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我が子の塾選び〜大学生アルバイトが授業する個別指導塾のリアル〜

大学生アルバイトが授業をする個別指導塾はどうなのか。
内情を踏まえ、塾選びという観点から綴ります。

こんにちは。こもくです。

私は現在31歳の男で、教育業界に身を置いています。
具体的には小中高生に向けて集団授業・個別指導・家庭教師をしています。

私は大学生の頃に始めた個別指導塾のアルバイトが楽しかったことをきっかけに、教育業界で生きていく運びとなりました。

さて、本記事ですが、我が子を塾に通わせることを考えている親御様に向けて、

大学生アルバイトが授業をする個別指導塾はどうなのか

という内容で執筆します。

結論として、「しっかり勉強を見てほしい」場合は別の選択肢を考えた方がよいと思っています。
家から近いからなどという動機で通うべきではないです。

その理由を、私自身のアルバイト経験などから赤裸々に綴っていきます。



■個別指導塾の仕組み

個別指導塾の仕組みを簡単にご説明しておきます。

学校の授業のように教師一人に対して多くの生徒がいるような形式ではなく、講師一人に対して生徒が一人〜三人の形式で行われるのが個別指導塾の特徴です。

講師一人に対しての生徒の人数は塾によって色々ですが、一人〜三人が主流です。

たまに誤解されている親御様を見かけるのでまず知っておいてほしいのは、例えば講師一人に対して生徒が二人の形式であるとして、基本的にはその生徒二人は別々の内容の授業を受けるということです。

講師が生徒Aと生徒Bに授業するとして、生徒Aには数学の授業をして、生徒Bには国語の授業をするといった具合です。

超例外的に、生徒Aと生徒Bが同じ学校所属で同じような学力の場合、二人に対して同内容の授業を展開することはあります。
しかし、これはかなり稀なケースです。
基本的には別内容の授業となります。

講師が生徒Aに数学を教えている間は生徒Bは国語の問題を解く、講師が生徒Bに国語を教えている間は生徒Aは数学の問題を解く、ということを授業時間内で繰り返していきます。

つまり、1対2の指導の場合、勉強を教わる時間は実質的に半分になります。60分授業だったら、講師が生徒1人に充てる時間は30分ということです。

もちろん残り30分もーー生徒がサボらなければーー勉強はすることになるので無駄では全然ありませんが、この仕組みは知っておくとよいと思います。

講師一人に対する生徒の人数が増えるほど勉強を教わる実質的な時間は減っていきますが、料金は安くなるのが一般的です。

例えば、大手個別指導塾ITTOのとある校舎の料金体系は以下のようになっています。

中学二年生の50分授業4回分の授業料
1対1:14520円
1対2:10890円
1対3:9460円

1対1と1対3で約1.5倍、授業料が変わっていることがわかります。

授業時間の価値をより高めるには1対1が最もおすすめですが、そこは予算との相談となります。

■個別指導塾の講師の大半は大学生アルバイト

さて、上では個別指導塾の一般的な仕組みを見てきましたが、本章では実体験を基にもう少し突っ込んだリアルな内容を綴っていきます。

これはよく知られていることかもしれませんが、個別指導塾の講師の大半は大学生アルバイトの方々です。

社会人プロ講師しか所属していない個別指導塾は必ずそれを宣伝文句に使いますので、その文言がない場合は大半の講師が大学生アルバイトということになります。

その事実に対して、

指導経験の浅い大学生では生徒を導けない

という批判の声を耳にすることがありますが、私はこれには懐疑的です。

教えることや生徒のモチベーションを高めることが上手な大学生講師の方を沢山見てきたからです。
もちろん指導や受験に関する知識は経験を積んで身につくものですが、教えるのが上手い人は最初から上手いです。
年齢が近い分、生徒からしても話しやすいこともあるでしょう。

ただ、私の意見として、ある程度の水準の授業を受けたいのであれば、大学生アルバイトの個別指導はお勧めできません。

これは、大学生アルバイトの方々がどうこうというより、彼らを雇う側の問題に起因します。

■問題点

大学生アルバイトの方には、基本的に授業時間に対してのみ給料が支払われます。

しかし、大学生アルバイトの方がやるべきことというのは授業だけではありません。

大筋として、

1.授業準備
2.授業
3.報告書の記入

という三つのやることがあります。

良い授業をするためには授業準備が必須です。
経験が浅い講師なら尚更です。

また、授業後には報告書というものを記入することになります。
報告書とは、今日の授業内容や生徒の様子を記録するものです。
報告書を保護者の方に送付するかしないかは塾によるのですが、報告書自体はほぼ全ての塾で書かれていると思います。

「1.授業準備」「2.授業」「3.報告書の記入」という三つのやることがあるのにも関わらず、時給は「2.授業」に対してのみ発生します。

その結果何が起こるかというと、

・授業準備をしない
・報告書を授業時間内に書こうとする

という事態です。

授業準備をせずに授業に臨みその場で対応し、生徒に問題を解かせている間などに生徒の様子を観察したり次に教えるべきことを考えるのではなく報告書を書くのです。

これが、私が大学生アルバイトの個別指導をお勧めできない理由です。
彼ら自身の問題ではなく、彼らを雇う側の問題です。
塾側が適切な対応をしないことで、そのしわ寄せが生徒にくる構造になっています。

賃金が発生しないにも関わらず授業準備をしっかりとし、授業中は生徒に集中し、報告書は授業後に事細かに丁寧に書く講師の方もいます。
本当に頭が下がります。
もしそのような講師の方と巡り会えたら、めいっぱい感謝してあげてほしいと思います。

ちなみに、私の肌感として、アルバイトに対する時給が高い塾では授業準備がしっかりと行われているイメージです。
気になる塾に出会った時、その塾の採用ページで時給を確認してみるとよいかもしれません。

■関連書籍

塾の選び方も含めて、中学受験における親御様の心構えについてわかりやすくまとめている書籍をご紹介します

・「塾なんて行かなくても」はありえない
・中学受験塾に通うようになったらこんな生活に
・地元の中小塾に通うなら
・受験には、両親も覚悟が必要

下の書籍より

上記書籍はサブスクKindleUnlimitedで読むことができます。


■結論

大学生アルバイトが授業をする個別指導塾について、結論を申し上げます。
どういう動機で塾に通わせたいかで適するか適さないかが変わります。

適する場合
「勉強習慣を少しでもつけさせたい」
「学校の勉強についていけないので補習をしてほしい」
「年齢の近い講師に教わりたい」
「(プロ講師に頼むよりは)安価に済ませたい」

適さない場合
「しっかり勉強を見てほしい」
「偏差値の高い学校を目指したい」

特に「しっかり勉強を見てほしい」場合、お金はよりかかりますが、プロ講師による個別指導や家庭教師などの方をお勧め致します。

お子様に合う塾が見つかることを祈っております。

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