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懐かしさの宿る場所


先日、数年ぶりに懐かしい街に足を運んだ。街のそこかしこに、思い出が残っていた。

期待で胸を膨らませながら夜行バスで街に着いた夜明け前。ランチの店を探して歩いた昼下がり。みんなで徹夜で作業をした雨の夜。

正直、あの街にあんなに懐かしさを感じるなんて思ってもいなかった。年を重ねるごとに、懐かしい場所が増えていく。

「世界中に第二の故郷を作りたいよね」

旅好きなメキシコ人の友人とそう語り合ったのは、いつのことだったか。

きっと、ただその場所にいるだけでは、懐かしさは残らないのだろう。人との思い出や、自分だけの思い出がある場所に懐かしさは宿る。

だから例えば、たった一度きり、もしくは数時間滞在しただけの場所にも懐かしさは宿る。そこに心動く瞬間が生まれたなら。懐かしさの宿る場所がたくさんある方が、きっと人生は楽しい。国でも街でも、そしてどこかの路地裏でも。

ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。