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遊牧民の国 キルギスー基礎知識ー

※この記事は某イベントの宣伝ページに投稿した記事を加筆修正したものです。

「そもそもキルギスとは?」
 キルギスは旧ソ連から独立直後はキルギスタンという国名でしたが、憲法改正後にキルギスと改名し……
という細かい話は歴史や地理の本にお任せしまして、もっと簡単な特徴でもってキルギスという国を紹介させていただきます。

①山岳地帯
国土の4割以上が標高3000mを越える、というのは大きな特徴の一つです。登山のお好きな方は3000mと聞くとすんなり想像ができるかもしれません。関東在住の方は、「住んでいるところから高尾山に上ったら富士山を見下ろせる」と言うとふわっとイメージが湧いたり……しなかったらごめんなさい。
そこかしこが天然の高地なので、ロシアや中央アジアの他の国々からスポーツ選手がトレーニングに来ることもあります。夏にはキルギスで一番大きな湖、イシククリ湖の周りでトレーニングのために自転車を走らせる選手の姿が見られます。
また、美しい山は観光資源でもあり、キルギスは「中央アジアのスイス」とも呼ばれ、夏にはヨーロッパからのトレッキングツアーもよく見られます。

②多民族国家
キルギス系、ウズベク系、カザフ系、ドゥンガン系、ロシア系……様々な民族が暮らしています。地方によって特定の民族色が強い場合もあり、それは時々現地の文化(食、工芸、音楽など)にはっきりと表れます。
また、信者がもっとも多いと思われるのは、近頃何かと話題に上るイスラム教ですが、この国では比較的ゆる~く信仰している人々が多くいます。
彼らはコーランを読んだことがなかったり、礼拝を忘れたり、ラマダンにその時々の気分によって参加したり、普通にベロベロになるまでお酒を飲んだりします。
最も混じりけのないキルギス文化が残っているのが「ナリン(またはナルィン)(Нарын)」と呼ばれる州。ここのキルギス語はキルギス全土で一番純粋で美しい、と言われます。

③遊牧民の国
キルギスには、未だ昔ながらの遊牧生活を営んでいる家族が多くいます。羊や馬などの家畜は大事な財産であり、企業に勤めるような働き方は浸透していません。子供たちも親から家畜の扱いを学び、受け継ぎ、いつかは遊牧民としての暮らしを自分が親として営んでいきます。
夏にはより草の多い地帯へ家畜を連れて移動し、ユルタ(ゲル、またはパオとも)と呼ばれる組み立て式のテントで暮らします。
草のない冬は牧草地を離れて固定の住居に住みますが、牧草の蓄えがない場合などは、それでも放牧を行うこともあります。朝一番に外に連れ出される羊たち。雪の下に残った草や根を探して食事をします。
春に新しく家畜が生まれ、夏の間にたくさんいい草を食べさせ、秋にはよく太った家畜たちのいくらかを売り、収入が途絶える冬の間の生活費とする。そんなサイクルも健在です。

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