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風、世界、私

風はいつも世界がそこにあることを教えてくれる。
風が吹くと私は開かれ、世界がそこに現われる。
開かれてはじめて、自分が閉じていたことを知る。
開いてみれば内も外もない。
思考に溺れるのも、風に耳を澄ますのも、同じだった。
言葉も、風も、同じところからやって来ていた。
私は、彼らが通りすぎるときに、一瞬だけ現われる幻想。
存在しない、永遠に続く一瞬。

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