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#ルージュの伝言の正体

ジブリ映画『魔女の宅急便』でお馴染み、荒井由美『ルージュの伝言』について肉村ハム蔵さんが面白いnoteを書いていました。

ひとによって解釈が分かれるポイントはいくつかあるが、特に「ルージュは誰のもの?」「伝言の正体は?」の2点が争点になるよう。面白いので、わたしの解釈を書いておく。

「ルージュの伝言」の正体は?

ハム蔵さんのnoteを読んで、なるほど、確かにこれは人によって解釈が違うかもしれないなあなんて思っていました。面白いなあって。
その後アップされた、ささいな笹さんのnoteを読んでもうびっくり。こんなにも解釈って違うんだ、と。妄想の解像度の高さ、細かさよ。歌詞の中に父親は一切出てこないのにこの一文が入っていてニヤニヤしちゃいました。

父親は「あのひと」の父の上司にあたる存在

#ルージュの伝言の正体

さて、これを読んだらわたしも書かずにはいられませんでした。
まず前提としてわたしは妄想をする際に自分に置き換えがちです。そして自分であるならば出来る限りハッピーエンドにしたいのです。なぜなら妄想で傷つきたくないから。

「あのひとのママ」と「私」

曲を聴いていていつも思っていたのは「あのひとのママ」と「私」の仲が良いなあということ。あのひとが居なくても、あのひとのママに会いに行けるような関係なんですよね。さらに「こんなことがあったんです、しかってください」ってお願いも出来ちゃうなんて相当見知った仲なのでは?と思います。
「たそがれせまる」中、列車に乗っているけれど、しかってもらうのは「明日の朝」ということで、丸一日時間が経過するのも気になります。私はどこで日を跨ぐんでしょう。「あのひとのママ」の家だとしたらわざわざ電話するの翌朝にするかしら。「⚪︎⚪︎ちゃんが家に来てこんなこと言っていたわよ」ってすぐに電話しそうじゃない?ということは、「あのひとのママ」に会うのはきっと翌朝。あと「しかってもらう」用事でわざわざ宿泊費かけるかなあ。

「あのひと」は同棲中の幼馴染

つまり「私」の実家と「あのひとのママ」すなわち「あのひと」の実家って近いんじゃないの?実家に帰って、泊まって、翌朝ピンポンして「こんなことがあったんです、しかってくださ〜い」の流れなんじゃないの?つまり「あのひと」って幼馴染なんじゃないの?というのがわたしの解釈です。少女漫画っぽくなってきましたね。続けましょう。
そもそも「しかってもらうわ」の時点でそれで終わりにしようとしているように思えるんですよね。別れる気は全くない。だけどさすがにモヤモヤするから解決するまでは「家には帰らない」と。
家には帰らない、ということはおそらく一緒に暮らしていることは間違いないんでしょう。幼馴染と上京して同棲…良いですね。「てあたりしだい 友達にたずねるかしら」という点からも共通の友人は多そうです。社会人になってから出会っているのならば共通の友人ってそんなに多くはないのではないでしょうか。「てあたりしだい」という表現から人数がそれなりにいないと使わないような気もします。

そもそも浮気はしていない

お、急にハッピーエンドに向かい始めましたね。
「浮気な恋」というフレーズが出てきますが、そもそも浮気って本当にあったことなんでしょうか。自分のものではないルージュを同棲している家の中で発見し「これは浮気だわ」と思った、という話ですよね。同棲中に浮気をするなら、同棲している家で浮気相手と会っていたってよっぽどじゃないですか?悲しいことにもちろんそういう人もいるかもしれませんが、ママに電話でしかられるような人がそういうことをするかなあ、と。
え、何これ!私のじゃないルージュ発見!ひどい!浮気だわ!あのひとのママにしかってもらお!いまから行ったら翌朝になっちゃうけど、いいや行っちゃえ!列車に乗るわ!…っていう「私」の方にもしかして勘違いがあったのでは?という気がしてきました。ずいぶん感情に任せて行動しているように思えるから。友人に連絡する(だろうと思われている)し、冷静なのは「あのひと」の方なんじゃないかなあ。

同棲中はプレゼントの隠し場所に困るもの

これ実体験なんですけど同棲しているとプレゼントの隠し場所って困りませんか?つまり何が言いたいかというと、ルージュは「あのひと」が「私」に贈ろうと思っていたもの、なんじゃないかと。
普段ルージュを使っておらず、どれが良いか分からないけど、でもそろそろ良い年齢だし私もルージュ欲しいなあ…なんて呟きを聞き逃さなかった「あのひと」。だけどルージュって一体どこで買えばいいんでしょう。ある日、ふと立ち寄ったドラッグストアに素敵なものが置いてあるじゃないですか。なるほど、こういう場所でも買えるのね。ドラッグストアでプレゼント用、というわけにもいかず、小さいから無くすのも怖くて、洗面台下の歯ブラシとかのストック置き場にこっそり隠したつもりだったんじゃないかしら。
それをシャンプーの詰め替えでもしようとした「私」が見付けて、何これ!と。こんな浮気の証拠がありましたけど?ってバスルームの目立つところにバーンと取り出しておいて、家を出た…こんなストーリーはいかがでしょうか。

余談『百瀬、こっちを向いて。』

映画『百瀬、こっちを向いて。』に印象的なシーンがあります。
百瀬(早見あかり)は好きな人と一瞬でも気持ちが通じる瞬間を大切しています。けれど彼は、百瀬と通じる一瞬以外は別の女の人のことを想っているのです。そんな百瀬がお手洗いでリップクリームを塗り直しているとき、隣に彼の想い人がやってきます。その女性が口紅を塗り直しているのを見て、百瀬がサッとリップクリームをジーパンのポケットにしまうんです。

何が言いたかったかというと、それくらい差を感じるアイテムなんだと思うんです、ルージュって。
歌詞の中の「私」はルージュをつけてみたい、でも、とルージュを買うか買わないかの狭間にいる女の子な気がします。「あのひとのママ」「しかってもらう」からもなんとなく大人になりきれない雰囲気を感じるし、だからこそあの明るい曲調なんじゃないかしら。

結論

・ルージュは「あのひと」が「私」に贈ろうと思っていたもの
・ルージュの伝言は「あのひと」の浮気の証拠、のつもりだった
・あんたらまたくだらないことで喧嘩したの〜?な幼馴染の物語

というわけで少女漫画的ハッピーエンドとなりました。
歌詞の解釈って本当に人それぞれなんですね、面白かったです。

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