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tableau戦記~俺は円グラフを救いたい~

はじめに


Tableau Data Saber に挑戦中の@N_Ryo1105 です。
この投稿を見てくださっている方は、Tableauに関して調べている方、分析活動に興味のある方が多いのではないかと思います。

私が現在挑戦しているTableau Data Saberでは、Tableau社が提供するTableauを通じ、優れたデータのビジュアル化やデータの扱い方に関するtips、データを通じた企業・組織活動の変革を促すための姿勢面でのレクチャーを多数提供していますので、興味のある方はぜひData Saberにトライしてみてください。

さて、今回はそのData Saberの中で取り上げられている「視覚的分析のベストプラクティス」より、円グラフに関して少し考察を掘り下げてみたいと思います。

何故円グラフなのか?

前述の「視覚的分析のベストプラクティス」では、円グラフについて以下のように述べられています。


一部と全体の間の関係を分析することがあります。 このような場合にはよく円グラフが使われますが、次の 2 つの理由から円グラフはお勧めできません。
1) 人の視覚系はパイの見積もりに不向きであること
2) すぐ隣りのパイ同士としか比較できないこと
たとえば以下の図で、1 番大きなパイがどれで、西部地域における年齢別の割合がどうなっているか、すぐに答えることができますか?

※ホワイトペーパーより抜粋

なかなか厳しい言われようですね。
理屈はもっともで、このグラフを棒グラフにしたバージョンを見ると結果は一目瞭然なのですが、円グラフ自体は比較的カジュアルに使っている方が多いのではないでしょうか。
※気になる方はぜひホワイトペーパーをダウンロードしてみましょう!

今回は、この極力使うなと言わんばかりの円グラフをなんとか効果的に使えないものか?という視点で、円グラフの救済措置を考えてみたいと思っています。

円グラフって、どんな表現のグラフなのだろう?

まずは、世の中的に円グラフがよく使われているシーンで考えてみます。
最初に挙げるのはこれです。

アンケート回答の男女比を円グラフにしてみました。
男性は寒色、女性は暖色で色分けしています。これだけ見ると、「半分ずつなんだろうな」という想像ができるでしょう。

では、このグラフをベースにもう一つ円グラフを見てみましょう。

「その他」という項目を足してみました。どうでしょう。このグラフの状態で、それぞれの項目の比率をぱっと見でも答えることは可能でしょうか?
項目が3つになった瞬間に、どんな構成比なのか急に答えづらくなった気がしますね。

そして、このグラフは実はトラップを仕込んであります。
ここで、グラフの各数字を表示してみましょう。

数字を表示してみました。ご覧の通り、男性・女性・その他の合計が100%を超過しています。
円グラフは円の全体を100%として、その内訳を表示するようにした表示方法ですので、これでは円グラフとして成立していませんね…

これがもし、棒グラフだったらどうでしょうか。

棒グラフにすると、一目で100%を超過している状態なのがわかります。
Tableauではあまりないケースですが、Excel等で手計算している際にうっかりミスしていたりすると、円グラフでは気づけない事象がありそうですね。

以上の点から、円グラフに関しては下記の点が挙げられると考えられます。

①項目は二つまででないと、感覚的にどこが大きいのか分かりにくい。

②ある集計の値の100%に対する割合に限定して明示するグラフなので、100%を超えていても分からない

円グラフを救いたい と思って書き始めたこの記事ですが、ダメな所ばかり目につきます…なんとか使い道はないのでしょうか。

円グラフのいい所を改めて考えてみる

先程のまとめで挙げた2つのデメリットのうち、②はグラフの構造上特に気を付けて扱う必要がある以上のことが言いにくいものの、①は考えようによっては救済できるのでは?と思い、円グラフ救済をしてみたいと思います。

①のデメリットを好意的に考えると、
・項目が二つで、
・100%シェアの比率を表示可能な値の時に、
・片方の項目が明確に大きいことを示す

という条件が揃えば、円グラフは効果的に使えるのではないでしょうか?
例えば、こんな時に使ってみるとか…

お客様のサービス・製品利用に関する顧客満足度を表示してみました。
満足したが圧倒的多数である、ということが視覚的に一目瞭然ですね。
こちらも、棒グラフを比較対象として出してみます。

棒グラフでも、圧倒的に満足度が高いことはよく分かります。
ただ、円グラフと異なり、棒グラフには軸の高さ(上図でいう%のメモリ)という概念が入るため、表示情報がちょっと増えてしまいました。
また、「満足していない」の方がほぼ表示されていない状態になっており、これなら表示しなくてもよいというレベルになっていますね。

先程挙げた棒グラフ化による値を非表示にしてみました。
「満足した」の方が高いことは引き続き分かりますが、これがそもそも「人数」を集計しているのか、「割合」を集計しているのかも分からなくなってしまいました…

このようなケースだと、先程のデメリット②で挙げた、「ある集計の値の100%に対する割合に限定して明示する」という効果が逆に活きていることが分かります。
軸がなくても円グラフは感覚的に「100%シェアである」と認識して読めているので、軸の表示によって視覚情報を増やしたくない時には有効と言えそうです。(あくまで、2項目の表示の時ですが…)

本投稿を書いていて改めて気づきましたが、通販企業のテレビショッピング等ではよく顧客満足度で円グラフ等を出しているケースが多いですね。
棒グラフは比較分析には非常に優秀な反面、棒の長さを示さないと良さが伝わらないという弱点を抱えていますので、言いたいことをより強く伝えるためのプレゼンテーションの時等には有効な表現だということが分かります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
深堀すればまだまだいい所を探すことはできそうですが、今回はここまでで〆たいと思います。

円グラフに限らず、表現の特性を理解してチャートの種別を選ぶというのは非常に大事な視点だと思いますので、ぜひ意識して使ってみてください。

ありがとうございました!

番外編:
Tableau Communityで円グラフをベースにしたタコメーターチャートを作っている方がいらっしゃいました。
こんな気の利いたチャートもできちゃうんです。そう、Tableauならね。



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