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子供が塾を3ヶ月で辞めた話ーその12:塾の経験を振り返って(コスパ編)



前回までのあらすじ

突然塾に通いたいと言い出した子供。私立中学受験に全く興味がなく、何も知らない状態でまずは友達の親に色々と聞いてみることに。小学校高学年になってくると定員がいっぱいで入れなくなるから、辞めるのは後でできるからとりあえず入ってみたら、というアドバイスをもらう。次はいよいよ塾選び。入塾試験なる不思議な関門を乗り越え、体験授業で感激した子供はついに塾を選んで通うことに。塾のシステムに不慣れは親は、最初の難関、宿題の多さに四苦八苦する。特に最初の数週間は塾、宿題、試験というサイクルに慣れるのに時間がかかり、家庭内での諍いが増える。授業内容と試験内容にやや疑問を持ち始める。Ankiを使って暗記科目を克服し、クラス分けを楽しむ子供。一方、宿題や塾で理解できなかった点のフォローなど、親のサポートが増えてくる。学校探しを始め、私立中学には給食がないことを知り愕然とする親。ところが一転、子供の方から宿題が多すぎて大変だから塾を辞めたい、ということで平和が訪れる。塾の生活を振り返って、私立中学校の利点がよく分からなかったな、と思う。

3ヶ月の塾生活を振り返って

前回の記事で、塾生活を振り返ってみて思うことが2つあると書きました。

1. 私立中学校の利点がよく分からない
2. コストパフォーマンス悪すぎ

の2つです。前回は1つ目について書きました。今回は2つ目の「コストパフォーマンス悪すぎ」という点に絞って振り返ります。

コストパフォーマンスの悪さ

塾で出される宿題や授業の内容を見ながら疑問に思ったのは、「これ3年も勉強する必要ある?」ということでした。周りの子の話を聞いていると、遅くとも小学校3年生には塾に入っていて、早い子だと小学校1年生や2年生から塾に通う子もいます。そんなに早くから塾に通い出す理由は、よくよく聞いてみると「4年生からだと空きがないから」、というのが大きな理由になっています。3年間勉強しないと受からないから、ではありません。そのために年間100万以上するような塾費用を3年間も払うのか、というのは費用が高すぎではないかと思いました。また、最近の言葉で言うところの「タイパ(タイムパフォーマンス)」も非常に悪いと思いました。ざっくりと3年間の時間と300万がかかって、しかも親の時間も相当取られるので、親の時間コストもかかります。年間100万円あったら他に何ができるだろうか、それこそ子供にピラミッドでも見せておいた方が後々役に立つのではないか、と思ってしまいました。

金かかりすぎ

3ヶ月で塾に支払ったのは、

  • 入学金

  • 月謝

  • 夏期講習代

で、だいたい30万ぐらいでした。3か月でこの値段なので、おおよそ月10万、年間120万のペースです。小学校4年生の時点でこれで、5年生、6年生になると授業数も増えてもっと高くなるらしいです。最低でも3年で360万円、おそらく5、6年生の時の授業料アップを考えると、400万以上はかかると思います。

さらに私立中学に入学するとすると、おそらく中高一貫校がほとんどのはずなので、6年間私立学校に通うことになります。私立学校の授業料は文部科学省の調査データがあります。

https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf

平成30年度子供の学習費調査の結果について

2018年の調査結果で、これによると私立中学校は年間140万円で公立の2.9倍、私立高校は97万で公立の2.1倍です。中高6年間で、私立だと711万、公立なら285万と、私立に中学校に進んだ場合、公立に行った時より426万円余分に教育費がかかることになります。

塾の3年間と合わせると、400万+426万 = 826万円です。

このお金があったら、家族全員で世界一周旅行ができそうです。

この金額を安いと見るか、高いと見るか。これは投資だ、これぐらい投資すれば、子供の将来は安泰なのだ、という確信があれば安いのかもしれません。私の場合は、このお金があればこれができる、と思ってしまうぐらいなので、高いなと思ってしまいました。

これぐらいのお金があれば、評判の良い公立中学校がある学区に引っ越した方が良いのでは、という気もしました。前回の記事で少し触れたように、住んでいる学区の公立中学が荒れているなどの理由で子供を通わせるのが心配、と言うような場合にも、引越しをして解決をすると言う方法もあると思います。この点は「1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました」という本にも書いてありました。アメリカの話なので日本にそのまま当てはめられるわけではありませんが、この本でインタビューした金持ちによると、レベルが高い公立学校がある地域は家の評価額も高くなるので、子供全員を私立学校に通わせるお金を考えると、高額の初期費用を払っても近所にレベルの高い公立学校のある地域に住む、らしいです。

時間かかりすぎ

塾の授業や宿題にかける時間など、1日あたりの勉強時間がかかりすぎなんじゃないか、というのと、3年という通う期間が長すぎないか、という2つの面で時間かかりすぎ、と思いました。

授業にかかった時間は毎週2回の授業で、それぞれ5時から8時の3時間。月に一回は試験があったのでそれがだいたい3時間。一月4週間として考えても、これだけで3 x 2 x 4 + 3 = 27時間。塾がない週の残りの5日間は、毎日宿題に1時間から2時間かけていたので、仮に1.5時間かかっていたとすると、5 x 1.5 x 4 = 30時間。塾だけで57時間。学校が3時半に終わってから夜10時に寝るとすると、平日は6.5時間の自由時間があって、週末は朝8時から夜10時まで14時間自由時間があるとすると、(6.5 x 5 + 14 x 2) x 4 = 242時間が1ヶ月あたりの子供の自由時間とすると、24%が塾による勉強時間に当てられています。

この生活を小学校4年生から始めるとすると3年間続きます。本当に3年も勉強しないと私立中学は受からないのだろうか、と言う気がしました。長くても1年ぐらい勉強すれば、できる子は受かるんじゃないか、とも思いました。実際に知り合いの子で、その子は御三家というような私でも知っている進学校に合格したのですが、授業や宿題が簡単で一度やれば分かるから、そんなに忙しくなかった、という感じだったそうです。そんな子にも一律同じ量の宿題を出すので、効率が悪いなと思いました。

最初の方に書きましたが、通いやすい近所の塾だと、もう空きがないので電車で通わないといけない少し離れたところに通うことが多いようです。我が家は小学校4年生の4月から始めましたが、周りの人の話を聞くと、小学校4年から入るのはかなり遅い方だそうです。それでは近くの塾はもう空きがない、だから急がないといけない、という話でした。子供が生まれた時ぐらいに、保育園不足の話があって、今は生まれてから保育園の見学を予約するようでは遅い、妊娠が分かった時点で予約するのだ、なんていう本当なのかどうだか分からない噂を聞いたことがあり、それに近いような冗談みたいな話だなと思いました。

最初に感じた違和感は、例えば社会の宿題の範囲で、日本の地名などの地理問題ばかりだったことです。これは小学校5年生になったらみんな分かっているよね、というような問題で、要するにそれを先取りして勉強して、6年生などになった時に本格的に試験問題などの対策ができるように、ということだとは思います。ですがそれは単に先取り学習しているだけで、クラス分けの基準も(いずれはみんな知ることになる)知識を持っているかどうか、というだけの違いで分けているので、何か意味があるのかな、とは思いました。

効率悪すぎ

大きな違和感があったのは、塾に通う期間が昔より長くなってきていることです。もし塾での教え方が効率化していて、生徒のレベルや進み具合に応じて最適な学習が提供できるのであれば、塾に通わないといけない期間は短くなるはずです。ところがそうはなっていない。考えてみれば当たり前の話で、塾はより収益を増やさないといけないわけなので、塾に通ってもらう期間を長くするように最適化していきます。

講義で一斉に同じ授業を対面で受ける、というのも非常に効率が悪いなと思いました。オンラインで自宅からビデオでも見たら、倍速でも見られるし、時間が短くて済むと思います。また、通う時間も無駄だなと思いました。自宅から徒歩や自転車で通えるぐらいの距離なら良いですが、大抵空きがないので同じ塾の別の校舎に通う必要があったりして、そうすると電車で片道20−30分というのが多いようです。往復で1時間。その時間家でできた方がよっぽど良いのに、と思いました。

まとめ

私立中学に行くのは、勉強したい分野がはっきり決まっていて、公立学校ではできない、という場合や、面白い友達に出会うためのネットワークを作りたいとか、行ってもいいんじゃないかな、というのは前回の記事で書いた通りです。でも、そのための手段が塾に3年以上通う、というのはちょっといくらなんでもおかしいのではないかな、というのが私が塾生活を振り返って思うところです。

私立中学は入学が難しくなっているから、3年通う必要がある、などというのはおそらく塾産業によるマーケティングの結果で、多分半年から1年ぐらい通えばできる子は合格するのではないかと思います。それでは塾に空きがない、という場合は家庭教師を1年つければ、コスト的にも時間的にも良いのではないかと思います。

最悪高校に入ってから、3年間塾に通う、浪人覚悟で4年塾に通う、というのでも十分な気はします。結局日本での学歴というのは、どの大学に入学したか(東大中退でも世間に受け入れられる)、なので。

個人的には20年後ぐらいには、「有名大学に入学した」、というぐらいだと苦労するのではないかな、、、と思いますが、それはまた別の機会に、GAFAの入社面接の仕組みとか、外資系の職場で働く人たち、というような話題でブログに書こうと思います。

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