東京駅の地下には、修学旅行生の待機場所になっているスペースがある。揃いの制服に身を包んだ中高生たちが、気だるげに、あるいは好奇心があふれんばかりの瞳で周囲に視線を投げかけている。この子たちは、日本のどこから来たのだろう。この子たちの日常は、「トウキョウ」とどれくらい違うのだろう。

　中学生だった私の修学旅行先も「トウキョウ」だった。新幹線で2時間以上。テレビの中でしか知らなかった「トウキョウ」。人の多さに圧倒され、無数に張り巡らされた鉄道網に目を丸くし、班別行動では男子と女子が微妙に仲違いをし、限られたおこづかいの中で何をおみやげに買うか悩みに悩み、実は千葉に位置する「トウキョウ」ディズニーリゾートでみんなでおおはしゃぎし、寝不足で翌朝を迎えたそんな修学旅行。

　ずっと昔の自分たちと、今「トウキョウ」を体感している中高生たちの姿が重なる。きっと君たちもいつか思い出す。この旅を。