見出し画像

ハタチの私の誕生日。

誕生日は、ブエノスアイレスの街角で迎えた。35歳。気になることも気にならないことも変わってきた。だけどいくつ歳を重ねても、ハタチのころと頃と変わらない気持ちでいるのは、たんに私が成長しないのかそれともみなそうなのか。向かいのおばあさんを見て、隣り合わせに座るハタチのわたしとハタチのおばあさんを思い描く。きっと皆そうなのだ。人はある日歳をとるわけじゃないから。誰かが「はい、今日からおばあさんですよ」って伝えに来て、食べる物や着るものの好みを交換するわけじゃない。少しずつ変わっていくのだけど、どこかずっと変わらない。苦い思いはふと蘇るし、甘い感動も色あせない。そうゆうことに気づきだす。それも歳をとったってことなのか。

誕生日は新しくできた友達と、彼らの家でアサドをした。図々しく人のうちで誕生会を計画することも昔ならしなかったかな。ブエノスアイレスの夜も、とりあえずはこれが最後。三度日にちを延ばしたウルグアイへのフェリーはもう変更がきかない。別れのない出会いはないから、今日のこの共に過ごすひと時を宝に、別れの後の明日をお互いまた大切に生きたいね。

とはいえ別れはいくつになっても慣れないもんで、情に押されて約束のできない約束を、やっぱりまた交わしてしまう。まあいいか、それもお互いわかってるんだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?