Take Me Out to The Ball Game!! 第68週

 そうしてショップから出ると、いつの間にか球場周りの人手が一気に増えていた。

「もうすぐ開場時間みたいだね。早く行こう、青山くん」

 女神はそう言うと、やおら透の腕を掴んできた。透は胸が一気に高鳴るのを感じる。ことによっては、この状態が永遠に続いても構わない。だが次の瞬間、その感慨も吹き飛んだ。

「ほら、早く早く!」

「ちよっ、ちょっと待ってよ、結城さん!」

 女神は透の腕を引き、勢いよく走り出した。その速さたるや、あたかも一陣の風のようで、透はついていくのに精一杯だった。透の胸が先程とは別の意味で高鳴って来たとき、ようやく女神が足を止め、こちらを振り返った。

「ところで……どこから入るの?」

「えっ、どこからって……そんなのあるの?」

 透は思わず聞き返した。

「そうだよ? このドームの色んなところから中に入れるんだから」

「色んなところからって……」

 透は手にしていたバッグの中からチケットを取り出し、内容を確認した。

「8ゲート3階E750って書いてあるけど」

「8ゲート……って内野席だよね?」



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