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【ネタバレ含】サカナクション・NFLRという発明

5月22、23日に生配信された、サカナクション・山口一郎さんのオンラインライブ。
…オンラインライブと呼んでいいのだろうか。
そう思い迷うほど、今までにない新しいものでした。

この記録は、楽しかったとも、みんな見て!と呼びかけるものにも、ならないと思います。
ただただ記録したいという、それだけの衝動で書いています。
どうすればわからなくて4日経ってしまいましたが。
ここまで来れば見たい人は見ただろうから「ネタバレすんなバカー!」にはなりにくいだろうし、見る気がなかった人がこれを見てチケットを買ってアーカイブを見ることになっても、十分間に合います。
ちょうどいいかもしれん。

使う写真は、TwitterやInstagramで公開されているものを使わせていただきます。

NF OFFLINEからの挑戦


5月上旬からはじまる予定だった「NF OFFLINE」。
サカナクション・山口一郎さんが他4人のメンバーがリアレンジした楽曲を携えて、富山の薬売りのように全国行脚するツアーが、コロナの緊急事態宣言により延期となり。
「この事態が明けるのをただ待つだけではなく、今できることでコロナ禍が明けても残るコンテンツを作りたい」という山口さんの意思のもと、たった2週間で企画から実施に至りました。

コロナ禍になってから、山口さんはインスタライブでファンとの交流をまめにはかりながら、この状況を乗りこなす方法を模索してきました。
そのスタイルはそのままに
時折ファンクラブ限定の配信も交えながら
ライブのタイトルはどうする?
自宅でやるとなったら電気足りないよね?
家庭用30Aだと足りないよね?どうする?
1LDKだから、リビングで歌うとして、音響・映像スタッフは寝室か浴室にいることになるんだけどww
SNSで拡散するときのタグはどうする?
など、ひとりじゃなく応援してくれるみんなと準備をすすめてきました。

あんまりにも前例のない挑戦なので、山口さんがファンへ向けて
「あなたたちは治験者です!
僕はブラックジャック!
ぬはははは!!」
と壊れ気味に言ったほど。
私たち魚民は、喜んで2日間通しで5000円支払い、治験者となりました。
終わった後に思いましたが、通しで5000円は安すぎます。

おそらくあまり知らないビューワーが、このやり取りに驚いたのか、インスタライブのコメントで
「こんなに手探りのミュージシャン初めて見た」と書いていました。
誰ですか😂
怒らないから出てきなさいww

そんなこんなで私は、山口家の電気のブレーカーの心配ばかりしていたのですが。
始まってみたら。

とんでもなかったです。

とても、1LDKの一般賃貸住宅から生配信されているとは思えない、とんでもない演出に約90分間が溶けることとなりました。

これは対面生ライブの代用品ではない。
むしろ、ライブステージではできない。
コロナ禍を逆手にとった発明を目の当たりにしました。



『NF OFFLINE FROM LIVING ROOM』
1.新宝島
2.セプテンバー
3.夜の東側(1日目・ファンクラブ限定配信のみ)
4.忘れられないの
5.フクロウ
6.ネプトゥーヌス
7.ユリイカ
8.茶柱
9.ナイロンの糸
10.シーラカンスと僕
11.白波トップウォーター
12.グッドバイ


1~5までは、アコースティックなソロライブスタイル。
ファンじゃないと知らない曲で、札幌時代の曲もあり、札幌市民としては親近感溢れ嬉しい限り❤
「僕、北海道だったんで」との言葉は、ちょっと松山千春みがありました。

しかし、「フクロウ」の途中から、突然深海に引きずり込まれて行くのです…

まるで、一郎さんの深い心の闇の淵に立って覗きこむような。
「美しくて難しいものを伝えたい」
そう決意してからの、葛藤から抱えた闇の淵。
「そして僕の目を見よ 歩き始めるこの決意を」
そこから始まる深海。

特にこの1年は、コロナ禍で人々の距離が離れ、それぞれが持つ孤独を一郎さんはインスタライブの深夜対談などで傾聴し、人々の孤独を吸い込んで、よりその海を濃く深くして行ったような感じがしました。
そんな深海へ、ずるずると引きずり込まれていきました。

私の葬式で流して欲しい曲第1位の「ネプトゥーヌス」。
いきなり深海に到達。
海底の砂に埋もれます。

特に驚いたアレンジは「ユリイカ」。
先に発表されていた「REARRANGE PACKAGE」には入っていない曲でした。
重い。
刺さる。
いつもだと、後ろの映像に「色内2丁目」とか出てきて、知ってるー✨キャー❤とかなんですが、それどころではない感じ。


これがなんと、期間限定でYouTubeで無料で見られます。
NFLR 「ユリイカ」
どれだけ太っ腹なの…。

「シーラカンスと僕」では、rhizomatiksによる映像エフェクトがすごすぎました。
まさに「本気通り越して狂気」。
深海の底で一郎さんが歌い、まわりに魚群がいるように見えたのですが、うちの猫は魚を追ってテレビの裏まで行ってしまい、魚を探してましたww
4日経ちましたが、まだたまに探しています。


この画像のみ、アーカイブのスクショで失礼します。
見てわかる通り、本当にリビングで歌っています。
カーペットに靴下。
さすがにコタツは仕舞ったようです。

場面暗転。
「白波トップウォーター」。
札幌の上空からの写真。
この写真は、ひとりの芸術家の作品です。
【NHK 日曜美術館 アートシェア】

その隣に一郎さん。

帰ってきた。
帰ってきたよ。
原点に。北海道に。

そして曲の途中から、札幌の写真の上にメンバー4人の姿が投影されて。


ああ、みんないる。
いつもの言葉
「僕達私達サカナクションです!」
みんないるよ。

「NF OFFLINE」が決まったときに一郎さんが言っていた
「山口一郎のソロライブじゃないんだよ。
サカナクションメンバー全員の想いを背負って、富山の薬売りみたいに行商しながら、コロナ禍でも応援してくれた人たちにお礼を言いに行くんだよ。」

言っていた意味がわかりました。
メンバーの映像を振り返り見て、こちらに向き直るときに、微笑む一郎さん。
泣ける😭

MCの最後も、
「山口一郎でした!」ではなく
「サカナクションでした!」でした。

この人は、孤高だけど孤独じゃない。
自分だけじゃなくて、みんなで良いものを作りたい。
音楽を愛する人みんなが、音楽で遊び続けられるようにしたい。
そして、今、困難にある音楽業界を存続させられるように。
みんなで夜を乗りこなして行きたい。
そういう想いを感じました。

最後の曲「グッドバイ」。
今までは商業音楽からの逃げというか、自分たちの道を模索する途上のどこか後ろ向きな印象があったのですが、
今回は、何もかもを連れて乗り越えて行く決意のような、前向きな力強さを感じました。

まあ、2日目を見返してみると歌詞を間違えていたので、それであんなに笑っていたのかー!と思いましたが😂

そして、エンドロールに流れるスタッフの名前を見て、今何人、山口家にいるんだろうと思いました。

寝室かな?

鏡があるので、洗面所でしょうか…。


今回は、昨年夏の光ONLINEと音響が違うので、テレビのスピーカーで娘と楽しみましたが。
やはりヘッドホンで聴くのが素晴らしかったです。
昨年夏には電機屋さんの
「低音重視のやつは、ただ高音を潰してるだけだからね。テレビで聴くなら普通のやつでいいよ。」
という忠告を聞かず、低音バリバリ響くヘッドホンをお買い上げ。
結果的に、「サッカーでゆうしょう」しました。(←北海道民にしかわからないネタ)

アーカイブで視聴できる期間が1週間しかないので、寸暇を惜しんで視聴しております。
ちょっと転がりながら聴いていたら、「ネプトゥーヌス」で砂に埋もれていたはずが、次の瞬間にはスパンコールな波際にいました。(白波トップウォーター)
ネプトゥーヌスの催眠効果がすごいです。

このオンラインライブは、生ライブの代用品ではありませんでした。
オンライン配信、生ライブ、どちらでもない。
もし元通りの世界になっても、子育てで忙しい人、病気や障害で現場に駆けつけられない人、受験生…そういう理由でライブに来られない人は必ずいます。
そういう人でも楽しめる。
コロナ禍が明けても残る新しいコンテンツの発明だと思いました。

世界から知ることもできない
不確かな未来へ舵を切る

その先を見ていきたいです。

p.s.
勢いあまって「山口さん」が途中から「一郎さん」になっちゃいました😅

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