見出し画像

美大生になりたかった。(これから)

絵を描くのが小さな頃から好きだった。今でも気づくと落書きをしている、それくらいずっと「描くこと」には触れてきた。

そんな私の将来の夢は、イラストレーターだった。

しかし、いつからか、私はその夢を人前で口にすることはなくなった。
そして、高3の私は芸術となんの関係もない進路を選んだ。それは
「普通」になりたかったからだ。
普通の会社勤め、普通に家庭を持って、普通に老後を暮らす。
それが、人生の「目的」のようなものになり変わっていた。

高校生の私は学校に行けなかった。
高2で不登校になった私は、進路を決めるにあたって、それてしまった進行方向を「普通人生」のコースに戻すため、
自分のやりたかったことではなくて、普通になれるための学校を選んだ。

そういう進路の決め方の人、結構いると思う。
なんなら、自分の夢に真っ直ぐな高3なんてそうそういないだろう。
自分のやりたいことを大声で宣言するようなものだと思う、進路を決めてそこに向かって勉強するって。

普通になりたかったこと以外に、もう一つ美大を選べなかった理由がある。

それは自分の絵が苦手だったからだ。自分の絵にずっと劣等感を抱えていた。自分より上手い人がたくさんいる中で、自分の実力が露呈されることにビビって、高校の時の弱い自分は美術部に入ることさえできなかった。

自分なりにイラストの練習もしてみた、しかし、指導者や先達がいない中一人で、良し悪しがわからないまま練習するのは、無駄だとわかった。

色々理由を挙げたが、結局私は絵から逃げていたのだ。

話は変わるが、今私はある本を読んでいる。


『最後の秘境 東京藝大-天才たちのカオスな日常-』 二宮敦人著

最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―(新潮文庫)

この本は、東京藝大に通う学生のカオスな日常に迫った本である。この本に登場する、東京藝大に通う学生は、本当に個性豊かで生き生きとしている。

ちなみに、私はこの本を読んで早速「口笛 チャルダッシュ」をYOUTUBEで検索した。(口笛チャルダッシュが何か気になる人はぜひこの本を読んでみてほしい。)

とても笑えるし、プロフェッショナルの、プロフェッショナルたる所以みたいなものを感じることができる面白い本だ。

東京藝大の学生は、たぶん私と対して年齢が変わらないのに、若々しくて、爽やかで、生き生きとしている。
対する私はどうだろうか。24歳、職なし。突然さみしい気持ちになった。

この記事は、そんなさみしい気持ちを持って、この本を側におきながら書いている。そしてこの記事は、あの時「絵」から、そして「やりたいことで失敗するのが怖かった自分」から逃げた私のための手紙である。

高校生の時の私へ。必死に普通コースで走ろうとしていたよね、でもね、普通コースで私はやっていけなかったよ。ごめんね。
今、私はニートであり、失うものはほぼ何もない。
地位も名誉も無くなった(元から大してないけど)。

でもね、高校生の時の私。意外と、普通じゃない今の自分悪くないんよ。
身包み剥がされて全裸でいるのは寒いけど、開放感みたいなものを感じる
(露出魔ってこんな気持ちなのかな)

全部から解かれた私は、今なら何にでもなれる気がする。

それでまた失敗しても大丈夫。竹原ピストルだって「必要なのは走り始め続けることだ」って歌ってるし。

そんなわけで、まだ薄ぼんやりとしているが、ニート2024当面のやってみたいことが決まった。美大(ないしは美術関係の専門学校)にアルバイトしながら通うことだ。

途中でやっぱり逃げるかもしれない。それでも、挑戦してみたいと思える。

逃げても、それまでの過程は無にはならない。
勉強の良いところは、途中で放棄しても、それまでの努力は蓄積されている、というところだと思う。

たぶん、自分の人生で美術を勉強しなかったことは一生わだかまりとして、残っていて、溶け切らなかったコーンスープの底のでろでろみたいに、ずーっと(そしてちょっとしょっぱくなって)いるんだともう。

それはたぶん死ぬ時になっても。

今潰せる後悔なら潰してしまっていい。あとからぐちゃぐちゃに膿んでも、傷が痛くても、問題ない。
もう私は、高校生の時のように「普通」に走ったりしない。普通は私の身の丈には合わなかったことがわかったから。


高校生の私
24歳の私は決心することができたよ。
高校生の私、頑張って「普通」になる方法を模索してくれてありがとう。普通の道ではうまく歩めない私だから、これからは自由に、好きなように舵を取ってみようと思うよ。


失敗するかもしれない?
大丈夫。なんてったってここまで何回も(本当に何回も)転んできたんだから、今更あばらの1本2本折れたってどうってことないよ


甘い考えかもしれない、それでも私は自分の新しい可能性に賭けてみたいと思ったんだよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?