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もう十分頑張ったよね、ってなった話2

あらすじ

C氏と同じプロジェクトで働く「私」はPMだかPLだかであるC氏の仕事ぶりに不安を抱くようになっていた。信頼感は日々ゴリゴリ削れる一方である。今はまだ余裕があるので「私」がフォローできている。しかし……

衝突

C氏は課題打ち合わせの大半いなかったからわからないかもしれないが、単に出てきた順番に並べられた課題管理表は打ち合わせには非常に使いにくい。なにせ、完了・未完了、課題の種類(システム①・②、ハード関連などなど)もごちゃまぜである。思考があっちに行ってこっちに行って、というのもしんどい。少なくとも同じ種類の課題についてはまとめて話せた方が、記憶を辿ったり資料を確認するのも楽だし、効率的である。
打合せ資料を用意する時に、エクセルの課題表で種類毎に抽出して、別に印刷してほしいなあ、と思った。が、ここで頭をよぎったのが「データの入力規則」がなくなったのをわからないから放置していた例の件である。
あんまり細かいことを言ってもC氏にはわかってもらえないだろうな、と思ったので、とりあえず、完了した課題と未完了の課題だけでも分けてみないかと提案を試みる。
「なんで?」いや、だって完了だけ集めて置いたらこれはこうなったので完了でいいですね、で簡単に確認できるじゃないですか。そしたら「そういうややこしいこと言われても困るから今回はコノッコさんやってよ」
……この話、そんなにややこしいか?私は単に前回の打ち合わせですごく疲弊したから効率的に進めて負担を減らしたいだけなんだけども……と思いながらも、まあとりあえずOK出たことだし、と完了課題と未完了課題を別にPDF化しておく。
しかし、打ち合わせ当日である。
まず、提案したように別々に印刷した課題表だったが、C氏はいつも通りに進行していった。昨日の会話は一体……と思いつつ、お客さんの前なので文句を言うわけにもいかず、黙っている。
C氏調査担当の課題について話し合いになった時、事件が起きた。お客さんの一人にとあるメールを確認してもらおうとしたが、残念ながらそのメールが残っていない。メールを確認しに行った人が戻ってきてそう報告すると、お客さんの上司の方が「システムのマニュアル調べてみたら何か載ってるかもしれない」と立ち上がった。
引き留めもせず見送るC氏。……えっ?
システムのマニュアルは、調査資料として初回の打ち合わせで受け取っている。当然関連する情報が載っているかは社内で(自分たちで)調べられるのである。貴重なお客さんの時間を使ってしてもらうようなことではないし、そもそも何故調べてきていないのか。
お客さんが誰もいなくなったので、どうして今行かせてしまったのか、会社で確認すればいいじゃないかと流石に苦言を呈す。
「これは大事な情報だから確認してもらわないと」とか言われたが、どうしてそんなに大事な情報なのに事前に調査してないんですかね?としか思えない。
「予想外のことなんていくらでも起きるものだよ」とか言われたが、そんなの当たり前ですよね、だから何か起きても対処できるように準備をするんですよね?としか思えない。
お客さんが戻ってくる気配がないので、ついでに課題表(というか進行)の件についても言ってみた。完了分だけまとめて確認取ってみようって言いませんでした?
「それはコノッコさんの意見だよね?」
絶句。C氏は許可を出したわけではなかったし、私の意見を聞いても理解してもいなかったし、試してみようと思ったわけでもなかったらしい。
そうやってなんでも思い通りになると思わない方がいいよ」とのありがたいお言葉もいただいた。
絶句。
正直ちょっと怒りだか失望だか情けなさだかで手がぶるぶる震えていた。ドラマみたいだな、と半分他人事のように思ったのを覚えている。多分これ、結構傷ついていた。この日のお昼は心を落ち着かせるため、昼食は別に摂ることにする。某Slackグループで荒ぶりを吐き出し、どうにか落ち着く。
午後は気を取り直して普通に打ち合わせをしたが、解散後、打ち合わせで言うべきことではなかったな、と反省。その場合、振り返りも進捗打ち合わせもないから二度と言う機会はなかったわけだが、それでもである。帰り道でA部長と巻き込まれたD氏に謝罪メールを送った。

肝心な人がいなくなる

ここまで全く登場していなかったG氏。実は割と重要なキーパーソンだった。システム②の開発ができるのは実質彼しかいないのである。
しかも今回、顧客が今使っているシステムから諸々移行しなければならず、作業はかなり重い。多少A部長なども同システムの改修をやったことがあるが、それも昔の話である。
そんなG氏が体調を崩し、治療のため一旦退職することとなってしまった。ヤバイ。F氏と私がA部長にお呼び出しされ、その事実を聞いた時、正直燃え上がることが目に見えていた。
そんなシステム②の開発担当に誰がなるのか?!
である。(知ってた)
この時9月。私は自分の担当するシステム①の開発が終わって落ち着いた10月くらいに夏休みを取ろうと思っていたが、取れないんだろうな。と察した。(その通りだった。)C氏は普通に夏休みを取っていた。世の中は理不尽である。
現行システムに慣れ切ったお客さんからは現行に機能を寄せてくれと強い要望が出ているし、(業務知識レベルとかシステム知識レベルとか的にも)それをはねのけられるようなC氏ではない。それに機能を寄せないとデータ移行すらできない。
引継ぎ受けて、開発計画立てて……ちょっと待った、(実質私が全部やってる)課題管理とかタスク振り分けとか、大丈夫?
今までやらなかった人が突然できるようになるわけがない、というごく当然の判断をもって、A部長に「正直C氏にマネージメントができるとは思えないんですけど(意訳)」というメールを投げる。
ちなみにこれ、衝突の翌週である。A部長が何かを察して面談をしてくれた。C氏からは何も連絡がなかったそうだ。C氏にとって全く大したことじゃなかったということなのだろう。
衝突の話をある程度はぼかして話しつつ、課題管理表の更新・タスクの振り分けをしてくれないので私がやっているんですけど、という現状をA部長に伝える。話した時点でかなり気が楽になる。
「課題管理表のファイルをよく見ているみたいだからちゃんとできてると思ってたんだけど」
えっ、そうなの?と驚いた。日本語チェック(仮)と謎の基準でセルに背景色をつけるくらいしかしていない様子なので、そんなに頻繁に見ているとは思っていなかったのである。しかし、頻繁にファイルを見ているなら、どうしてあんなに課題の内容が把握できていないのだろうか……。
それはともかく、次週に部内の打ち合わせを行うという連絡を回すので、C氏がどうするか様子を見よう、という提案があった。コノッコさんは作業をしないように、とのこと。
なるほど。
結果的にC氏が自主的に更新をした。更新されるまで1時間おきくらいに共有フォルダを開いては更新日をチェックし、更新してない…と呻く変な妖怪のような生き物になっていた私はおかげで人間に戻れたのである。クララが立ったばりの喜びであった。(レベルが低い)

実質なかった引継ぎ

EM MeetUpでこんな言葉がありました。「引継ぎ完了は引き継がれる側が判断」そうありたいものですが、そううまくはいきません。
引継ぎ方針についてA部長とG氏は相談したはずなのですが、なんか違う。説明を求めに行ってみてもまったく会話が噛み合わない。「引継ぎ 流れ」とかで検索をかけたりするものの、私のイメージは間違っていないようだが……困惑しきってまたまたA部長にメールする羽目になる。以下原文抜粋。
「私としては最初に製造以前の設計寄り・全体共通の内容(開発の流れやクラス構成、DB構成など)を教えてもらい、個々の機能や仕様について掘り下げていく、といった認識でいたのですが、G氏としては、私がプログラムを調査して、わからないことがあればG氏に確認、という認識のようです。」
G氏の最終出社日まで2週間足らず。どう考えてもG氏の認識通りの引継ぎを受ける段階までもっていくのは無理である。
またまたA部長、G氏、私で面談することになる。「全体像とか仕組みを教えてあげて」とA部長が依頼し、G氏承諾。
が、しかし、その説明を聞いたうえでちょっと細かいことを質問すると「コードを見ればわかります」としか返ってこない。「顧客が変わった時に絶対手が入る処理やテーブル、マスタデータは?」と訊いても「コードを見ればわかります」
A部長に時間を取って面談までしてもらったのに非常に申し訳ないが、悟る。「当てにならない。自分でやるしかない」
G氏には改修要望の一覧に対しての改修工数見積もりと、関連してくるクラスなどの参考情報の資料の精度を上げてもらうことだけをお願いした。そして私は黙々とシステムの把握に努める。
ちなみに情報不足で工数が出せない機能は除き、出てきた工数は850H。設計の工数は含まれていないし、G氏はテストをしていなかった方のため、この工数にテスト仕様書の作成や、テストの実施は含まれていない。当然データ移行関連の工数も含まれていない。
そもそもG氏がやる場合の見積もりなので、普通に考えたら私がやった場合もっと時間がかかる。積んでる
ちなみにこの頃、私の隣の席はC氏だった。溜息だとか舌打ちだとか立ち上がる気配だとかが気にかかってしょうがないし、隣の気配にずっと緊張してしょうがない。胃が痛い(物理)。今となってはあれ絶対おかしくなってたわ、と理解できるが、C氏に対して何の働きかけをするにも「自分の思い通りにしようと思ってやってる」と思われるんだろうな、とC氏に対しアクションが取れない状態だった。その上この引継ぎレベルのシステム②改修である。無理だ。
またもA部長にメールを送る。「自宅で作業じゃだめですか、でなきゃ別室か、隣のビルのレンタルオフィスでもいいんですけど」
結果的にだめだった。が、席替えはされた。正直何の解決にもなっていない。私はC氏の顔を真正面から見ないようにするというスキルを磨いた。

(今にして思うと)末期な天啓を得た話

システム②はひどかった。まずデータ移行もあることだし、現行DBの状態を確認しようと思い立った私に襲い掛かってきたのは、残っているDB定義の資料が何の役にも立たないという事実だった。
納品物として納めたはずのDB定義書に載ってないテーブルやカラムがなんだか一杯あるのである。当然使われているかいないか、今回のプロジェクトで必要かどうかすらわからない。
EM MeetUpでこんな言葉がありました。「不確実性を減らしていく」。
テーブル定義を見直すにしても、全部見直してなどいられないのは明らか。とりあえずプログラムに片っ端からテーブル名で検索をかけ、引っかからなかったテーブルを問答無用で削除、今回いらない機能でしかつかっていないテーブルを問答無用で削除。大分すっきりした。
次はカラム類にも同じことを黙々と。そしてその後は現行システムの資料と自社パッケージの項目差分の洗い出し。黙々、黙々。
その間にもプログラムのひどいところに気づいてしまうし、現行システムDBから自社DBへの移行がどう考えても非常に重いしできる気がしないということにも気づいてしまうものの、今はDBの設計準備について考える時。
要員追加の要望は当然出しているし、A部長も探してくれているが、このご時世、見つからない。その間も一人で黙々、黙々。
何考えてこんなカラム名にしたんだ、とか、このコードひどいにもほどがあるだろ、とか、そうやってネタにして笑い飛ばす相手もいない。孤独感がひどい。
また、これだけ炎上まっしぐらな胃の痛いタスクを一人で抱えていても、私の担当業務はそれだけではなかったりする。
システム②に関する課題管理や問い合わせは抜き出して一人でやっているし、同PJの外部に発注しているとある機能周りの設計・資料提供、調整、定期の保守点検だの、報告書提出だの、問い合わせ対応だの、日次で回ってくる当番ごとだの……。
タスクが管理しきれなくなってきた私は某Slackでおすすめされた「エンジニアのための時間管理術」だの、「カイゼンジャーニー」だのを読んで使えそうなものを取り入れて足掻きはじめた。
しかし、これらの本「チームでより効率的に働くには」という面はあるが、チーム……。うまく分担する方法とか言われても……。分担する相手がいない場合の業務改善はどうすればいいのかは載っていない。そもそもどうして誰も頼れないんだ、一応同じプロジェクトチームなのに……いや、ちょっと待てよ。
この時ひらめいたのが(今考えるとやっぱり頭おかしくなってたとしか思えない)、「ひょっとしてチームじゃないんじゃない?
そっかー、チームじゃなかったんだ。よそのチームの人に助けてもらうのどうのってないものね。チームじゃないんだから仕方ないよね。
そう思った結果、話に上がっていない同僚の人たちとの会話も普通に愛想よくできるようになった。
(※今だからわかるし、もしや、と繋げて考えられる事実だが、私は赤の他人や店員さんへの愛想はいい方である。)

その他C氏の言い分というか名言

思い出すと胃が痛いので基本的に詳細は省く。
「僕は入って半年だから」
 多分一年だっても「僕は入って一年だから」って言うんだろうな。
わかってないことがわかってないんだから仕方ないじゃないか」
「コノッコさんのそうやって嫌になったからってシャットダウンする癖は良くないと思うよ」
そうしないと自分を守れないんだから仕方なくない?
「コノッコさんが非協力的な感じだから僕は一人で資料を印刷して折って大変なんだ
ちなみにこれは流石に開いた口が塞がらないというかもう頭が真っ白になって「いや……そういうこと言われても……はあ、そうですかとしか……」と返したのだが、「ほら、そういう風に言うってわかってるから言わないんだよ(なぜか勝ち誇ったように)」
A部長が「そういうときは〇〇さん(事務サポートの女性)にお願いするとか」とフォローを入れてくれるも、「いやだって〇〇さんは忙しそうですから
私はわりとタスク大量に抱えているが、C氏には私が暇に見えるらしい。これが私のPMだかPLだかだ。世も末である。

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