チケットキャンプの際どいプロモーションを見て、IT業界と音楽業界に隔てられた壁は高いなと思った話

チケットキャンプ(チケット2次流通サービス最大手)が、何組かのバンド/アイドルグループの名前やロゴを使って広告を打っているのを見つけた。

※バンド名とロゴは消しています

これは、ミュージシャンのブランドを毀損しかねないプロモーションであり、何かしらの問題提起が必要だと思ったのでこの記事(エントリ?)を書くことにした。

具体的な弊害としては、

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・あまりにも安く売り出していることも手伝って、正規の価格で買っているファンがバカバカしくなる

・正規の価格での購入を望んでいるミュージシャン側からすれば、自分たちのチケットが叩き売りされているように見える

・叩き売りされているように見えるツイートが、広告で多くの人の目に触れる
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などなど。

この広告ツイート、大きな疑問があって、名前やロゴを使っているミュージシャン側に果たして許諾を得たうえでやっているのか? ということ。

個人的には、許諾を得ていないままやっているんじゃないかと思っていて、その理由は、これを掲載するメリットがミュージシャン側に一切ないし、非正規価格チケットの販売を進んで承諾する理由がないから。

※上記のプロモツイートを見た翌日、許諾を得て広告を打っているのかどうかを確認するリプライをした結果、リプから1週間以上が経過した現在でもまだ返答はない。

こういった経緯があり、チケットの2次流通サービスはこれからしっかりと環境を整備していくことができるのだろうか? と思ってしまった。

◆2次流通サービスの環境整備について、まさにこれから議論していこうというタイミングだったのに

中西:この前ニューヨークに行ったときも、友人が「明日ライブ観られないかな」という話になり、転売ビジネスのサービスを見て、チケットを購入しました。ユーザーサイドに立つと「こういうサービスがあって良かった」と思ってしまうんですから、無下に「是か非か」という話だけにはしたくないんですよ。

引用:チケットの転売ビジネスについて考える — ACPC会長/ディスクガレージ代表取締役社長 中西健夫氏インタビュー(Musicman-NET)

『ライブに行けなくなった人』と『行きたいけど抽選で外れてしまった人』を繋ぐチケットの2次流通サービス。それ自体に意義と需要があることは間違いないと思うし、上記の引用から判断する限りでは、ACPC側も認めていると思う。

そして、これから興行主側とチケット2次流通側で落とし所を見つけるための対話が行われていくであろうことが以下で書かれている。

どこに着地点があるか?を考えることが、これからの議題だと思います。「我々はあなたたちのものを侵していない」と言う転売ビジネス事業者に対して、大上段に「ダメだ」と言っているだけでは埒が明きません。例えば、大量のチケット購入に対してガードをかけるとか、チケットの高騰に歯止めを掛けるとか、常識の範囲内でルールを作っていく、考えていくべき時期に来たと思います。

—— 議論が始まるきっかけになればいいですよね。

中西:そうすると高騰していない方は、アーティストのブランディングとしてはマイナスになるわけじゃないですか。そういった側面も見なくてはいけないですよ。もちろん色々な意見があって然るべきですが、団体としてどういう見解を出すかは、もう少し先になると思います。今、日本音楽制作者連盟と研究会を始めたところですが、みなさんそれぞれ意見をお持ちですし、その中間を取れば良いのか、そこも議論しなければならないです。

このように、話し合いを一歩前に進めるための準備がはじまっていた状況であり、多くの関係者(コンサートプロモーター、興行主、ミュージシャン、事務所、チケット2次流通サービス事業者)が互いの意向を汲み取って着地点を見つけていかなければならないタイミングにあった。

そんななか、チケット2次流通側がこういったミュージシャンや事務所側の都合を考えないプロモーションをしているので、下手すると話がこじれる可能性があるんじゃないかとか、いろいろと個人的に思うことはある。

◆チケット2次流通サービスが見なければいけないのはユーザーだけじゃないのでは?

ここまでの経緯を踏まえて、改めてチケットキャンプと運営元のフンザ(現mixi)について調べてみた。下記はその一部。


ミクシィ買収後半年を語るーーチケットキャンプの月間利用者数は500万人、月次流通額は26億円超に成長

サービスが新たな「文化」を生み出す チケットキャンプ開発者が語る、C2Cサービス運営の醍醐味とは

あくまで個人的な印象であり、自分はミュージシャンの近くで仕事をしているのでどうしてもミュージシャンサイドに立ってしまいがちなのは間違いなくあるけれども。ライブ市場が拡大しているであるとか、自社の流通総額の伸びについて主張する前に、自分たちの事業がエンタメ業界の興行をベースにして成り立っているという事実を踏まえた配慮が必要なのではないでしょうか

もちろん、フンザやmixiはIT企業やベンチャーの界隈に属するわけで、自社の事業の伸びや、最近急激に伸びてきているCtoCサービスの可能性については積極的に発信せざるを得ないと思うし、そのあたりの事情は察するんだけれども。

『転売を目的とした購入を防ぐにはどうするか?』といった具体的な課題の解決法を見つけていくにあたっては、まずはACPCや音制連をはじめとした興行主側と話し合いができるだけの土壌をつくらなければいけないんじゃないかなと思わされました。

※もしチケットキャンプさんがしっかりと許諾を取って広告を打っていた場合はこのエントリは消します。

photo credit: Red Hat, opensource.com, and the high road via photopin (license)



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金野和磨 GMA

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