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電車じゃねえんだ、汽車なんだ!

本の大断捨離をしました。
古書引き取りサービスのお世話になる予定です。
中学生のころからずっと一緒に暮らしてきた「中島らもの明るい悩み相談室」もだいぶ茶色くなってきたので、これを機に感謝をこめてサヨナラ。
しおりや帯を抜く作業をしていると、何と出身高校の身分証明書が「中島らもの明るい悩み相談室」からポロリ。
裏を見ると、「通学定期乗車券発行控」とあります。
定期を作るために学生課でもらったのに、どうやら、しおり代わりにしていたようです。
でも、定期券をつくるにはこの用紙が必要なはず。
また、もらいに行ったんだろうな、私。
などと、しみじみしつつ眺めておりました。

自宅から海風にあおられながら自転車を15分ほど暴走させ、最寄り駅から汽車に乗り確か20分。
高校の近くの駅で下車すると、そこから歩いて5分。
正門からではなく、運動場から学校に入っていました。ヘラヘラしながら。
高校時代の平日の朝はこんな感じ。
ええ、電車じゃなくて汽車通学なんですよ。
ディーゼル車です。
あ、バカにしたな、そこの都会の方。
徳島県を走るJRの列車はディーゼルなんですよ、昔も今も。

数年前に、朝ドラ「あまちゃん」が流行りましたよね。
主人公が暮らす東北の街では、鉄道をディーゼル車が走っていました。
その鉄道の車掌さんが、都会の人に向かって言うんですよ。
「電車じゃねえんだ、汽車なんだ」って。
堂々と、でも少し悔しそうに。
しかし、大地震が起きたあと、この鉄道は電車じゃなかったがゆえに車両を走らせることができました。

「汽車」しか地元に無いことがずっと恥ずかしかった私ですが、このシーンを観たあと、何だか勇気が湧いてきたのを憶えています。
JR四国は大赤字らしいので、徳島を電車が走ることはなかなか叶わないと思います。
もうここまで来たら、今どき汽車しか走っていない奇特な県として目立っていけばいいんじゃないでしょうか。
うなるディーゼル音、立ち昇る黒い油の匂い。
ふと、「通学定期乗車券発行控」を手に想いを馳せたのでした。

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