ゆここ

いつも眠い。とつとつと書くだけのやつです。

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最近の記事

ヤギミルクを飲んでみたらすごいヤギだった

すごいヤギだった。 飲んだことがない人は、一度飲んでみるといいと思う。少なくとも、私には衝撃的だった。 見た目が牛乳なので、「薄い牛乳かな?」くらいのノリで飲んだらびっくりした。そんなことはなかった。 最初に突き抜けるヤギの香り。続いてさっぱりとした甘みが続き、最後にヤギが追いかけてくる。 濃縮コーヒーを混ぜて飲んだら、異国の味がした。木のカップとかで飲みたい気分になる。 好き嫌いが分かれそうな味だが、衝撃を味わいたい人におすすめしたい。 『ヤギミルクを飲んでみた

    • ドブネズミの思考

      会社から駅までの道すがら、歩道の傍にはたと目をやると、ドブネズミが佇んでいた。 いきなり居たので肩がビクついた。 隣を歩いていたサラリーマンのおじさんもその姿を見つけ、足を上げて驚く。 ドブネズミは微動だにせず、静かに俯いていた。 こんなビジネス街のど真ん中で、何を思うのだろう。 人ばかりのこの帰り道には、どうにも不釣り合いで、ドブネズミの周りにだけあまりにも静かな空気が流れていた。 通り過ぎる最後の瞬間まで、哲学者のような佇まいで立ち尽くしていた。 後に、この

      • 遠くの観覧車

        不眠のまま乗った通勤電車の窓から、遠くに観覧車が見えた。 こんなに毎日毎日同じ景色を眺めてきたはずなのに、今までまったく気付かなかった。位置的に、今は休園しているあの遊園地だろう。 朝焼けのなかにぼんやりと見えた観覧車は、ものの1分で建物の山に隠れてしまった。 なんか、一瞬だったな。 夢かなんかみたいだった。会社に向かうしんどさの中に、少し楽しさが加わって良かった。 また晴れた日に見つけよう。 『遠くの観覧車』

        • 勉強法がわかった

          この歳にして。 とっくに社会人になっているが、私はつい最近まで「勉強のしかた」が分からなかった。 テキストを読む、マーカーを引く、問題集を解く、まとめノートを作る… いろいろなやり方があるが、私の場合、そのどれに対しても、どうやって進めていけばいいのか見当を付けることが出来ないまま社会人になってしまった。 高校大学と進みはしたが、受験勉強でつまづいたままなんとか入学、学生生活の中での勉強は本当に大変な思いをした。 それから月日が経ち、資格の勉強をする機会がきた。

        ヤギミルクを飲んでみたらすごいヤギだった

          山肌

          山梨に住んでいた頃、玄関を出ると八ヶ岳が見えた。 原付バイクに鍵を差し込み、秋の初々しい冷たさを纏った空気を吸って、エンジンをかける瞬間が好きだった。 稲穂が揺れる農道を縫って、少しずつ赤に染まる広葉樹を眺めながら走った。 職場からも南アルプスが望めた。作業の合間に、薄くてすぐに消えてしまう雲が山肌を撫でるのを眺めた。 この時期は、昼間は日向にいると暑いくらいだが、夕方になると急に肌寒くなる。職場の人と「もうすぐ薪ストーブの出番ですね。」という話をしては、薪を集めて乾

          鯉とザリガニと

          子供の頃は、父によく荒川の河川敷に連れて行ってもらった。 当時はまだ舗装されていない場所が点々としていて、雑草が延々と続く道もあった。 バッタや蝶を追いかけたり、背丈ほどもあるススキ野を分け行ったり、夏雲を見ながら歩いた。 ある日は、川沿いを歩いていたらホームレスのおじさんが釣りをしているところに出くわした。おじさんは「お、今釣るから待っとけよ。」と言って数分で鯉を釣り上げていた。 「この鯉やるよ。」と、ぴちぴち跳ねる鯉をバケツに入れながら勧められる。狭いバケツの中で

          鯉とザリガニと

          もう25歳になった。

          亀が。 亀は長生きだというが、本当に長生きだ。動きがのそりのそりとしていて、毎日あくせく働く私とは違う時間の流れ方をしているのだろう。 今日は煮干しをあげた。目の前で落とす。匂いで気付いたものの、どこにあるか分からず陸に上がってしまったために、煮干しが腹の下に行ってしまった。ああ。 亀はいつも口をへの字に曲げて、厳しい顔をしている。しかし、難しいことは考えていないように思う。 水槽は大きな衣装ケースを使っている。100均で買ったプラスチックのまな板と人工芝を結束バンド

          もう25歳になった。

          笑顔で見送る

          周りが生活に忙しそうだ。 歳をとると、人との話題が仕事・子供・健康だけになってくるらしい。 実感として、確かにそうかもしれない。 私は未婚で子供もいないので、仕事と健康の話題は乗れるけど、子供の話題にはうまく乗れない。 みんなだんだんと未婚・既婚・子持ちで自分や周りをカテゴライズして、今後も付き合える人を精査していくのだろうと思うと悲しい。 でもそれはたぶん、悪いことではない。 みんなそうやって自分が生きやすいようにしていっているのだろうから、それを寂しいとか悲し

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          観光地のおみやげ

          観光旅行でお土産屋さんに入ると、その土地の美味しそうなもの、民芸品などが並んでいるが、中にはどこにでも売っているようなキーホルダーやマスコットも売っている。 私はこの「どこにでも売っているお土産」に対して反抗心を持っていた。 わざわざここに来て、こんなチープなキーホルダーなんて誰が買うんだろう、私は絶対に買わないぞ、と思っていた。 高校の修学旅行が北海道だった。 小樽のオルゴール館でお土産を探していたとき、友達がプラスチックのキラキラしたゾウのキーホルダーをお土産に買

          観光地のおみやげ

          踏み切りのおじさん

          小学校に行くまでの道中、踏み切りがあった。 踏み切りの脇には、いつも見守りボランティアのおじさんが立っていた。 おじさんは、毎日子供達に声をかけてくれる優しい人だった。 夕方、踏み切りが上がるのを待っていたとき、折り紙でできた小さな手裏剣やコマをくれた。とても丁寧に作ってあって、もらえたときは嬉しかった。 学校の窓ガラスにぶつかってメジロが死んでしまって、泣きながら踏み切りを待っていたとき、「それは可哀想だったね。」「でもあなたに悲しんでもらえたから、よかったんじゃな

          踏み切りのおじさん

          ハトは可愛くて偉くてすごい

          ジュズカケバトを飼っている。 鳩を飼っているというと、「公園の鳩?」「なにそれー」と言われることが多い。確かに実生活で、他に鳩を飼っている人にまだ出会っていない。 この鳩は、首筋に黒いリングがある。ジュズカケの由来はそこから来ている。色は茶色い、ちょうどミルクティーのような色だ。肩幅が広くてがっしりしているので、肩幅鳥と呼んでいる。でもそこが可愛い。 「鳴くの?」もよく聞かれる。ほっほおーう、と鳴くが、人に説明するのがなかなか難しい。でもとにかく可愛い。 鳩は「はと目

          ハトは可愛くて偉くてすごい

          スイカと明日葉

          スイカを育てたことがあるだろうか。 ホームセンターの苗木コーナーを見るのが昔から好きだった。トマト、きゅうり、なす。とりわけ、野菜の苗が好きだった。 あるとき、スイカの苗を見つけた。スイカができたらどんなに楽しいだろうと思った。どうしようもなく欲しくなり、母にねだって買ってもらった。当時は庭がある家に住んでいた。縁側の横に植えて、いつかなるその実を想像した。 スイカの苗はぐんぐん葉を伸ばし、青々と茂った。 しかし、肝心の実は一向に出来る気配がない。何がいけないのだろう

          スイカと明日葉