止まっているが、秒針はカチリ、カチリと規則的に時を刻んでいる。

朱来儀:「…?壊れているのか…?…18時か」
???:「…?」

朱来儀:とりあえずポケットに戻すかな…

朱来儀:「……こっちの本はなんだ…モブ達のものか?」本を手に取るよ

表紙には朱来儀、と刻まれている。

朱来儀:「!?」
朱来儀:アルバム?

???:「…来儀さんのものですか?」

朱来儀:「……いや、知らない。………お前が持ってきたんじゃないのか?」名前知られてたし…
???:「…いえ、知りませんね…とりあえず、中を確認してみますか?」

朱来儀:「…………」返事はしません 開くわ…

中には、貴方のこれまでの人生が物語として描かれている。
その気味の悪さに0/1のSANCです。

朱来儀:ccb<=32 san
Cthulhu : (1D100<=32) → 99 → 致命的失敗
朱来儀:でた~~

朱来儀:「な、…」

KP:<目星><図書館><アイデア>どうぞ。

朱来儀:ccb<=68 目星
Cthulhu : (1D100<=68) → 88 → 失敗
朱来儀:ccb<=65 アイデア
Cthulhu : (1D100<=65) → 55 → 成功

序盤にはよく知った、貴方の出自が綴られている。
しかし、ある頁以降、ところどころに不自然な空白がある。

朱来儀:「……なんだ、これ………」
朱来儀:「……気味が悪いな…」

???:「…どうでした?」
朱来儀:「………お前には関係ない」

???:「……関係ない、ならいいんですが…」帰る手がかり探してんだわ

朱来儀:「…しかし、なんでこんなものが…………」
朱来儀:「………」人に見られたくないし一応持っていきます!?

辺りを見渡してみれば、淡く光を放つ一枚の紙が落ちていることに気が付く。
見れば、読みにくいがぼんやりと文字が書いてあるようだ。

朱来儀:「…?なんだ、これ…」拾う
???:「…?」

来儀が手を触れると、それはほんのり暖かく、一瞬視界がホワイトアウトする。

そして瞬間的に脳内に、この場所で過ごした、ある日の記憶が流れ込んでくる。

任務の土産にケーキを買ってきたこと、誰かのモンブランの栗を食べたこと、そのお詫びとして手作りのお菓子を振る舞う約束をしたこと…。

その記憶のなかに、今自分のそばにいる男の姿、声はない。

朱来儀:「……っ、!?」

貴方が我に返った時には、頁は光の粒となり、本へと吸い込まれるようにして消えてなくなる。

朱来儀:「い、今のは………………」
???:「…!?一体、何が…」何もわからない

朱来儀:「そう、だ……昔、ここで…ケーキを…食べて…。モブ1と…モブ2と……あとは…」
朱来儀:「あと、は……」エン…本…開く…

???:「……ケーキ、ですか…」

本を開いてみると、虫食いだった場所の一部が埋まっている。
しかし、不自然な空白は残ったままである。

朱来儀:「…………」
朱来儀:「…俺が…栗を…取ったんだ………でも、誰の……」

???:「!」

朱来儀:「……くそ…思い、だせない…」

???:「……あの、気は進まないかもしれませんが…その本、見せてもらえませんか」
???:「もしかしたら、何か…分かるかもしれないので」

朱来儀:「は?何故お前に…」
朱来儀:「…………」

朱来儀:「……」何かわかるなら…渡すか…
朱来儀:「…見て、なにもわからなければすぐに返せ」渡す

???:「…分かりました」

KP:<目星><図書館><アイデア>どうぞ。

???:ccb<=80 アイデア
Cthulhu : (1D100<=80) → 10 → スペシャル

素晴らしい!では貴方は、来儀の人生が綴られたその本に、ある頁以降、不自然な空白が随所にみられることに気付くだろう。
そして、そのある頁というのは、来儀が21歳の時のこと…8年前のことが記された頁だ。

???:「!8年前、か…そうか」

朱来儀:「なんだ、…本当に何かわかったのか?」
???:「……分かったのは、分かった、んですが…」

朱来儀:「…ならさっさと言え」

???:「………そう、ですね……」
???:「……この空白は、おそらく特定のものに関係しています。そして、それが…」

朱来儀:「…特定の…もの…」

???:「…………いえ。この空白はおそらく、貴方の記憶とリンクしているのだと思います」
朱来儀:「……………そうか。俺の、記憶と………。」

???:「…ただ、これを思い出した方が良いのかは……分かりませんが」

朱来儀:「……」
朱来儀:「…いつからか、わからないが…ずっと、胸に穴が開いたような感覚が、消えないんだ…それはきっと、お前の言う俺の記憶に関係、してるんだろう…。空白を埋めることでそれがなくなるのなら………。」

???:「……来儀さんは、思い出したいんですか?」
朱来儀:「……空白部分の記憶が、どんなものかは、知らないが…このままだと、気持ちが悪いだろ」

???:「……人間の脳とは便利なもので、強いストレスを受けたりすると、その記憶を抑圧してしまうことがあるといいます」

朱来儀:「………俺自身が、その記憶を消したといいたいのか?」
朱来儀:そうだよ

???:「……それは、分かりませんが…埋めた記憶が、貴方にとって良いものだとは限らないと……」
???:「…いっそ忘れてしまいたいと、望むようなものかもしれないですよ」

朱来儀:「…そう、かもしれないな…。でも…嫌なんだ、ずっと消えないこの穴が…何処にいて、何をしていても…埋まらない…。」
???:「………」

朱来儀:「お前の言う通り、…この穴は俺が…自分で空けたのかもしれない…それでも、俺には…なんだかそれが…絶対に忘れては、いけない物、だったような…そんな気がするんだ。」

???:「……そうですか…………分かりました」

???:「……それならば……俺にはその、空いた穴を埋める手伝いが出来るかもしれません」
朱来儀:「……お前に…?」

朱来儀:なんで??
???:なんでだろ…??

朱来儀:「……」
朱来儀:「…………そうか。わかった。お前も、来い」

???:「……はい、ありがとうございます」

???:「……所縁のある場所か……」

???:「…とりあえず、あそこに行ってみるか……ついて来てもらえますか?」
朱来儀:「………わかった。」

貴方たちが外に出てみると、空は紅と群青が交わったような色をしている。
何の違和感もない、黄昏の色だ。
しかし、不気味なほどに人の気配がないことに気付くだろう。

???:「………静か、ですね」
朱来儀:「……誰もいない、な」

???:「……気にしていても仕方ないか…行きましょうか」
朱来儀:「……あぁ、そうだな…。」

貴方は、男の後をついて行く。
進んでいくうちに、男が辿るその道が、自分の家までのものだと分かるだろう。

朱来儀:「……おい、こっちは……」
朱来儀:何で知ってるのかなぁ…

???:「………」
朱来儀:「……」

そして、貴方たちは言葉少なに歩みを進め、来儀の家に辿り着く。
その扉の前に、一枚の頁が落ちていることに気付くだろう。

???:「…ありましたね」

朱来儀:「…!これは………」
朱来儀:「あ、あぁ……」

朱来儀:「…」拾います…

来儀がそれに触れると、再び視界がホワイトアウトする。

流れ込んできたのは、眼の治療のために医者のもとを訪れたときの記憶だ。
その後いつの間にか意識が暗転し、自分は一度瞳を失ってしまった。

……思えば、その時からだ。

左目が枯れた朽葉のような色になってしまったのは。
それ以前は両目ともに、蜂蜜のような黄金を携えていたはずだ。

その場所で自分は、異形の怪物の群れに襲われ、それで…誰かに手を引かれたのではなかったか?
賢い犬と、幼い少女と、…誰か、もう一人居たような。

???:「…来儀さん?」

そう自分を呼ぶ声で貴方の意識は引き戻される。

朱来儀:「…………っ、」
朱来儀:目の前の男の顔をよくみます^^

声を掛けてきた男は、心配そうに貴方の顔を見つめている。

朱来儀:というか瞳…

よくよく見てみれば、男の瞳は貴方のそれと鏡写しになっていることに気が付く。

???:「…何か、思い出しましたか?」

朱来儀:「その…瞳………」
朱来儀:「眼科に行って……一度………目を失ったんだ……、」

???:「…!」

朱来儀:「ずっと、自分の瞳がなぜこんな色なのか…思い出せなかった……でも、その時、から…だ、」
朱来儀:「なんで、お前も………」

???:「…………」

朱来儀:「………」
朱来儀:「………手を引いてもらったんだ…。危ない状況の中で…でも、誰に……。…ダメだ…、…思いだせない…」

???:「………そうか、あの時の……」

朱来儀:「……一番、大事なところが…思い出せないんだ…何で…」

KP:ここで<聞き耳>をどうぞ。

朱来儀:ccb<=66 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=66) → 36 → 成功
???:ccb<=81 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=81) → 40 → 成功

パキン、とどこか遠くで音が聞こえた。

朱来儀:「!?」

朱来儀:「何の音だ…!?」
???:「…!?」

周りを見ても、特にそれらしいものは見当たらない。

朱来儀:「遠くの方から、だな…なんだ…?」

???:「…何でしょうか、いやに静かなので物音が気になりますね…」
朱来儀:「…それらしいものも、ないか…そうだな、気にするだけ無駄かもな…」

???:「…はい。それで、来儀さんの記憶のことなんですが…」
朱来儀:「…なんだ」

???:「先ほど思い出したのは、目を失った時の記憶…だったんですよね?」
朱来儀:「あぁ……その時のものだ」

???:「……そうか、なるほど…」

???:「…俺たちの、奇妙な体験に関連性のある場所か…?そこに行けば、何かが…」
朱来儀:「……??」何言ってるかわかんないけど、もう…瞳の時点で大分…

???:「となると、心当たりはいくつかあるな…しかし、日本は遠すぎるか」
???:「とりあえず、近場から当たってみるか…」

朱来儀:「心当たりがあるのか…?」
???:「…はい。行ってみる価値はあると思うのですが…」

朱来儀:「…わかった、そこに連れて行ってくれ。」
???:「分かりました。少々移動することになるかと思うので…良ければ車を出してもらえませんか」

朱来儀:「…?あぁ、それは構わないが…」なんでも知ってるんだね

男の言葉に違和感を覚えながらも、貴方は車を出すことにする。
貴方たちが車に乗り込めば、ダッシュボードの上に頁が置かれている。

朱来儀:「!こんなとこにも、あるのか…」
???:「!こんなところにも…」

朱来儀:取ります

触れれば、資金難にあえぐ組織のために銀行強盗に赴いた時の記憶が呼び起こされる。

その時に乗っていた車はどこかに放り出されてしまったが、当時も貴方の運転で銀行に向かったことを覚えているだろう。

車中で一獲千金の夢を語ったこと、誰かに夢はもっと大きく持て、と声を掛けたこと。
それを聞いているボスの少し複雑そうな顔。その後告げられた、世界が滅亡するという言葉。
謎の本を盗むことに尽力した結果、肝心の金を盗みそびれたこと。

そのすべてが鮮明に思い出せるのに、そこに居たはずのもう一人の姿は思い描くことが出来ない。

朱来儀:「…そういえば…あの時も、俺の運転で行ったんだったか……」
朱来儀:「結局…金は盗みそびれたが……中々大変だったな……」

???:「…次は、何でしたか…?」
朱来儀:「…銀行強盗…だ。結局失敗に終わったんだがな…。ボスと……………。」

???:「……ああ…なるほど」

朱来儀:「……」
朱来儀:「なぁ、お前は……金が沢山手に入ったら、何か、したいことはあるか」

???:「!俺、は……」

???:choice[食べた,食べてない]
Cthulhu : (CHOICE[食べた,食べてない]) → 食べてない

???:「……………ひそかに、憧れていたことがあったんです」

???:「ちょっとした贅沢で…結局、体験することはなかったんですが」
???:「………好きな、食べ物を…独り占め、してみたいと……」

朱来儀:「好きな食べ物を…なんだ…そんなことか………小さい、夢だな」

???:「……そうかも、しれないですね…でもそれで、良かったんです」
朱来儀:「…………そうか」ソッカ…

KP:ここで、<聞き耳>をどうぞ。

朱来儀:ccb<=66 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=66) → 33 → 成功
???:ccb<=81 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=81) → 69 → 成功

再び、どこかからパキン、と音がした。

朱来儀:「また…この音か……」

???:「…何の音、なんでしょう」
朱来儀:「さぁ、なんなんだろうな……」

KP:ここで来儀は<アイデア>をどうぞ。

朱来儀:ccb<=65 アイデア
Cthulhu : (1D100<=65) → 85 → 失敗

KP:何でもないです!
朱来儀:コラ~~!

朱来儀:「まぁいい…お前の言っていた場所に行こう。指示を出してくれ」運転するよ…
???:「…お願いします」

男の案内に従って車を走らせると、繁華街に辿り着く。
いつもなら時間も関係なく人と活気に溢れている場所だが、今日はいやに静かだ。

???:「…ここです、一度降りてみましょう」
朱来儀:「…わかった」降りる…

車から降りた男は、繁華街の奥、車では入れないような路地裏まで進んでいく。
進んだ先は行き止まりだが、高いフェンスの手前に、頁が落ちている。

???:「…矢張りか…」
朱来儀:「………なんでこんなところに、…?」

朱来儀:「…」拾う

次に流れ込んできた記憶は、怪しげなビルに拉致監禁された時のものだ。
この場所で強く頭を殴られ、そして目覚めた時には拘束されていた……奇怪な薬物を投与された上で。

そこから脱出するために奔走し…きっと隣には、誰かが居た。

——俺が前を歩く、後ろは任せたぞ。

——お前を信じているから言っているんだ。

——待っていろ、お前に任せっぱなしじゃ、悪いからな。

——俺も、……を信じている。

そう、隣にいる誰かに投げ掛けたはずだ。

背中を預け合えるほど篤い信頼を寄せ、心を許し通じ合った誰かに。

思考がそこまで行き着いたところで、貴方の意識は現実へと帰ってくる。

朱来儀:「…………………あの時の、ものか……」
???:「………」

朱来儀:「あの時も、なかなか…大変だったな。拉致されて…追手がきたときに…あいつがまた無茶して……」誰…??
朱来儀:「確かに、俺の後ろを、だれかが歩いていたはずなのに………駄目だ…やっぱり…そこだけは思い出せない……。」

???:「………そう、ですか……」
朱来儀:「………………」

本の空白も随分と減ったが、未だに掻き集めた記憶の中に居たであろう誰かの名前は、埋まらないままだ。

朱来儀:エ~~ン…???さんの顔見つめちゃうよ~~;;…
???:何も言えないかな…

朱来儀:「………お前は…何を知っているんだ…」

???:「……俺は……」
???:(…だが、全てを語るわけにも…)

???:「………俺は、貴方が落とした記憶が何なのか、知っています」

朱来儀:「……俺の、記憶…を、」
???:「…はい」

朱来儀:「…初めて…今日初めてお前を見たときから…何か、ずっと、引っかかるものがあったんだ……」

朱来儀:「お前は、誰なんだ…?」

???:「……俺は……、」

???:「……実は、思い出せないんです。俺の名前が」
朱来儀:「…名前が……?」ソッカ…………

???:「…忘れるはず、ないものだったのに…おかしいですね」
朱来儀:「……そう、だな……。」

???:「…何度も、何度も呼ばれた…大事なものの、はずだったんですが…」
朱来儀:「………………………」エンエン……;;;;;;;;;;;

???:「……もし、もし叶うのなら…もう一度だけでいいから、聞いてみたい、ものです」
朱来儀:何度も何度も呼んだのになぁ

???:「……なんて、過ぎた願いだと分かってはいるんですが」

朱来儀:「……………寂しい、のか…?」

???:「…!」

???:「…………そんな、こと、ないですよ…仕方のない、ことなんです」
???:「……俺は、受け入れて…いる、つもりで……」

朱来儀:「…そう、か…。なんでだろうな、そんな顔をしているように、見えたんだ…。」頬に触れるかなぁ…なんか…触りたくなった…

その頬には、血が通っており、そのぬくもりに何だか懐かしいような、そんな感覚を覚えるだろう。

朱来儀:「…なんで、だろうな……前にも…こんなことがあったように…思えるんだ…前にも…」殴られたとこ触れたね…

???:「……俺は、寂しくなんて……大丈夫、大丈夫なんです、…本当に」
朱来儀:「……………そう、か」手を離すよ…エンエン……

???:「……………」
???:「………行きましょうか。残りの記憶…探すんですよね?」

朱来儀:「……あぁ」

???:「…あとは……海、か」
???:「……どこでも構いません、海へ向かってもらえますか」

朱来儀:「海…、あぁ、わかった」

貴方は、海の方角へ適当に車を走らせていく。
不思議と進むルートは迷いなく頭に浮かんでくる。

貴方が向かったのは、海水浴を楽しむためのビーチなどではなく、海沿いのコンテナヤード。
物流が良く、死角も多い空間であるため、薄暗い取引などを行うには打って付けの場所だ。

この場所には数回、任務で訪れたことがある。

???:「……ここか…」
朱来儀:「……ここに、俺の記憶があるかは、わからないが…」

コンテナの陰に1枚、頁が落ちているようだ。

朱来儀:「…あれは…」
???:「…こんなところにあるのか」

朱来儀:「…」拾うよ…

触れると、随分と昔の記憶が蘇ってくる。

……これは確か、8年前のことだ。

自分はこのコンテナで、業者と武器の取引をした。
そこを敵組織に襲撃され、何とか反撃し、逃げおおせた後のこと。

その時任務を共にした相手のことを、自分は何かと気に食わない、と感じていた。

普段なら無言でアジトに戻るところを、どうしてか、その日は話しかけてしまった。
と言っても、なんてことのない雑談だ。

だがきっと、これが大きな転機だった。
それがきっかけで、自分とその人物との関係は変わり始めたのだ。

ここで、貴方ははっと我に返る。

???:「どう、ですか…?」

朱来儀:「そう、だ…8年前の…あの、時から………」
朱来儀:「あの時…俺が……あいつに、話しかけて……」

???:「…8年前、ですか」

朱来儀:「あぁ……本当に…それから、だったんだ……あいつのことを…知りたい、と思うようになったのは…」誰…?
???:「………」

朱来儀:「……なんで、忘れてたんだろうな…」
朱来儀:「大切なものだって、わかっているのに…肝心な、あいつのことは…何一つ思い出せないんだ…」

???:「………正直言って、俺は…」

???:「貴方にこれ以上、思い出してほしくないと…そう、思っています」
朱来儀:「…」

???:「……来儀さんは、そんなこと…忘れていた方が幸せなんじゃないか、と…」

朱来儀:「……馬鹿なことをしているんだって、俺だってわかってはいる」
朱来儀:「…知らなきゃ、幸せな事なんて…沢山、あるだろう」

???:「……そうですね」

朱来儀:「全てを、知るのは俺も怖い…でも……でも、俺は…俺が知りたいと思ったあいつのことを……思い出したい…それだけ、俺にとっても大切なものだったはずだから…」

???:「……全て、忘れて…その方が貴方が苦しまずに済むのなら、俺はそれで構わない、と…思っていました」
???:「……もう、あんな思いは…するのもさせるのも、御免なんですが……それでも、貴方がそう望むのなら…」

朱来儀:「……………」

???:「…………こっちへ、…ちょうど、あの時と同じ空の色ですね」
???:海の方に行くよ

朱来儀:「……?」ついていきます…

海の臨める場所へと近づいて行くと、アスファルトの上、通常であれば潮風ですぐ吹き飛ばされてしまうような場所に、ほのかに光る頁がある。

???:「………どうぞ」拾って手渡そうかな!

朱来儀:「……………」
朱来儀:「………あぁ…」受け取る………

それに触れた瞬間、眠っていた記憶が呼び起こされる。

日本の小笠原諸島という場所へ、旅行に赴いた時の記憶だ。
向かう道中で嵐に遭い、船が難破したこと。
その後運よく漂着した辺鄙な島で巻き起こった、あまりにも不気味な現象。

そして、そして——何とか乗り込んだ帰りの船で、何かが起こったのだ。

自分は、形振り構わず無我夢中で追い縋った。
絶対に失いたくない、それなしでは生きていけないものが、そこにあったのだ。

黄昏の空を映した海。そこに起こる水飛沫。
その時の自分は、……泣いていた、はずだ。

そこまで思い出したところで、ひどく頭が痛む。
まるで体が、これ以上記憶を取り戻すことを拒んでいるかのようだ。

朱来儀:「………っ、!!!」
???:「…………」

朱来儀:「こ、れ……は……なんだ、なんで……」涙出るかも…

朱来儀:「……そう、…だ………あの時……………………、」
朱来儀:「あの時……っ、」

朱来儀:「次の旅行、の、約束をして…っ、あいつとなら…どこでも良いと思ってた…どこへでも行けると思ってたんだ…、」

朱来儀:「でも、……」
朱来儀:「…でも、あいつは…一人で……っ……」もういないよ。

???:「………泣か、ないで、ください…」背中に手添えようかな…

朱来儀:「……っ、ずっと、一緒に居られるものだと、安心していたんだ……」
朱来儀:「でも、上手く、いかないな……、」

???:「……本当に……儘ならない、ものですね…」

朱来儀:「…きっと記憶を消すことで、俺は逃げていたんだ…何もかも忘れて…前にも進めずに…俺の時間はあの頃で止まったままだ…っ」

朱来儀:「なぁ、すべて、知っているんだろ…教えてくれ…苦しいんだ、ずっと。…お前は…俺の、なんなんだ…っ」

???:「………俺は……」
???:「……全てを知って、それで貴方は……前に、進めますか」

朱来儀:「…わからない、…でも、嫌なんだ…、もう、苦しいのも、寂しいのも、嫌だ」

???:「嫌、ですか……」

朱来儀:「俺を、救ってくれよ…、」

???:「…俺は、貴方にもうこれ以上…苦しんでほしくなかったんです」

???:「忘れることで、救われるんじゃないかと…それなら、忘れられてしまっても、いいと……」
???:「……でも、それがまた、貴方を苦しめていたんですね」

朱来儀:「…っ、」
???:「…………俺は、」

KP:ここで<聞き耳>をどうぞ。

朱来儀:ccb<=66 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=66) → 64 → 成功
???:ccb<=81 聞き耳
Cthulhu : (1D100<=81) → 98 → 致命的失敗

空からバキッと大きな音がした。

???:「…!?」
朱来儀:「…!?」

見上げれば、紅から群青に、黄昏に染まる空を、文字通り引き裂くように亀裂が走っていた。
それはどんどんと広がり、いつかはこの空全てを張り巡らしてしまうのではないかと貴方は予感するだろう。

そしてその時、一体何が起こるのか。
貴方には思い描くことすら叶わない。

1/1d6のSANCです。

——???

だが、貴方には何となく、嫌な予感がした。
終焉の時が近づいているような、そんな予感だ。

1d3/1d8のSANCです。

???:ccb<=93 SAN
Cthulhu : (1D100<=93) → 62 → 成功
朱来儀:ccb<=31 sanc
Cthulhu : (1D100<=31) → 43 → 失敗
???:1d3
Cthulhu : (1D3) → 3
朱来儀:1d6
Cthulhu : (1D6) → 4

KP:???のSANが3減少(SAN:93->90)
朱来儀:27だよ!(ウケ)

朱来儀:「なんだ、一体何が、」
???:「こ、れは………そうか…」

???:「……終わる、のか」
朱来儀:「お、わる…?」

その時、大きな鐘の音が響く。

それは貴方にとって聴きなれた、なじみ深い音だ。
死者を悼む、梵鐘の音。

その音は貴方たちを呼ぶかのごとく、街中に響き渡っている。

朱来儀:「鐘……、…」
???:「…変わり始めている、な……」

???:「…行ってみますか?」
朱来儀:「不思議だな…なんだか、呼ばれている、みたいだ…あぁ…行こう…」

***

鐘の音を頼りに、その場所へと貴方たちは足を運ぶ。
そこには幼い少年の姿があった。

朱来儀:「…?誰か、いるな…」
???:「…そう、ですね…?」

朱来儀:「ここにきて…初めてお前以外に人を見かけたな……」
朱来儀:「もしかしたら、あいつも何か、知っているかもしれないな…、おい…!」声掛けるよ

少年:「!」

振り返った少年の姿には、嫌というほど見覚えがあるだろう。

その少年は、今貴方の隣に居る男の面影をそのままに残していたのだから。
0/1d3のSANCです。

???:ccb<=90 SAN
Cthulhu : (1D100<=90) → 1 → 決定的成功/スペシャル
朱来儀:ccb<=27 san
Cthulhu : (1D100<=27) → 2 → 決定的成功/スペシャル

朱来儀:何だお前ら
KP:wwwww

朱来儀:「!」
???:「…!お前、は…」

少年:「…待っていました」

少年は一枚の頁を手に、優しく、しかしどこか悲し気にそう呟いた。

朱来儀:「…………待ってた…?」

少年:「…はい、貴方のことを」

朱来儀:「俺を……なんで…」
???:「…お前は、誰、なんだ…」

少年:「俺は…お前の一部、"名前"だ」

朱来儀:「名前…?」
???:「…?」

少年:「そうですね…"名前"という概念が形をとったのが俺、というわけなんですが…」

朱来儀:「そういえば…こいつも、名前を思い出せないと言っていたな…」
???:「…それで…俺は名前を失っている、わけか」

朱来儀:「俺を待っていたといっていたが……何で、だ…」

少年:「………俺は、貴方に忘れられたくない、と思いました…勝手なことだとは、分かっていますが」
少年:「…だからその本と、頁を用意したんです」

???:「…………」

朱来儀:「……これを、お前が…」
少年:「……はい」

少年:「貴方は…来儀さんは、俺にとって、特別な人だったので」

朱来儀:「……っ、…そう、か………」

朱来儀:「この世界は…なんなんだ…今から何が起きようとしているんだ…?」

少年:「…この世界は、貴方が持っている懐中時計…それによって、時間が止められた世界です」
少年:「…それによって、俺は…その男は、ここに存在出来ているんですが」

朱来儀:「時間が、止められた世界…?」ポケットから懐中時計取り出しとくか
???:「……時間が、止まっているのか…そうか、道理で」

KP:<目星>をどうぞ!

朱来儀:ccb<=68 目星
Cthulhu : (1D100<=68) → 55 → 成功

数字盤や外装が破損しているような気がする。
秒針の動きも不自然になっていっているようだ。

朱来儀:「さっきよりも、破損しているな、…俺はこの時計を気が付いたら持っていたんだ…この時計は…なんなんだ…?」

少年:「…それは、貴方の記憶を代償にして創られたものです」

朱来儀:「俺の記憶を…」

少年:「貴方が記憶を取り戻しつつあるので…その効力が弱まっているようですが」
少年:「壊せば力は消え、世界は元通り動き始める、はずです」

???:「……なるほど」

朱来儀:「……元通り……そうなると、お前たちは…どうなるんだ…?」

少年:「…どうなる、も何も………元に戻る、だけですよ」

朱来儀:「…………それ、は…」

朱来儀:「……」
???:「……そういうことか…」

朱来儀:「俺の記憶を代償にしているのなら…俺の記憶が完全に戻ったら、時計は…壊れるのか?」

少年:「…はい、そうなりますね」
朱来儀:「……そうか…」

少年:「懐中時計が使えるのはあと一度。そうしたらもう、やり直すことは出来ません」

朱来儀:「…………」
???:「…………」

少年:「……貴方の記憶を完全に戻すための鍵は、…"名前"です」

朱来儀:「名前……それを、知れば……俺の記憶は…。」
???:「…名前、か……」

少年:「…完全なものとなり、この世界は崩壊を始めます」
少年:「…まあ、崩壊と言っても…元に戻る、だけなんですが。あるべきものがあるべき場所に帰る…それだけのことです」

朱来儀:「仮に…名前を、知らずにいたら、この世界は、どうなるんだ…?」

少年:「……もう既に、かなり不安定な状態になっているので…このまま維持することは、難しいでしょうね」

朱来儀:「………そう、なのか…」
???:「…………そうか…」

朱来儀:「……」エーーーーーーーー

少年:「……懐中時計を修復すれば……もう一度使うことは、出来ますが…」

朱来儀:「!…修復、?」
???:「…!それは、つまり…」

少年:「…貴方の記憶を、もう一度捧げれば…時計の効力は、復活します」

朱来儀:「…!」

少年:「……しかし、その場合…二度目は、完全に時間が固定されることになるので…」
少年:「もう二度と、時間が進むことはなくなります」

朱来儀:「………時間、が…そうか………」
???:「……そん、なこと…」

朱来儀:「……………」

朱来儀:「俺、は…………」

朱来儀:「どうすれば、いいか、わからない……、何が、正解なのか、俺には…」
???:「…………」

朱来儀:「…俺の人生は…嫌な事ばっかだった 生まれてきたという証明も何もない、自分の人生が…嫌いだったんだ」
朱来儀:「生きてる理由も見つけられないまま、ただただなんとなく毎日を、生きていたんだ」

朱来儀:「でも、そんなときに、今の組織に入って、俺だけの…家族を、俺を家族と呼んでくれる人達に、出会えたんだ…」
朱来儀:「きっと、その家族は、今も俺の事を、待っていてくれているんだろうな」

朱来儀:「でも、…でも、俺は…きっと、帰ってもこの穴を埋められずにいるんだ」

朱来儀:「なんとなくの生活を続けて、なんとなく、なんとなく生きて、…」

朱来儀:「お前がいても、いなくても、結局俺は、前には進めない ずっとこの時に、取り残されているんだ」

朱来儀:「お前は、きっと、俺の選択を、止めるだろ でも、でも俺は…」
朱来儀:「お前と…一緒に居たい…名前も、何も、憶えていないのに、おかしいかもしれない…でも、」

朱来儀:「お前と一緒にいれるなら、ほかは何も、望まない…それだけで、きっと俺はどこの誰よりも幸せになれるんだ…っ、」

少年:「……そうですか…」
???:「……………それが、貴方の、答えなんですね」

朱来儀:「もう一度、名前を、呼ぶことができなくて、ごめんな…、」

朱来儀:「でも、どんな代償だって支払える、お前がいてくれるなら…、」
朱来儀:「もう、お別れは…嫌なんだ…」

???:「……俺は……自分の存在が、誰かを笑顔に出来ると…貴方に出会って、初めて知って…」
???:「…きっと、それが幸せなんだと…大きな夢なんて持たなくても、そんな日々がずっと、続けばそれでいいと」

???:「……本当は、あの時…あの船の上で……俺は、寂しかったんです。まだ、まだ生きていたいと…そう、思っていました」
???:「聞き分けの言い振りをして、仕方ないなんて、受け入れてるなんて嘘をついて…笑いたくもないのに、笑って」

???:「本当のことを言ったら、きっと貴方を苦しめてしまうと…そう、思って」

???:「……今これを言っても、また忘れてしまうとは…分かっていますが、それでも…」
???:「…知っていてください。…貴方が俺の隣に居て、幸せだと笑っていてくれる時…俺も、幸せだと感じていたんですよ」

朱来儀:「…………っ、」

朱来儀:「そんな、そんなの…っ、俺の、この選択は、お前を困らせて、ないか…?」
???:「……俺だって、まだ…これからもずっと、貴方と居たいと…そう、思っていたんですよ」

朱来儀:「…っ…取り残されている、なんて…言ったけど、時間なんて進まなくても、前に進めなくてもいいんだ…、お前がそう言ってくれるだけで、俺は…っ、…、」

朱来儀:「いいのか?記憶を犠牲にして、世界を手に入れても…、俺はまた、お前に、ひどいことを言うかもしれない、お前を傷つける、かもしれない…っ」
???:「…大丈夫ですよ。最初の、出会った頃に戻ったなら…また、始めればいいじゃないですか。何度だってきっと、やり直せますよ」

朱来儀:「………っ、あぁ…」

朱来儀:「きっと、俺は…お前にまた寂しい思いを沢山させてしまうかもしれない、でも、でもな、」
朱来儀:「何度、何度忘れたって、俺はきっと、何度でもお前を好きになるんだ…っ…いや、きっとじゃない…な、絶対に、だ…!」

???:「……はい。……何度だって…いつまでだって、付き合いますよ」
???:「……貴方が、終わりを望むその時まで、ずっと」

朱来儀:「だから…、安心して、…待っていてくれ…っ、」

朱来儀:「あぁ、お前なら…きっと、大丈夫、だろうな…」

朱来儀:「ありがとう…俺は、お前を、好きになれて良かった…大好きだ…っ、」

???:「…ありがとう、ございます……随分久しぶりに、来儀さんがそんな風に笑うところを見た気がしますね」
朱来儀:「…わはは、そうか?俺は結構、笑う方だと思うけどな」

???:「…そうですね。俺は…その顔が、好きなんです」

少年:「……もう、俺の出番はないな」

貴方たちの決断を見届けて、少年は"男"へ向き直る。

少年:「…ただいま」

そう囁いて、ゆっくりと目を閉じる。

少年の体は頁と同じように淡い光に包まれた。
少年は光の粒となり、男の体をふわりと包むように舞い、宙へと消えた。

???:「…………」
???:「……そうか……」

???:「…来儀さん。ひとつだけ、勝手なことを言っても構いませんか」

朱来儀:「…なんだ…?何でも言ってみろ」

???:「では…すみません、手を」来儀さんの手を取ります
朱来儀:見てます…

???:「……その時計を、使う前に……最後に、言ってもらえませんか」

???:手のひらに、飛、と書きます

その瞬間、貴方は目の前の男——フェイに関する記憶の全てを思い出す。

出会い、ともに過ごした日々、そして別れを。

大切な人の死を明確に思いだしてしまった貴方は、1d3/1d10のSANCです。

朱来儀:ccb<=27 sanc
Cthulhu : (1D100<=27) → 24 → 成功
朱来儀:1d3
Cthulhu : (1D3) → 1

朱来儀:「…!」

朱来儀:「あぁ…何度だって、言ってやる……っ」

朱来儀:「フェイ……、フェイ…、俺は、お前に、…フェイに、出会えて…幸せだ…っ、!」
汪飛:「……はい、はい…っ、俺も、幸せです…来儀さん」

空から今までよりはるかに大きな亀裂の入る音がする。
永遠の黄昏が終わる音だと気づくことだろう。

朱来儀:「もう、時間がないな…。フェイ…馬鹿な俺に、また…沢山お前の事を教えてあげてくれ…、また、お前を好きに、させてやってくれ…っ、」
汪飛:「…はい、任せてください」

汪飛:「何度忘れられても…きっとまた、笑える日が来ると、そう思えるんです」
朱来儀:「あぁ、…、お前を信じてるから、言ってるんだからな…っ、!…任せたぞ、」

汪飛:「……はい。ただ……」
汪飛:「……もう、呼ばれることはないんだと思うと…少し、少しだけ…寂しいですね」

朱来儀:「お前は意外と寂しがり屋だからな…っ、…」
汪飛:「…そう、ですか?自分ではそんな風に思ったことはなかったんですが……」

朱来儀:「お前は顔に出やすいから、な…」わかるのこの人だけだけど…
汪飛:「……来儀さんが言うなら…そうなのかもしれませんね」

朱来儀:「フェイ……」
汪飛:「…はい、来儀さん」

朱来儀:「俺も寂しいんだ…最後に、抱きしめてくれるか?」
汪飛:「…はい。そんなことで良いなら、いくらでも」

朱来儀:「ありがとう、フェイ………」

二人が言葉を交わす最中にも、パキン、パキンと夕暮れ空の割れていく音は止まない。
それは次第に数を増し、大きくなり、刻一刻と終わりの時が近づいていることを告げていた。

朱来儀:「俺の事、よろしくな、フェイ」

汪飛:「はい…いつまでだって、一生だって付き合いますよ。安心してください」
朱来儀:「わはは、それは、安心だな」

朱来儀:「………」
朱来儀:懐中時計握るよ;;;;;

汪飛:「…お願い、しますね」
朱来儀:「…あぁ」

朱来儀:「……またな、フェイ」
汪飛:「…また。すぐ会えますよ」

汪飛:「俺は、意外と根気強い方なんです…いくらでも待ちますよ、来儀さん」
朱来儀:「あぁ、…そうだったな、…待ってて、くれ、フェイ」

朱来儀:懐中時計に記憶を捧げます…!!!

貴方は記憶を捧げ、懐中時計が止まり続けることを願った。
すると、それに呼応するかのように、懐中時計は黄金の光を放ち始める。
遠く、上空から聞こえていた空の割れる音も止まり、見上げれば、その亀裂がゆっくりと塞がっていくのが見えた。

***

——来儀

ぐらり、と視界が歪む。
意識が揺さぶられるような、自分の中の大切な何かが消えていくような感覚に襲われる。
貴方は立っていることすらままならなくなり、フェイの腕の中でへたり込んでしまうことだろう。

***

——フェイ

来儀の体がふらりと揺れたと思えば、糸が切れたようにぐったりと倒れ込んでしまった。
貴方が様子を見れば、彼が眠っているということが分かる。

汪飛:「…!来儀さん!」

貴方が彼に呼びかければ、彼はゆっくりと瞼を持ち上げる。

その瞳に、貴方は覚えがある。

この永久の黄昏で再会したあの時に向けられた、貴方を忘れた、彼の瞳だ。
あの時と違うのは、貴方が自身の名前を憶えているということだ。

汪飛:「………覚悟は、していたが……そうか」

彼は貴方と再び生きるため、世界の全てと、貴方との大切な記憶を犠牲にすることを選んだ。
永久の黄昏に包まれた世界の中、2人だけの終わらない時間が刻まれ始める。

***

——来儀

貴方は自身の名を呼ぶ声で目を覚ます。

その声はどこか懐かしく、そして貴方の心を強く揺さぶるものだ。

朱来儀:「…う………、!?」

重く腫れた瞼を持ち上げれば、一人の人間の姿が。

その人物——声の主は、貴方には見覚えのない人物であった。
0/1のSANCです。

朱来儀:ccb<=26 san
Cthulhu : (1D100<=26) → 82 → 失敗

朱来儀:「な、なんだお前は…」

KP:<アイデア>どうぞ。

朱来儀:ccb<=65 アイデア
Cthulhu : (1D100<=65) → 14 → 成功

けれどどうしてだろうか、貴方の心はひどくざわつく。
それがどういう感情なのか、貴方には判別することが出来ない。

汪飛:「………」

朱来儀:「…?」ザワザワ
朱来儀:「な、なんなんだ、離せ…!」振り払う

汪飛:「…………貴方が、眠っている間に……世界は、滅亡したんです」

朱来儀:「……、は!?」
朱来儀:「世界、が……な、何言ってるんだ…、?」

汪飛:「……俺と、貴方だけが、この世界で…生きている、わけなんですが……」
朱来儀:「!?!?」

汪飛:「…まあ、いきなりこんなことを言っても、理解できないのは無理ないですね」

朱来儀:「…言っている意味がわからない…そもそもお前は誰なんだ」

汪飛:「……誰、ですか……誰なんでしょうね、俺は」

朱来儀:「はぁ?」
朱来儀:「………??」なんだこいつって思ってる

汪飛:「……自分でも、よく、分からないんですよ」
朱来儀:「わからない………」

朱来儀:「…」
朱来儀:「なんで、そんな顔をする…」なんか心がザワザワしちゃって…

汪飛:「………駄目ですね、こういうのは。性に合わないと言いますか…」

汪飛:「………何でも、ありませんよ。俺も、世界が滅んだことで混乱しているのかもしれません」
朱来儀:「………そう、か…?」

汪飛:「…そうですよ。まあ…奇しくも俺たち二人は、ここで生きている、わけなので…」
汪飛:「……貴方が、どう思おうが…きっと、長い付き合いになります」

朱来儀:「……」はぁ?って思ってる

汪飛:「……俺が、誰なのかは……いつか、長い時間の中で……貴方が俺を知って…そうすれば、答えが出るのかもしれません」

朱来儀:「はぁ……?さっきから何言ってるんだ、お前……」悪態しかつけない!?w

朱来儀:「…大丈夫か?」

汪飛:「………すみません」
朱来儀:「…………い、いや…」

汪飛:「……難しいですね。俺は自分では器用な方だと思っていたんですが…こういうのは苦手なようです」
朱来儀:「…そ、そうか…?」なんのことかまったくわかってないです

汪飛:「………そうですね…こういう時、何を言えばいいのか……」
朱来儀:「…???別に、無理に話さなくても良いと思うが…」

汪飛:「……ああ、でも…」

汪飛:「…俺も、貴方も……この、滅んだ世界に一人じゃなくて良かったですね…静かな世界に、一人は…寂しいですから」

朱来儀:「…?…そう、だな…、?…お前の言う滅んでるというのが本当なら…滅んでるという時点で、良いのか悪いのか、わからないが…な」
汪飛:「……そうですね…」

汪飛:「……半信半疑でしょうが……世界が、滅んだと聞いて…どう、思いましたか?」

朱来儀:「は…?いや、何言ってんだ、とは思ったが…俺も…比較的…落ち着いていた、な…」
朱来儀:「何故だか、わからないが…」

汪飛:「……悲しいとか、後悔とか…そういったものは、なかったですか」
朱来儀:「…………思わなかった、な…」

汪飛:「……なら、いいんです。もう暫くは…出来れば一生、泣き顔は見たくないので」
朱来儀:「…??」

汪飛:「…今はまだ、難しいかもしれませんが……」

汪飛:「……いつかまた、笑ってくださいね」

笑ってください、寂しげにそう口にする眼前の男の言葉の真意を、貴方は理解することができない。
だが、不思議なことに、異様に胸が締め付けられるような思いをするだろう。


貴方は永久の黄昏に包まれた世界の中、その男と生きることになる。
それは貴方にとって、不快感に満ちたものであるはずだ。

——しかしなぜか、目の前の人物となら、生きていけるような、そんな予感がした。


貴方の知らない貴方の決断で、大きすぎる代償は払われた。
貴方の手に入れたその未来が、選んだ道が正解だったのか、貴方にはまだ分からない。
ただ、どうしてか——彼がそこに居るだけで、貴方は歩いて行けるような気がした。

ED2:永久の黄昏

…というわけでお疲れ様です、シナリオクリアです!

朱来儀:88888888888888888

朱来儀はロストとなります。お疲れ様でした。

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