見出し画像

『メインストリートのならず者』デラックス・エディション

【ブログの過去記事】

画像1

※本文を書くに当たり、寺田正典さんのライナーを大いに参考にしています。

2010年にリリースされたストーンズの話題作ともなれば、語り尽くされてはいるだろうが、ボーナストラックから数曲ピックアップしてみたい。いずれも当時の録音に新たに手を加えたものらしく、その為全体的な統一感は出ている。

Pass the Wine (Sophia Lauren)


「ソフィア・ローレン」という謎の副題を持つ巻頭曲。終盤に向かってのドライブ感は彼らならでは。

I'm Not Signifying


緩めのブルース。なぜかこのブルースナンバーにキースは不在との事。代わりといっては何だが、ミック・テイラーのスライドが聴きもの。

Following The River


落ち着いた雰囲気のバラード。ミックの震えた感じの歌い方やコブシ回しは90年代後半のものという寺田さんのマニアックな解説。そう言われてみると『メインストリート』本編のヴォーカルは全体的にもっとでろでろした感じが強い感じもする。

So Divine (Aladdin Story)


「黒く塗れ」ぽさがハマってしまう独特のムードを放つ曲。ここのキースのギターも音色からして後被せらしい。

Soul Survivor ( Alternate Take )


「ソウル・サヴィヴァー」のキースヴォーカル版。本編ではラストに配置されているが、どこに持っていくかでどちらのヴァージョンを選択するかという考えも有りだろうか。やはり、ラストにするならミックの野獣ヴォーカルが後味的に良いでしょう。

Good Time Women


裏「ダイスをころがせ」?こちらの方がカントリー感覚薄めの南部感覚濃ゆめな感じでしょうか。ストーンズの初来日を観た日に「ダイスをころがせ」のイントロで泣きそうになった、あのダイナミズムはないが、この曲も味がある。

Title 5


初期のストーンズの感覚に、ひと味加えた、妙にクセになるギター・サウンドだ。

All Down The Line (alternate take)


本編の「オール・ダウン・ザ・ライン」よりこちらの方が、「先に進んでいる」感じ。但し、本編での「オール・ダウン・ザ・ライン」~「ストップ・ブレイキン・ダウン」は黄金の流れで、このヴァージョンでは合わないだろう。もちろん、ここで陽の目を見たのは有意義である。

『メインストリートのならず者』は、自分たちのレーベルからの二作目に当たり、ご承知のようにキースが借りていたフランスの邸宅の地下室でベースのサウンドは収録されている。ミックとチャーリーが距離を置くほどの乱痴気状態の中生み出された曲群だが、徹底したオーヴァー・ダブを繰り返し、「最高傑作」との評判を勝ち得た。今回のボーナス・トラックはその本編とはまた違う楽しみ方ができる一枚である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?