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いわきと高知、2020年のJFLを展望する

 地域チャンピオンズリーグが終わり、いわきFC(東北)と高知ユナイテッドSC(四国)の JFL 昇格が確定的となった。この2チームの場合、中心選手を上位リーグのチームに引き抜かれるようなことが無ければ、JFL でも中位以上の力はあると思われる。特にいわきFCは、天皇杯などでの様子から見て JFL でも初年度から上位に来そうな予感がする。
 しかし懸念も無いわけではない。
 高知ユナイテッドSCについては、JFL では飛躍的に増える遠征費用などの財務面の不安がある。同じ四国のFC今治は J3 に移り、九州の3チームと島根県の1チーム以外は大阪以東、青森まで分布する11チームとアウェー・ゲームを戦わなければならない。名前の通り、県を代表するチームであるので県・市からの支援は期待できる。しかしながら、経済的に決して強い県ではないだけに、地元財界からどこまで支援してもらえるかが鍵となるだろう。ただ、スタジアムについては後述のいわきFCとは異なり、J1 規格の春野競技場が使えるため問題ない。
 いわきFCの場合は、戦力面、財政面では大きな不安材料は無く、おそらく数年内に J3 への参入が可能になると思われる。そこで問題になるのがスタジアムで、地域内には公式戦可能な公共のスタジアムが存在しない。既にいわき市側で新設に向けて調査を始めているが、15,000人収容規模のスタジアムでは採算面に課題が残るとされている。
 「J3 止まり」で考えれば、楢葉町・広野町にあるjヴィレッジ・スタジアムという案もあり得るが、同施設はナショナル・トレーニングセンターであり、1チームのホームとすることができるか疑問ではある。
 また、仮に J3 に参入できたとすると、既に J3 に参加している福島ユナイテッドFCと競合することになる。福島ユナイテッドFC自体、観客数の低迷と財務上の不安という課題を抱えており、もともとそれほどサッカーの盛んではない土地で少ない観客を奪い合うという、不毛な結果を招く可能性も否定できない。
 一方、JFL からはFC今治の J3 参入が確定している。また、武蔵野シティFCも今季の4位以内を確定させたが、観客数その他多くの課題を抱えており、Jリーグ側の審査結果次第ということになりそうである。仮に2チーム参入なら、JFL から地域リーグへの降格は無しということになるのだが、今治のみとなった場合は最下位チームだけが降格となる。しかも現在15・16位の流経大ドラゴンズ龍ヶ崎と松江シティFCは、勝ち点差1で最終節に直接対決となっている。Honda の優勝も、今治の J3 参入ももう決まってしまった現在、最終節で唯一の "熱い" ゲームが降格争いになるとしたらなんとも残酷な話である。

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