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サイボウズのチームワーク経営塾に参加して考えたこと

サイボウズのチームワーク経営塾の0期を受講する機会に恵まれました。

チームワーク経営塾とは、サイボウズの青野社長、山田副社長などの経営陣が講師となり、企業は経営者と経営を担う人たちがチームで参加をする全6回の経営塾です。第1期は2019年の1月から開始されますが、そのプレ版としての0期に参加させていただきました。

この経営塾が始まった背景には、サイボウズが働き方改革のトップランナーとして注目されたことがあります。様々な企業から研修や講演に呼ばれることが多くなり、本格的にチームワークをつくるメソッドを伝えることを事業にするためにチームワーク総研という部署を設立したことから始まります。最初は人事向けの研修や講演をすることが多かったそうですが、それだけでは日本の社会は変わらないと思うようになったそうです。なぜなら、会社を変えるのは人事の人たちだけではできないからです。会社を変えるオプションを持っているのは経営陣。ならば、伝える相手は経営者であるべきではないか。この経営塾には、社長が全ての研修に出席することが必須条件となっています。そして、2名まで経営に近い取締役などが参加することができます。

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僕の会社(エーピーコミュニケーションズ)がこの経営塾に参加できたのは偶然の出会いがあったからです。以前から注目していたサイボウズの人事の取り組みをチームワーク総研の和田さんがオープンセミナーで話されることを知り、聴講しました。終了後、名刺交換をさせていただいたのですが、たまたま一番最後になったため、少し長めに話をすることができました。自分の会社の状況を伝えつつ、興味のあることをいくつか質問させてもらったところ、もしよかったらチームワーク経営塾に参加してみないか、と幸運にもお誘いいただくことになりました。

その翌日、会社で社長に参加を検討してみないかと相談してみたところ、ふたつ返事で「いいね、参加しよう」と言ってもらえました。正直に言うと、かなり意外でした。普段は外部の研修に行くことに興味をもっているとは思えなかったからです。後で聞いてみたところ、「きっとこの研修に参加することで自分に何かを伝えたかったのだろうと思ったから、よくわからなかったけど乗っかってみることにした」とのことでした。他の取締役からも賛同を得られ無事に初日を迎えることになりました。

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初日は社長の青野さんの話。強烈に印象に残ったことは、この人は命がけで仕事をしている、と肌で感じることができたこと。自分の仕事には夢中になって取り組んできていたし、他の人から見るとワーカホリックにも見えているぐらい働いてきたのではないかと思います。それでも、自分には覚悟が足りないな、と強く感じました。何が足りないのかはわかりません。でも、足りないと思いました。それ以来、「覚悟」について考えるようになりました。何かに迷った時、誰かに配慮して自分の考えを主張しない時、何かに怖気づきそうになった時、そこに自分の覚悟の足りなさはないかと、自分に問うようになっています。

2日目は副社長の山田さんの話。まず最初に思ったことは、とにかく頭がやわらかい。上手くいかなかったら俊敏に制度を変えるし、そうできるように常にしている。上手く行くことばかりではないと言いつつ、サイボウズの人事制度は市場に競合がいない、という話もされていて、そこには社内外から高く評価をされてきた実績による強い自信があるのだろうと言葉から感じました。重要な学びの一つとしては、会社には「説明責任と質問責任」というものがあること。経営には説明する責任があるが、経営が説明責任を果たした時、そこの会社に属する社員には質問責任が生じる、ということ。経営側が説明責任を果たすだけでも大変なことだが、組織全体で質問責任までを果たすということは相当大変なことだと思いました。
だから、ノウハウをどれほど公開されていても、簡単には真似ができない。一朝一夕には変えられなくて、1日1日の行動の承認で作られる文化と、その文化に共感して入ってくる社員の構成比率の高さが必要なんじゃないかと思いました。どれだけ時間がかかるのだろうかと考えると重たい気持ちにもなりますが、千里の道も一歩から。始めないと何も成し遂げることはできないと思っています。

そして、社長と副社長の話だけではなく、他の様々な部門の責任者の方々からも「公明正大」「自立と議論」「説明責任と質問責任」の言葉が共通して出てきたり、またそれに通じる話が出てきたりして、組織の中に広く理念が浸透している様子が伺えました。共通の言語になるまでは、会社の中で何度も何度も大切にしている言葉が反芻されているのでしょう。全体を通して、出来ていることだけではなく、出来ていないことも赤裸々に語られる生々しさは、普通の研修会社には出来ない研修になっていたと思います。

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それから、0期で一緒に受講した他の企業の方々からも大いに刺激を受けました。企業経営者の皆さんと席を並べて同じ研修を受講することで、会社の制度に正解はないという当たり前のことを実感し、言葉を交わすことで得られる活きた知見もありました。

そして、ちょうどこの受講期間は、当社の2019-2021年の中期経営計画の策定期間とも重なっていました。私たちとしては初めてのやり方でしたが、中期経営計画をα版、β版、1.0版と3回に分けて社内に公開、それぞれ約1ヶ月のフィードバック期間をとり、意見や質問を社員から受けつけ、それをどう受け取ったのか全て回答し、一部は実際に中期経営計画に反映させるという手法をとっています。この期間と研修期間が重なったことは経営陣のディスカッションをより深いものにし、「情報をフラットにする」を大胆に押しすすめる重要な役割を果たしてくれたと思っています。このようなタイミングの幸運にも恵まれ、研修受講が充実したものとなりました。

研修を生業にしていなかった企業が社外から高く評価されている独自のメソッドを他の企業に伝えていく取り組みは、どこの会社でもそのまま当てはまらない難しさがあるはずですが、惜しみなくノウハウを伝えてもらい、参加企業の方々を含めて議論できたことは、もがきながら試行錯誤を続けている私たちにとっては得難い機会となりました。特に対象を経営者に絞った理由を「経営者には会社を変える意思決定のオプションがあり、マネージャーには持っていないから」と話されていましたが、コストをかけてでも受講する理由はここにあるのではないでしょうか。経営層がチームで参加し、自社の課題解決につながる改善案の検討を腹落ちするまで検討できれば、それを反対して引っくり返す人はいません。この経営塾は多くの企業にとって、会社を変える意思決定をするための早道になりそうです。

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