資格いおっさん7 発破技士試験

note稼働以前に受けた試験について、記録します。

発破技士試験
試験日 2023.12.6  試験地 宮城(東北安全衛生技術センター)

① 勉強時間
 1ヶ月、毎日1時間以下

②  勉強量
 発破実技講習+講習で入手した過去問6年分を3周程度

③ 下知識
 機械工学卒、電気や物理、多少の危険物知識(危険物乙4+毒劇物少々)。

④  試験の印象
 全体としては簡単。過去問と似た問題が出題されているが、若干の捻りあり。例えば選択肢のうちの1問が見た事がないなど。計算問題は明らかに出題ミスと思うが公式発表なし。

⑤  手応え
 20分以下で全部解けた。存分に見直しをして30分ちょっとぐらいで最速退出。合格自体は固いだろうと確信できた。新問は出たと思うが、迷うような問題は、出題ミスと思った1問を除いて一つもなかった。

⑥  資格の意義など
 採掘現場や、トンネルの掘削工事、山を切り崩しての道路敷設などで出番がある。近年は出番自体かなり少ないが、継続して必要な資格ではある。また、花火職人の仕事や、特撮スタントなどで使用する火薬類の使用にもこの資格を要する。
 
 火薬の仕事であれば当然取得した方が良いが、保安管理も含めた業務であるならば火薬類取扱保安責任者を取得すればそれだけで発破可能なので、無用でもある。また、一応土木系であれば、教養として取得しておいても良いと思う。

 趣味性が非常に強いが、発破実技講習を含めた一通りの学習をすることによって、爆発物に関する知識や、火薬類取扱者としての業務の概要を実地で体感する事ができる。このことによって、火薬の恐ろしさや、使用・保管に際しての注意、そして、火薬類が公安においてどんなに危険視されているか「実感」できる。
 不謹慎ではあるが、ミリタリー関連の話題や、戦争ないしテロの話題が、以前よりも生々しく、又、興味深く感じられるようになる。

⑦試験対策
 過去問だけでも受かるだけなら可能であるが、受ける機会があるならば「発破実技講習」を先に受けておくと理解が深まりやすい。取得の前提として3ヶ月〜6ヶ月(学位等による)の実務経験もしくは発破実技講習の受講が必要となるため、趣味で取得する大半の人は通過するものと思う。

 そうでない場合はタカラライセンスから過去問集が発売されているので、これを1ヶ月程度みっちり、3〜4周解けば問題ないだろう。

 一応テキストとして「新・発破技士テキスト」という書籍があるが、講習を受け、その資料を持ち帰れば、概ねテキストの知識はつくものと思う。講習を受けないとしても、本業で生かす意思がない限りは購入不要とは思う。

⑧その他
 発破実技講習について、趣味で取得する大半の受験生が受講すると思われるのでその体験を残しておく。

 講習は概ね9月半ばと3月半ばに行われている(年度による)。令和5年現在では東京都の火薬類保安協会でしか開催がないものと思われる。関東圏以外であれば、数日の宿泊を覚悟しなければならないので、ハードルは高い。
 また、法定講習時間の関係上、2日間に渡って、長時間の拘束時間がある。初日は9時から18時半、翌日は8時から17時半。休憩もやや短めでバスによる採掘現場への移動もあり、この手の講習にしてはかなりハードと思う。

1日目は座学メイン(以下学んだこと)


 火薬と爆薬の違いといった用語の基本、発破の用途、起爆の方法、火薬の成分、保管方法、危険性、発破設計から残薬の処理といった爆破の手順を習う。

 保安も結構しっかりやる。盗難が大問題になる分野なので特に盗難防止が法整備されているのも特徴的(ちなみにここ数年は国内では盗まれていないらしい)。
 
 数量や爆破記録などは紙の手帳を使って管理という結構アナログな分野ではあるが、業界の規模や右肩下がりの現状、現場での電子機器の使用規制を考えると、電磁的記録方法の普及はあまり望めないだろう。

 導火管による点火が一般的な海外と違い、日本では電気発破が一般的である。電磁遮蔽、静電気防護対策を施してはあるものの、雷の鳴る日や、電波塔の近く、高圧電線の近くでは、迷走電流や電磁誘導で爆発する可能性があるため危ない。

 電線の導通と抵抗を測る場面もあり、導通試験だけでも微量ながら通電してしまうので、テスターも雷管に合わせた0.1mA以下の仕様となっている。

2日目は実技メイン


 山奥の採石場で実際の発破を見学し、雷管や導爆線を自分達でセットし、起爆するなかなか面白い講習だった。

 午後は午前中を踏まえた復習的座学と事故事例・法規の学習、そして最後に修了証の発行となる。

 この日の発破は63kgもの含水爆薬を起爆させた。硬い岩盤を盤下げするものであったが、人体と同じ程度の質量の火薬で、300〜400m離れた丘で地面が激しく揺れる。その威力の凄まじさには戦慄するものがある(これは確かに戦争で使われる兵器になるとの実感が正にある)。

 他にも雷管だけの爆破も体験した。雷管は爆薬を起爆するためだけの爆発を起こすものだが、それでもそれなりに大きい音と衝撃がする。
 拳銃の発砲よりも全然煩い。威力は20mmの木製合板が綺麗にまんまるに貫通する。

 導爆線は火薬ではなく爆薬を用いた導火線といえばわかりやすいだろうか。火炎ではなく爆轟を伝えるため、水中などでも確実に起爆に使える。
 また実戦では指向性の爆薬としても用いられ対象に巻き付けて切るように破壊する使い方もある。

 アニメで言うと、機動戦士ガンダムのケンプファーのチェーンマインをイメージする。直径7mmぐらいの縄状のものであるが、1.2m長で手榴弾と同等の炸薬量となる。起爆させると今日一大きな音と光を見る事になった。

 どれもとてもいい経験である。
 

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