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白河の関より南湖公園

古来、たくさんの和歌に詠まれて有名な「白河の関」に前から一度は行ってみたいと思っていました。白河市は福島県の最南端にあり、栃木県との県境を越えると那須町に入ります。実は、私の友人が那須にもっていた別荘に現在永住していて、毎年数回招かれて遊びに行っているのですが、なぜか近くにある「白河の関」には行ったことがなかったのです。そこで今回、車で連れて行ってもらいました。

行くまでは、「白河の関」というくらいですから「箱根の関所」のように道の狭くなったところに関所跡があるのかと想像していたのですが、行ってみて少しがっかりしました。白河神社という小さい神社がありその手前に、ここが白河の関だったという石碑があるだけだったのです。周りは偏狭な道が一本というような場所ではなく、広々としてどこからでも通り過ぎれるような場所でした。

案内板を見ると、白河の関が機能していたのは平安時代の頃までで、江戸時代にはどこにあったのかも不確かだったようです。当時の白川藩主である松平定信が、白河の関があったのは白川神社のあるこのあたりだったろうということで、「古関跡」という石碑をわざわざ建てたようです。和歌にたくさん詠まれていたのは、日本の東北の僻地にある遠いところという意味での枕詞に使われていただけのようですね。

そこからランチを食べに市内に向かい、白河市の中心より少し手前にある「南湖公園」というところにに行きました。ここも松平定信により作られたという小さな湖のあるとてもいい感じの公園です。ここの湖畔からの眺めは大変すばらしく、湖越しに山頂に雪をかぶった那須連山を眺めることが出来ます。下の写真を見ると一見スイスではないかと思われる風景ですが、ヘッダーの画像でわかるように、手前に松があるところが実に日本的です。

南湖から見える那須連山

ここの湖畔には有名なお団子屋さんが何軒かあって、なぜかそこでうどんが食べられます。南湖公園に行ったのは今回が二度目で、以前美味しいうどんを食べたことのあるお店に行ったのですが、あいにくその日はお休みでした。代わりに、少し離れたところにある「うどんそば」と看板に書いてあるお店に入ったのですが、ここで一番のお勧めというというのがなんと、うどんではなくラーメンでした。出されたのは手打ちの縮れ麺に醬油味で昔懐かしい味でした。実はこれが白河ラーメンと言われる地元で有名なラーメンなんですね。市内には白河ラーメンの店が100件以上もあるそうです。

白河市は平成の時代に首都圏の移転先候補の一つになったので有名なところですが、観光地というほどでもないので普段はなかなか行く機会のないところかも知れません。もし行く機会があってあまり時間のない時には、少し遠い白河の関よりも南湖公園に行くことをお勧めします。景色がよくて美味しいものが食べられるのは観光の第一条件ですからね。

最後に、白河の関を詠んだ多くの和歌の中から平兼盛の一句を味わってください。
便りあらば いかで都へ 告げやらむ 今日白河の 関は越えぬと
(つてがあったなら、どうにかして都の人たちに告げたいものだ。今日あの名高い白河の関を越えたと)

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