人の生く岸

人が生く岸
人の生く岸

向こうの岸は彼の岸辺
独り或る日思った
彼処へ往く事さえ出来るの成らば屹度
静かに此処を見れる

此処はもう儘に為らないと
誰かの叫びを聞いた
皆が何時か人では無くなってしまうと
何故だかそんな気がした

ビードロ細工の人等は
壊れ易いと解らない儘
遣りたいなら遣れば良いと思って
昨日の行いが今日の悲しみを運んで
遣り直す事も 出来無いのに只繰り返す

此方の岸は生く岸辺
私は渡り始めた

此方の岸を歩く人
彼方の岸も見えない
皆が此の岸を離れてく其の日迄
荒らぐ風は止まない

必ず迎えが来るから
皆はそんな事も
忘れてしまって只只今許り生きれば
良いとさえ思って居るの

ビードロ細工の人の和を
壊す事さえ厭わず何を
得られると思ってるのか
今日の行いが先の悲しみ 生み出して
笑って済まされる程 そんな容易い事では無いのに

忙しく人の生く岸辺
静かに私見てる


本歌
さだまさし
「坂のある町」

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