米中貿易戦争ーアメリカが負けられない2つの側面

皆さんが既にご存じかと思いますが、アメリカ大統領が行政命令を発動し非常状態にあると宣言しました。そしてアメリカの企業に対して、危険性を及ぼす電子機器・部品の使用と禁止とし、その矛先がHuaweiに向けれられました。中国の企業を贔屓するつもりはないのですが、このような政治と経済が複雑に絡み合った戦いの背景について、個人的にアメリカが負けられない2つの側面について考えてみました。


1、 中国の5G技術がアメリカにとっての脅威

5Gの前にまず3Gと4Gについて簡単に振り返ってみましょう。アメリカは2002年から3Gを普及させてきました。2007年に発売されたiPhoneや他の移動設備がこの追い風をうけ勢いよく成長してきましたね。2011年アメリカで4Gが開通し、その影響で他のアンドロイド携帯やアプリ産業の発展がさらに加速しました。例としてInstagram, Uber、Lyftなどが先頭を走り、アメリカが圧倒的な競争優位に立ったことが分かります。


では、5Gはどんなものかというと、ご存じのように4Gの100倍以上の通信スピードを誇っています。例えばネットで映画をダウンロードする場合、これまで約10分や15分かかっていたものが、5Gの通信網を使うと数秒で完了します。もし、アメリカがHuaweiに5Gを構築する許可を許した場合、それはかつてのアメリカ高度成長の時に、国内の高速道路を作る権利を全て中国に与えるのと同じようなものなのです。

5G=インターネットの高速道路

この重要なインフラ投資の権利が自国以外の所に渡ってしまうと、将来無人運転をささえる5G技術で問題が起こればかなりのリスクですよね。近い未来では、手術の遠距離操作は確実に普及してくるでしょう。命に直接かかわる基盤作りを当然自らの手を作りたいです。

2、 実力と交渉

アメリカの政府は国内企業に対して危険を及ぼす電子部品などの使用を禁止したましたが、これを裏返してみるとアメリカの技術と価格の優位性がなくなってきているからとも取れます。政策で圧力をかけるという切り札を出すしかないという状況に陥ってるかもしれません。禁止令が発表されたのと同じ日に、アメリカはHuaweiを含む70社の企業をブラックリストに入れ、アメリカ企業の部品購入を禁止しました。しかし実際はアメリカ国内の企業は猛反発をしているのです。これについては後ほど触れましょう。


ところで、皆さんはUKUSA協定はご存じですか?簡単に言うと、第二次世界大戦後に情報共有のためアメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの5つの国で作られた協定です。詳しくはウィキペディアを参照ください。英語だと「Five Eyes」とよく言われます。今回の一連の動きについて、この5つの国の中、オーストラリアとニュージーランドはアメリカと同じ態度。カナダはまだ「考え中」。そして今、イギリスに注目が集まっています。(別の意味でもイギリスに注目が集まっていますが・・・)
イギリスのNational Cyber Security Centerの責任者Ciaran Martinが 「Huaweiの中で ”敏感なネットネットワーク、政府の足跡” は存在しない」と表明しています(→BBCニュース)。また米国政府機関の文献にHuaweiがスパイ活動をしていると明確な証拠がない上、中国政府の支援を受けて成長してきたことも確かな事実です。 その他の欧州諸国もイギリスと同じように言っています。

この一連の動きは、中国経済が強くなってきたことで ”本当にやばいぞ” と脅威を感じるアメリカの対抗手段だという風に見えます。かつて2003年に100憶ドルで Huawei をアメリカ企業モトローラに売却する調整が進めれていましたが、契約に調印し祝福ムードのタイミングでモトローラの代表取締役が代わり、取引を白紙に戻しました。その時にすでに衝突の火花があったのです。

最近 NIKE やAdidasなどアメリカにある173社が関税の増税反対に署名し運動を始めました。それほど企業のダメージが大きいことを反映しています。Morgan Stanleyから、この米中の貿易摩擦が続くと世界経済が間違いなく衰退するというのレポートも発表されています。

この覇権争いをどうなることやら、親米な日本もどう対処するのか・・・
そんな中、トランプ大統領が訪日はどういう狙いでしょうか?
ただ楽しく相撲の試合を見るとはとても思いませんね(笑)

長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました。


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