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「従業員との解雇トラブルを避けるためにはどうすればよいの?③」


前回まで解雇トラブルが起きる場面と対処方法の一例をお話してきました。

今回は解雇トラブルが起きないようにするために行っておくべきことについての一例をお話します。

採用時には細心の注意を

まず、どのような人を採用するかについては、法律上一定の制限(例 差別の禁止など)はありますが、基本的には企業側に自由が認められています。

前回まで述べたとおり、解雇をする場合には厳しい制限が課されることから、トラブル防止のためには採用時には、応募者の職業的な能力や適格性について細心の注意をもって判断することが大切であると考えます。
(なお、採用時における法律上の制限などは、改めてお話をすることを予定しています)。

日頃のコミュニケーション

解雇に至るまでには、小さな問題が積み重なっていることがほとんどです。

そのような問題を放置せず、日頃からコミュニケーションをとっておき、その都度、注意・指導をすることで、解雇に至ること自体を防ぐことも可能と言えます。
また丁寧に説明をしておくことで、後述の退職勧奨につなげること自体も可能であると言えます。

退職勧奨

やむを得ず退職を求める場合には、まずは従業員に対して退職を勧めることも考えられます。

誤解されがちですが会社による退職勧奨そのものは違法ではありません。
解雇と違い、それ自体に法律上の制限はありません。
そもそも退職勧奨は、従業員に任意の退職を求めるものであり、強制力もありません。従業員は断ることも自由です。
そのため、解雇に至る前に任意の退職を促し、従業員もそれに応じれば円満に解決を図ることは可能です。

ただしこの退職勧奨はやり方を誤ると、実質的には解雇であった、退職自体が無効と判断される可能性があります。
例えば複数名で取り囲んだ上で、従業員が退職届を作成するまで何時間も部屋から出さない、といった対応は「勧奨」ではなく、「退職を強要」するものと評価できます。結果として退職届が提出されたとしても、それは任意の退職と評価できないと考えられます。

そのため、退職勧奨を行う場合でも従業員に理由を説明し、検討する時間を取って対応することが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

いったん解雇したのち、それが無効であると裁判所で判断された場合には、従業員を復職させると共に、解雇の期間中の賃金相当額(および遅延損害金)を支払う必要が生じます。

解雇トラブルが生じた場合、従業員や会社双方にとって大きな損害が生じることもありますし、トラブルが長期化する可能性もあります。
そうなってしまうと、中小企業の場合には会社の業績にも影響しかねません。
そのため、トラブルが生じてから対応するのではなく、トラブルが生じる前にできる限り対策をすることが必要不可欠であると言えます。

どのトラブルにも言えることですが、トラブルの芽を見つけて、早めに対処しておくことが肝心です。
そのため、日頃から弁護士に相談できる体制を整えておくことが大切です。

詳しくはこちらをご覧ください!

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