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海外での買い付け

私は年に数回東南アジアで天然石の買い付けをしていますが、今回は故郷中国に行ってきました。

近年は中国の物価上昇に伴い仕入れのコストも上がってきていますし、貴重な石はすぐに買われてしまう。それでも根気よくさがせば面白い石が見つかりますが、まず交渉には中国語ができないととても難しいです。その上で、違う文化を理解し相手をリスペクトしなければいけません。

中国に滞在しているこの一週間は毎日早朝に起きて、まず市場で原石を見ます。それを加工してルースを売る人はライトを原石に当てて亀裂や透明度をチェック。自分が買って磨いて売るものだからそりゃ皆真剣です。昼前になるとさらに人が増えて様々に加工された石が売られます。

前回も良くしてくれた現地の人、李さんが今回は空港まで迎えに来てくれて、工房で原石からカット研磨もやらせてくれました。正直、数年前のスリランカ以来、久しぶりに原石からカットしルースまで仕上げたので、うまくできるかどうか不安でしたし、すごくドキドキしました。

せっかくなら良い石じゃないとダメだよ、と李さんは綺麗なルチルクォーツの原石を渡してくれました。全部で6つの行程あります。まずは粗削りからですが、やってみるとまるで氷のように削られていく。でも私はもちろん慣れていないので、何度も何度も指導してもらいました。後半はさすがに李さんに任せ、磨き終わるまでに40分かかりました。

この作業は長時間行うともちろん肩こりするし、埃も吸い込むので決して良い作業環境ではありません。李さんに一週間どのくらいルース磨けるの?と聞いたところ、だいたい夫婦二人で分担して約20粒やっていると。きっとお二人は長年やってきているから、家族にとって程よいペースにしていると思います。

売れるものを仕入れてそれを売るのは当たり前です。そして、コストを抑えた買い付けはもちろん大切ですが、一方で買ったものに付加価値をつけて高く売れるように努力をすることも必要だなと、今回現地の人とのコミュニケーションを通して感じました。

自分の利益追求よりも、市場全体の価値創造のほうがインパクトが大きい。だから原材料がどんどん値上がりしていると嘆いている人がいる一方、違う側面から見てそれは本当に悪いことなのでしょうか?と考えてしまう。

ユニークな石を探し求め、面白いカットを考案し、人の関心を引き付け、ファンを喜ばせられることが「付加価値」と定義するならば、売値が高いのはそれなりに理由があり、決して悪いことではないはず。だって。李さんのような家族にとってその方が良いではないでしょうか。

そして、冒頭にも書きましたが、言葉(英語や中国語)は単なる値段交渉だけに使うのはもったいないと思っています。その場所の文化、風習、食べ物など知るためにもっと心から発した言葉を使うべきだと思った今日この頃でした。

けっして数は多くないのですが、買い付けしてきた天然石を少しずつ写真を撮り、オンラインサイトに載せています。ぜひ鑑賞してみて下さい。

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