救済の裏話

秋も深まり冬の到来を感じさせる北風が吹いていますがお元気ですか。今日は作品紹介というよりは裏話を少しだけ公開しようと思います。ただこの作品は現在、私のブログのみで公開していますので、未読の方はぜひそちらから読んでみてください。

読まれた方はおわかりと思いますが、今作は私らしくない作品になっています。普段は男主人公でなにかのために生命を燃やす姿を書いてますが、今作は女主人公で自殺という終わり方を迎えています。私らしくない作品を書いたのにはもちろん理由があります。

私は今でも軽度のうつ病に近い状態で、状態が悪くなると自殺願望が強くなります。それは今でも自力で抑えることはできませんが、少なくとも今まで生きているので、自殺する可能性は低いだろうなと見込んでいます。ただ、それでも心がつらいことには変わりがないですが。
そして、日本では近年若者の自殺が増加傾向にあります。私の周りでも知人が学生時代に自殺したという話を聞くことがありましたし、現代なら誰しもそういう話を聞いたことがあると思います。ただ、この問題に正面から解決を目指している人の存在を私は未だに知りません。なぜなら自殺する彼らは最後の最後までその心の痛みを隠しているからです。気づいたときいには手遅れなんて言う事態が多いのです。

そこで、自殺願望に悩まされている人間がこの感情を世に伝えるべきなのではないだろうかと考えて書き出したのがこの作品でした。私にとってはベッドで一緒に眠るぬいぐるみぐらい日常的なこの感情ですが、経験したことのない人からしたら理解できない感情なのでしょう。それを少しでも理解してもらうためには物語が必要だと考えました。
自殺願望のうらにある感情は実際には人それぞれです。今作のように実際に存在する恐怖や絶望が原因になる場合、得体のしれない明日への不安が原因になる場合、感情の支えが壊れてしまった場合、思いつくだけでも様々です。それでも最終的にたどり着く自死へ吸い込まれるような気持ちを理解してほしく、私なりに努力したつもりです。自分が自殺しそうになりながら書きましたからね。

もう一つ、作品を書いたのには理由がありました。それは私のこの自殺願望への決別です。明日への得も知れぬ不安と恐怖、自分が死ぬことでしか贖えない罪と罰、自殺した先にある家族や知人の幸福、それらの感情や妄想に対して本好きの私にできる解決策は名前をつけて「落とす」ことでした。感情ではなく思考の段階に下げることで対処しようと考えたのです。ですから、これは作品でありつつも、13万文字のわたしの感情の名前でもあるのです。
これからもし心がつらくなったとき、この作品を読み返すことで私はきっと現世に残ることができる、そういった道具として書き出しました。

本作品の趣旨と内容の特徴から普通の投稿サイトに載せることを少しはばかられ、自分のブログのみで公開する運びとなり、多くの人には届けられないかも知れないと感じてはいますが、もしこの作品と出会い救われる人が一人でもいたら嬉しいですし、げんに自分が救えるのなら書いた意味はあるのかなと考えています。

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