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副業人材として、地方中小企業のEC(ネット通販)売上UPのために取り組んだこと〜チーム作りから施策実行まで〜

こんにちは、東京のIT企業でマーケティングのお仕事をしながら、副業で手元供養品の製造・販売を手がける「未来創想」という地方の中小企業でネット通販(以下:EC)運営のお手伝いをしている先山(@koou0506)と申します。

本記事では、副業人材として「地方中小企業のEC運営」に関わり、売上UPのためにどのような取り組みをしてきたのかをご紹介しています。

政府による副業推進の流れ、リモートワークの増加により、副業人口が増加し、地方中小企業での副業人材の活用も増えてきているかと思います。その中でも、地方中小企業ではIT人材が少なく、ECの業務を切り出して、外部に委託されている企業は多いのではないでしょうか。

主に都市部の30〜50代の個人と地方中小企業に特化した副業マッチングサービス「JOINS」の調査によると、「EC(ネット通販)/ネット集客改善(売上増)」はオンライン副業において、実際にニーズが高い業務のようです。

JOINSにおいて、オンライン副業でニーズが高い業務のトップ3

第1位:EC(ネット通販)/ネット集客改善(売上増)
第2位:業務のデジタル化改善(コスト削減)
第3位:人事制度(採用・評価・研修/育成)の改善(離職率削減)

参考:「オンライン副業」の人気トップ3を紐解く--平均の月額報酬は?

本記事が、これからECに注力していくために副業人材の活用を考えている地方中小企業の皆様、また副業人材として地方中小企業のお手伝いをしている方々、中小企業のEC担当としてECに取り組む皆様にとって少しでも参考になれば幸いです。

本題に入る前に、本記事を作成しようと思った経緯を少しお話しさせて下さい(「早く本題を!」という方は、下部の目次部分まで飛ばしてください笑)。

本記事を作成しようと思った理由は大きく分けて2つあります。

名称未設定のデザイン (1)

1つ目は、私の個人的な「地方経済活性化(雇用創出)」に貢献したいという想いです。本題ではないので詳細はここでは省略しますが、大学で「スモールビジネスに関するマーケティング」を専門とする、岩崎邦彦先生の元でマーケティングを学び活動する中で、この想いを抱くようになりました。

この想いが根底にあり、大学卒業後は「①地元の静岡銀行 → ②宮崎県に本社を置く、ECサイトの構築・マーケティング支援を行う株式会社アラタナ(株式会社ZOZOグループ、現在は吸収合併) → ③クラウドファンディング プラットフォームを運営するCAMPFIRE」とキャリアを歩んできました。
※本記事公開時点

また、その中でご縁があって、「未来創想」という地方の中小企業で、EC運営のお手伝いをさせていただいております。
(①→②の際に静岡から縁も所縁もない宮崎に移住し、現在は東京。「なぜ宮崎に?」とよく言われますが、「宮崎に1,000人の雇用をつくる」というアラタナの理念に惹かれ宮崎に飛び込みました(笑))

参考:宮崎に1,000人の雇用を -アラタナのあらたな挑戦

アラタナでのお仕事や未来創想のお手伝いをさせていただく中で、ECで外貨(地域外からのお金)を稼ぐのは、地方での事業継続の1つの勝ちパターンだと考えるようになりました。

コロナウイルスの影響もあり、より一層ECを始める企業が増える中で、未来創想のような地方でECに取り組む事業者の成功が増えて、地方経済活性化(雇用創出)につながれば嬉しいと思い、記事の作成を考え始めました。

2つ目は、読者視点で考えた時に、EC運営において大企業の取り組み事例や勢いのあるベンチャー企業の事例は様々なメディアで記事を見かけますが、地方の中小企業の事例はほとんど見かけないなと感じたことです(自分が知らないだけかもしれませんが・・・)。

自分も日々情報収集をしていて感じるのですが、大企業の事例は予算感やリソースの兼ね合いからどうしてもマネできないことも多く、成功も失敗も含めてもっと地方の中小企業の取り組み事例を知りたいと思うことが多々あります。

コロナでECに取り組む企業が増える中で、地方中小企業のリアルな取り組みを知ってもらうことで、地方の中小企業でECに取り組む人たち、これからECを頑張ろうとしている人たちのヒントになれば嬉しいなと思い、このタイミングで記事を書こうと筆をとりました。

というわけで、本記事が少しでも皆様のEC運営のご参考になれば嬉しいです!

※1:本記事の公開にあたっては、「未来創想」様のご了承を得た上で公開させていただいております。ご了承いただき本当にありがとうございます。

※2:本記事でのECは「楽天やAmazonなどのモール」ではなく、「直営の自社ECサイト」を指しています

2021年12月19日追記:最近の取り組み

0,未来創想のご紹介

名称未設定のデザイン

最初に、より記事の内容を具体的にイメージしていただけるように、お手伝いさせていただいている「未来創想」様のご紹介を簡単にさせて下さい。

未来創想は、手元供養品の製造・販売を手がける、創業20年の大阪に本社を構える企業です。従業員数は社長を含め、6名。

社長が徳島に移住したり、静岡でリモートワークをする方がいたり、働き方に関しては柔軟な考え方を持っている企業です(この柔軟さがあるので、平日夜や休日の時間を使って稼働する自分のような副業人材も、お手伝いを続けることができています)。

徳島に新たに4社がサテライト 未来創想、東京久栄など
参考:日本経済新聞

社内メンバーは、商品登録・受発注などを中心に行っており、数字を見ながらPDCAを回していく体制はありませんでした。

扱っている商材に関しては、故人の方を手元で供養するための、「遺骨ペンダント」「ミニ骨壷」「ミニ仏壇」といった商品を扱っています。

日本で初めて手元供養のための遺骨ペンダントやミニ骨壷を紹介した会社であり、2000年に遺骨を納める納骨できるペンダントを「カロート®ペンダント」と命名して販売を開始。2004年には、ご遺骨をご自宅に置くための小さな骨壷を「ミニ骨壷」と命名し販売をスタートしました。

馴染みのない商品かと思いますので、もし良ければサイトを覗いて見て下さい。

>>手元供養の未来創想

1,チーム作り編

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さて、それではここから本題です。

地方の中小企業がECに取り組む際に、まず最初にネックになるのが人材不足。ECに本気で取り組もうと思うと、エンジニア・デザイナー・ライター・広告運用者など様々な専門知識を持った職種の人材が必要になります。

また、成果を最大化するためには、各専門分野に関する知識を幅広く持った上で、数字をきちんと見ながらディレクションする司令塔となるディレクター人材も必要不可欠です。

ECに注力したいけど人材がいない。全員雇い、社内で内製化するのは現実的ではない。そんな中小企業は多いのではないでしょうか。

実際に、経済産業省の発表する中小企業白書によると、「IT の導入・利用を進めようとする際の課題」で、「導入の効果がわからない、評価できない」「従業員がITを使いこなせない」「IT導入の旗振り役が務まるような人材がいない」といった項目が高い割合を示しています。

■IT の導入・利用を進めようとする際の課題

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参考:「中小企業白書2018」データを元に作成

地方の中小企業がこの人材の問題を解決する上で1つの解決策となるのが、副業として関わる人材の有効活用だと考えています。

実際に私も、副業という立場で「ECサイトのコンサルタント兼ディレクター」として関わらせていただき、「デザイナー」「エンジニア」「コンテンツディレクター」「広告運用者」とチームを組み、未来創想様のお手伝いをさせていただいています。

国も中小企業での副業活用を後押ししており、中小企業において副業人材の活用は今後より一層重要になっていきそうです。

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参考:中小企業デジタル化応援隊事業

では、実際にどのような形でチームを作り、お仕事を進めているのかをご紹介します。

エンジニア

ECサイトのお手伝いが決まった際にまず最初に取り組んだのがこのチーム作り。ECで売上を上げていくためには、当たり前ですが何かしらの施策を打たなければいけません。分析や口出しだけのコンサルタントを入れただけでは売上は変わらず、実際に施策を実行して初めて数字に変化が見られます。

外部のコンサルタントを入れて起こりがちなのが、分析結果ややるべきことは分かったけど、社内にデザインを作ったり、コンテンツを作ったり、手を動かせる人がおらず、結局何も変わらないパターン。

また、デザインやコンテンツの制作を外注し、せっかくお金を使ってプロに依頼し、綺麗なものはできたけど、数字に変化が見られない、そもそも効果検証をしていないというパターンもよくあるかと思います。

上記のようなことが起こらないように、「ディレクター」の人(今回であれば私)が分析、戦略・施策の立案を行い、未来創想様の担当者と取り組み内容の擦り合わせを実施。その後、施策内容に応じて適宜必要メンバーを施策単位でアサイン。施策の目的・内容の共有をし、施策を進めています。

施策共有後は各自で制作を進めてもらい、私の方でディレクション(進行管理、内容すり合わせ、チェック)を行い、施策を実行までもっていっています。施策は1ヶ月単位で決め、毎月レポーティングを行いながらPDCAを回しています。

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このようにすることで、分析、戦略・施策の立案から施策の実行までを一気通貫で行うことができ、改善点は分かったけど実際に施策を実行する人がいない、作って終わりで成果が分からない、といった事態を防ぎ、PDCAを回しながら売上UPにきちんと繋がるように各種施策を実行しています。

私の場合は、前職がECの構築&マーケティング支援をしている会社だったので、各種専門家には前職のメンバーの力を借りています。皆それぞれ、会社を立ち上げたり・フリーランスとして働いたり、今は会社も働く場所もバラバラですが、こうやって一緒にお仕事ができるのは感謝ですし、ECで売上を伸ばしていくための最強メンバーが揃っていると思ってます。

ちなみに、各メンバーの役割は以下の通りです。

①コンサルタント兼ディレクター(私)
・定性面、定量面による分析
・戦略、施策の立案
・予算策定
・主要な数値の管理表の作成(数字の可視化)
・レポーティング
・社内担当者とのコミュニケーション
・施策毎に各メンバーのアサイン、施策内容の共有
・各施策のディレクション(進行管理、内容すり合わせ、チェック)
・その他、各メンバーの間に浮いたタスク

②デザイナー
・各種デザインの作成

③エンジニア
・サイトの制作

④コンテンツディレクター
・ライターリソースの管理
・コンテンツのクオリティチェック
・時には自身でライティング

⑤広告運用者
・各種WEB広告の運用

スキル面だけではなく費用面を考えても副業人材の活用は有効かと思います。仮にこれら5人のメンバーを正社員として雇い、内製化しようとすると(1人30万円/月の給料と仮定)、150万円/月のコストがかかります。実際には、社会保険などの諸々のコストを考えるとそれ以上です。

すでにある程度軌道に乗っており売上が立っているECサイトであればこのコストを賄うことも可能ですが、売上が数十〜百万円/月程度の中小規模ECや、これからECに注力していこう・新しく立ち上げようという中小企業にとってはかなり重い固定費負担になるのではないでしょうか。

また、正社員として雇ってしまうと固定費になってしまいますが、副業人材の活用であれば変動費化できるのも大きなメリットです。

実際に未来創想でも2020年4月にコロナで緊急事態宣言が出た際には、先行きが不透明だったこともあり、施策を一時的に止め、コストを最小化してキャッシュフロー最優先で乗り切りました。

下記の記事でも、副業人材活用におけるコスト面に関するメリットが言われておりました。変化も激しく何が起こるかわからない時代だからこそ、この費用面の部分は企業側にとっては大きなメリットではないでしょうか。

参考:老舗の製薬会社が頼った、月10万円で雇える“オンライン副業人材”


2,準備編

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「分析、戦略・施策の立案から実行までのチーム体制」が整った後に行ったのが「戦略作り」です(厳密には同時に進めていきましたが、状況によっては予算組みの観点などから、こちらを先に固めた方が良い場合もあるかと思います)。

チーム作りと同様に実際に、施策を打ち始める前に重要になるのが戦略作り。中小企業は大企業と比較し、予算・リソース共に限られていることが大半かと思います。

ECだけに限ったことではないですが、限れた予算・リソースで最大限の成果を出すためには、目的を果たすためにどのように戦うのか定め、チームメンバー全員で共通の認識を持つことが非常に重要です。

チームができても戦略がなかったり、きちんと共通の認識が持てていないと、それぞれのメンバーは自分の専門分野で頑張ってはいるけど、全体で見ると広告やページの表現に一貫性がない、といったことが発生し、成果が最大化できません。

ここではどのようにしてECを伸ばすための戦略を固めていったのかをご紹介します。よくマーケティングの教科書に書かれていることであり、目新しい方法ではありませんが、とりあえずWEB広告を始めるなど、いきなり施策に走り、意外とやっていない場合も多いのではないでしょうか。

3C分析

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まず最初に行ったのが3C分析。マーケティングの教科書で出てくる定番のフレームワークです。

軽く3C分析について触れておくと、3Cとは「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの頭文字を取ったもので、自社の状況を把握し、戦略を考えていくために使われることが多いです。

3C分析によってどのような項目を調査するのかは、取り組みの目的・内容によって変わってくると思います。自分がECのお手伝いをする場合は、ECを運営していく上で必要になる情報をスプレッドシートにまとめ、社員へのヒアリング、自分の身の回りの人へのヒアリング、実際に自分で体験する、ネットでの検索、Googleアナリティクス等のツールを活用し、情報を集めていきます。

図:3C分析の項目一部抜粋

3C分析

ECでの売上UPを目的とした3C分析なので、会社や事業に関する内容に加え、サイト情報(titleタグ/descriptionタグ)や検索ボリューム、検索順位といったEC独特の項目も多いです。これら現状の情報を踏まえ、次のSTP分析を行っていきます。

STP

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次に行ったのがSTP分析。こちらもマーケティングの教科書でも出てくる定番のフレームワークです。

STP分析についても軽く触れておくと、STPとは「Segmentation:セグメンテーション、Targeting:ターゲティング、Positioning:ポジショニング」の頭文字を取ったもので、セグメンテーションで市場の全体像を把握し、ターゲティングでその中から狙うべき市場を決定し、ポジショニングで競合他社との位置関係を決定するものです。

WEBマーケティングを行っている人の中でよく起きていると個人的に感じているのが、扱っている商材の範囲だけで考えて、単純に扱っている商材に関するキーワードでSEO対策を行ったり、リスティング広告を打ったりするということ。

もちろんこれでも適切に運用されれば一定の成果は出ますが、扱っている商材によっては、キーワードの検索ボリューム(検索回数)が小さく、集客がすぐに頭打ちになってしまったり、ターゲットが明確化されていないので表面的な施策で終わってしまったりすることが多いと考えています(もちろん様々な取り組み方があるので、ここでご紹介している内容が完璧だとも、全てのパターンでうまくいくとも思ってはいません)。

今回の取り組みでの「手元供養」がまさに「キーワードの検索ボリューム(検索回数)が小さく、集客がすぐに頭打ちになってしまう」状態でした。

「手元供養」は徐々に考え方が広がってきている言葉ではあるものの、まだまだ検索ボリューム(検索回数)は小さく、知られていない言葉でした。実際に自分も担当させていただくまでは、「手元供養」という言葉は知りませんでした。

実際に検索ボリューム(検索回数)をキーワードプランナーで見てみると、「手元供養」というキーワードは検索回数は増えているものの、「仏壇」と比較するとまだまだ小さいことが分かります(「仏壇」と比較している理由は後述)。

図:検索ボリューム(キーワードプランナーデータより作成)

「手元供養」の検索ボリューム推移 (1)
「手元供養」と「仏壇」の検索ボリューム推移比較


そこで、未来創想が販売している「遺骨ペンダント」「ミニ骨壷」「ミニ仏壇」といった商品が提供している価値は何なのか、これらの商品を欲しいと思っている人はどのような人たちなのか、という価値ベースで市場を捉え直すことにしました。

上記の3C分析を行う中で見えてきたのが、お客様の中にあるのは「故人を偲ぶ気持ち」であり、未来創想の商品が提供している価値は「故人を偲ぶ気持ちに寄り添うこと」だと考え直しました。

そのように市場を捉え直すと、競合は同じ手元供養品を販売している会社だけではなく、昔ながらの大きいお仏壇を扱うお仏壇屋さんや、お墓なども入ってくると考えました。

「故人を偲ぶ気持ち」は昔から人が持ち続けるものであり、昔はそれを形にしたものが「仏壇」や「お墓」でした。しかし、住環境や家族構成の変化により、「昔ながらの大きいお仏壇を家に置けない」「お墓を持たない」といった人も増えてきています。

こういった、社会的な変化に伴い、広がりを見せるのが手元供養の考え方であり、まさにこういった人達が言葉や商材は知らないけど、潜在的に欲しているものが手元供養品であると考えました。

上記を踏まえ、アプローチする市場全体を捉え直し、市場を細分化(セグメンテーション)。その中から、狙うべき市場を決定(ターゲティング)。その後、競合他社との関係性を踏まえ、どこにポジションを取るのか定め、戦っていく場所を明確化しました(ポジショニング)。

図:ポジショニングマップ(簡易)

本文を追加

このようにして固めた戦略を踏まえ、ターゲットイメージを念頭に起き、具体的な施策を検討していきました。

この戦略は自分の頭の中だけで持つのではなく、Googleスライドに落とし込み、未来創想の方々や、チームメンバーと共有。各施策のデザイン・言葉遣いのディティールに落とし込む際に、立ち返る場所としてメンバーにも意識してもらっています。

このように施策に落とし込む前に、戦略を定めることにより、限られたリソースで最大限の成果を出せるように心がけています。

3,実行編

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さて、チーム作り、戦略作りができたので、ここから施策の実行に移っていきます。実際にはここでご紹介する施策以外にも数多くの施策を行い、成功も失敗も経験していますが、今回はマーケティングの4Pに当てはめて代表的な施策のご紹介をさせていただきます。

Product編

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上記の3C分析&STP分析を踏まえて始めたのがセット商品の販売。未来創想の扱っている手元供養品は、基本的には必要になってから初めて調べる商品で、購入検討前から商品知識がある人は少ないと思います。

サイト内のコンテンツを見てもらい、「手元供養の考え方は分かったし、大きな仏壇は家に置けないけど、これであれば今の家でもしっかり供養ができそう」と思ってもらっても、いざ商品を購入しようと思った時に、何を揃えればいいのか分からないという人が多いと考えました。

また、何を揃えればいいかは分かったけど、ネットでの購入で使用イメージ、設置イメージが湧かず、どのように組み合わせたらいいのか分からないという方も多いと考えました(家具などの通販サイトでも同じ課題はあるかと思います)。

これらの不安を取り除くために、「初めての手元供養セット」という形で、手元供養を始めるために必要なものをセットにした、セット商品の販売を新たに始めました。

この施策により、セット商品自体が売れたのはもちろんですが、セット商品を参考に自分で組み合わせる人が増え、併売率が向上。購入単価がUPし、売上が増加しました。

施策としては、単なるよくあるセット販売ではありますが、戦略やターゲットイメージがきちんと定まっていたので、施策のディティール(組み合わせ内容や訴求)に落とし込んでいく際に、立ち返る場所(判断基準)ができ、成果につながったと思います。

参考:「未来創想の初めての手元供養セット」ページ

Price編

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値決めは経営と言われるようにプライシングはとても重要です。価格(安売り)だけでの勝負では体力勝負になってしまい、中小企業には部が悪いです。

ここでお話しするPriceは「価格を変える」というより、安易に価格を下げて価格勝負する方向に走るのではなく、「きちんと自社の立ち位置・お客様を明確にし、サイトでの商品の見せ方、伝え方を考え、届けるべき人に届ける」という意味合いが強いです。実店舗で言うと、商品陳列に近い考え方です。

未来創想はSEOが強く検索結果の上位に表示されるため(頑張ってます)、検索結果では楽天・Amazon・Yahoo!といった超大手モールと検索結果で並んでおり、大手モールの商品が比較対象になることも多いと考えました。

そこで、モールの商品と比較されないよう、各キーワードのランディングページ(サイトへの入り口となるページ)のモール内で上位表示されている商品の価格帯を調査し、モールでメインとなっていた低価格帯商品での勝負は避け、中〜高価格帯で勝負することにしました(価格ポジショニングの設定)。

上記で定めたポジショニングを念頭に、売れ筋、価格、在庫面から、ランディングページ(サイトへの入り口となるページ)での商品を見せる順番・見せ方を見直しました。

また、価格勝負にならないよう、商品紹介のコンテンツを充実させ、各商品の魅力をきちんと伝えるようにしました。
(有名なサイトですが、商品の見せ方は「北欧、暮らしの道具店」さんがとても上手だなと思っています)

実店舗ですと、お店の入り口の商品陳列を意識される場合が多いかと思います。ECサイトにおいても、アンカリング効果によって、最初に見た商品によってそのサイトの印象は大きく変わってしまうので、流入を作っているメインのランディングページ(サイトへの入り口となるページ)では、商品を見せる順番まで意識して、ページを作り込むことが大事だと思います。

※アンカリング効果
最初に提示されたものの特徴や数値、価格によって、後に提示さるものの数値の判断がゆがめられ最初に提示されたものに近づく傾向のこと

Place編

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次は、販売場所に関してです。元々、私がお手伝いを開始する前から①自社ECサイト、②楽天、③Amazonという3つの店舗がありました。

もちろん3店舗とも売上を上げていきたいですが、リソースが限られていること、また戦略面を考えた時に安売り勝負ではなく、きちんと商品の魅力を伝え、商品を販売していきたいとの考えから、まずは自社ECサイトに注力しました。

この(注力する)販売場所の絞り込みにより、一番適した販売場所に限られたリソースを集中することができ、短期間での売上増加に繋がりました。

楽天をはじめ各経済圏の囲い込みが激しくなってきたこと、以前と比較すると手元供養のような商材でもモールで購入される方が増えてきたと感じていることから、今後はモールにも注力していこうと思います。

Promotion編

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最後に、プロモーション(集客)に関してです。集客に関しては、コンテンツマーケティングに注力しました。Product編で述べたことと重複してしまいますが、未来創想の扱っている手元供養品は、元々商品知識がある人は少ないため、必要になった際にネットで検索をする方が多いと考えました。

そこで、検索されそうなキーワードを洗い出し、各キーワードで検索する人のニーズに応えるようにコンテンツを作成していきました。

準備編でお伝えしたように手元供養関連のキーワードは、検索される回数が少なかったり、対象のキーワードが少なかったりで、元々はターゲットキーワードが限られていました。しかし、市場の見直しにより狙うべきキーワードにも幅を持てるようになっていたため、集客の幅が広がり、集客は大きく伸びました。

もちろんサイトと関係のないキーワードを狙っても売上には繋がりませんし、そもそも検索結果で上位に上がってこないので、やたらとキーワードを広げればいいというわけではありません。

また、ECでコンテンツマーケティングを行う際に1番重要なのが、サイトの全体設計(サイトのどのページでどのキーワードを狙うのか)を行ってからコンテンツ作りを行うことです。

基本的には商品の売り場であるECサイトに直接集客した方がCVRは高くなるため、ECで狙うことのできるキーワードはECサイトで、ECでは集客の難しいキーワードは記事コンテンツで、といったようにキーワードに合わせて、どのようなページでどのターゲットキーワードを取りにいくのか全体設計を行うことが非常に重要です。

ECサイトにおけるコンテンツマーケティングの失敗でありがちなのが、新しく作成したコンテンツで順位が上がったのはいいが、実は元々はECサイトのページが上位表示されていたキーワードであり、ランディングページが変わることにより逆に売上が下がるパターンです(勝手に自爆していくサイトを度々見かけます笑)。

コンテンツマーケティングだけを外注していたりすると、起こりうるので注意してください。

コンテンツマーケティングは、リスティング広告と違い、Googleに表示(インデックス)されるページを自身で決めることはできませんが、サイト全体の設計を行うことで、限りなくこの失敗は防ぐことができます。

ECにおけるコンテンツマーケティングに関しては、上位表示させることは大前提として大事ですが、上記のような失敗を防いだり、売上に繋げていくために、その他にも意識しておきたいことが多数あります。

下記に自分がコンテンツ設計を行う際に気をつけていることを記載しておきますので、少しでも参考になれば幸いです。

ECでコンテンツマーケティングを行う際に気をつけるべきこと

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■サイトの全体設計を行う
ECサイトでのターゲットキーワードも含めて、サイト全体でコンテンツマーケティングのターゲットキーワードを考える(ECサイトで獲得できるキーワードは極力ECサイトで狙う)

■1ページ1キーワードでキーワードを決める
ショップの強み・ユーザーニーズ・ページの役割を踏まえたうえで、1ページ1キーワードになるようにキーワードを決める(ページによっては複数キーワードを狙うページもありますが、原則は1ページ1キーワード)

■実際に検索ニーズがあるキーワードをターゲットキーワードにする
全く検索されていないキーワードをターゲットキーワードにしても、集客につながりません。キーワードプランナー等を活用し、検索ニーズがあるのかどうか、事前にチェックしましょう。

■売上につながるキーワードをターゲットキーワードにする
ECでコンテンツマーケティングを行う目的は売上UPです。集客できたとしても、売上につながらなければ意味がありません(認知目的という場合もあるかとは思いますが)。

売上につながるキーワードを見つける手取り早い方法は、リスティング広告を出稿してみることです。

リスティング広告は出稿してすぐに結果が見えるので、リスティング広告でキーワードの検証をしつつ、成果の良いキーワードはコンテンツマーケテイングで注力する流れを作ると、成果の出やすいキーワードに注力でき、効率良くコンテンツの作成を進めることができます。

■ターゲットキーワード(検索意図)に合わせてコンテンツを作成する
日々Googleのアップデートもあり細かいテクニック的な部分を意識するのも大事ですが、1番大事なのはターゲットキーワード(検索意図)に合わせて、コンテンツを作成することです。

ここがきちんとできていれば、多少細かいテクニックの部分で不十分な部分があっても、きちんと検索結果で上位は獲得できます(未来創想のサイトも数々のアップデートを乗り越えてきました)。

検索意図は、ヒアリング、検索結果上位ページの内容、検索キーワードのサジェストなどを参考にすると見えてきます。

コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかりますが、積み重なると大きな力となり、安定的なサイトへの集客・売上に貢献してくれます。商材によって取り組みやすさはありますが、ECに取り組んでいく際にはぜひ検討したい施策の1つです。

4,おわりに

全施策を書いているときりがないので、今回はマーケティングの4Pに合わせて代表的な施策をご紹介してきました。

その他にも様々な施策を実施してきましたが、このように成果の出た施策もあれば、成果の出なかった施策、逆にマイナスに作用した施策もありました。

WEBマーケティングというとSEOや広告など集客(Promotion)だけのことを指すことが多いように感じますが、成果を出すにはきちんと4P全体を見る人を置くことが重要だと思います。

また、今回成果が出たのは、未来創想様がチャレンジに対してポジティブで、まずはやってみよう精神でチャレンジしながらPDCAを回せたこと、チームで一丸となって取り組めたからこそだと考えています。

終身雇用の崩壊・副業解禁の流れもあり、今後はより一層副業する人も増えてくるかと思います。副業というと、個人でデザインをしたり、プログラミングしたり、1人で行うイメージが強いですが、1人でできることは限られています。副業においても、1人で行う形からチームで行うプロジェクト型の形に変わっていくのではないでしょうか。

2020年は在宅勤務でほぼほぼ家にいたため新しい出会いが少なかったなと年末に反省したので、今年は情報発信をして様々な人と繋がり、意見交換する中で、自分自身ももっと成長していければと思います。

今回がnoteでの初記事ですが、今後も実戦に基づく地方中小企業のリアルなEC運営に関するノウハウ等発信していければと思いますので、ちょっとでも役に立ちそうだなと感じたら、お気に入りや、フォローをお願いします。皆様からの反応が力になります(笑)。

Twitterもやっているので、もし良ければフォローをお願いします!
https://twitter.com/koou0506

長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!本記事が少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

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