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Going everywhere

「桜が咲いている。」
何気なく呟いて、消えていく言葉。
こんなに遠い異国の地にも、
桜は花開くのか。
でも、それでも
私の桜は
地元の土手に毎年咲いていた
目黒川沿いの桜ですら
きっと私はただの観光客

どこにも馴染めないまま
ここの桜は受け入れてくれるのかしら
まだ分からないけれど
扉を叩き続ける

全然前に進まないお伽話
ゆるゆると書き始めて
気付けば半分過ぎていて
終わりに向けて加速していく
気付けば掌の火傷も
少し痕を残して
癒えていた

今日はどこに行こう、
猫は気ままね
私も軽やかに飛べたら良いのだけれど
それは叶わぬ夢
でもジャンプを拝借することはできる
桜の花びらが舞い散るように
バスを捕まえて
港町まで揺られるままに
燻らせた吐息は雲の袂へ

チューリップも水仙も
桜に吊られて
身支度を始めている

ベンチで揚々とギター弾き
今日のバックグラウンドミュージックはお任せするわ
春の風に、スカートの裾が遊び始める

もう、走り始めていいのね
行き先は
四つ葉に混じる三つ葉が
案内している

何処にも行けない私達は
どこへでも潜っていける
めぐるめく模様は
川を滑る桜模様

風と共に、全てを塗り替えていく

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