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僕らの合言葉はボンジュール。

KAMIJOさんの「Sang」のライブDVDを見ました。

このライブは現地でも見たのですが「楽しかった」「面白かった」以上に「なんかよくわからないけどすごいものを見た」感と一緒に帰りのりんかい線に乗り込んだのを覚えています。決してワールドカップの決勝キックオフ前に家に帰って夕飯とお風呂を済ませたくて、考察やら感想やら言ってる場合ではなかったという意味ではないし、家族に「お前は貴族様よりモドリッチ様なのか」とツッコまれたなどという事実などあるわけがない(あやしい)

KAMIJOさんという人、KAMIJOさんという音楽家に関することは、語りだすと一記事では収まらなくなってしまうぐらい、いろいろな思い入れがあるのですが、私が中学生の時、人生で一番苦しかった時期を支えてくれたのがKAMIJOさんの紡ぐ耽美な世界でした。元々フランス革命の歴史と薔薇の花が好きだったので、すんなり入るどころかしれっと同化する以外の道はなかったように思えます。私の薔薇の世界は、美女と野獣の世界でもなく、港の見える丘公園のバラ園でもなく、ローラアシュレイでもなく、KAMIJOさんという貴族様の紡ぐ耽美な世界。ここ重要です、テストに出ます。

ふざけた話はともかく。今回のツアーはKAMIJOさんの紡ぐフランス革命の時代を舞台にした「Sang」という壮大な物語と世界に沿って行われたもので、KAMIJOさんご自身が「難解でとっつきにくい」とおっしゃられていた物語を伝えるために、ありとあらゆる方法を使っていたのですね。ストーリーパートに声優さんを起用するとか、初音ミクさんにゲストで来ていただくとか。モワティエのドレスを着たミクさん、とても可愛らしかったです。そしてこの「とっつきにくい」一連のお話がこちら。

うん、何度読んでもさっぱりわからん!(満面の笑みを浮かべながら)

ツアーファイナルが終わってネタバレと考察が解禁になったのですが、気になった英単語を辞書で引いて別の意味がないか探したり、気になった歴史上の出来事について調べてみたり、いろいろしてみたのですが、まあ調べれば調べるほど脳内の可憐な妖精さんたちが片っ端からサッパリ妖精に変換されていくだけなので、考えるのをやめて、感じることにしました。アチョーという声にところどころアチャーが混ざってる気がするけど、まあいい。

この物語は「少年王ルイ17世は死んでいなかった」というところから始まるのですが、悲劇的な亡くなり方をした歴史上の人物に「生きていたらいいな」と思いをはせることで、生存説という名の都市伝説が生まれるというのはよくありますよね。日本史でも源義経や真田幸村にそんなお話があります。人の思いが物語になり、理屈を超えた美しいものになるというのは、世界中どこであろうと、いつの時代であろうと、変わらないものなのではないでしょうか。

と、ここまで今年の頭にnoteの下書きに書いて、今の今まで書いていたことすら忘れていたのですが、それ以降もKAMIJOさんのライブには定期的に足を運んでいます。KAMIJOさんとバンドとオーケストラに向かってヘドバンと折り畳みをしてルイ17世の誕生日を祝ったとか、新曲のジャケットの自由の女神を見て「七月革命の話かな」と思ったら「ニューヨークへ行きたいかー!」な展開が降りかかってきたとか、まあKAMIJOさんだからでしか説明できない話が多いんですけれども。最近、ナポレオンやサンジェルマン伯爵にライブ会場における振る舞いをレクチャーされることにも、暴れ曲で煽られることにも慣れてきました。うん、文字にすればするほど意味がわからない。そしてナポレオンは杉田智和さんが、サンジェルマン伯爵は関智一さんが演じられているので、ただただひたすら声がいいということも入れると、ツッコミが追い付かなくなりますが、まあKAMIJOさんなので。

最近、このオーケストラとの共演コンサートの話を同世代のバンギャルさんにすると「KAMIJOさん変わらないですね」「KAMIJOさんならやりそう」「それはKAMIJOさんにしかできなさそう」と、その場で見ていた人間以上にリアクションに困るひとを大量生産してしまうという現象に気づいたのですが、結局のところ作品を見て何を感じるかに正解なんてないんですよね。自分の心が感じた「真実」は自分の中にあるし、それが自分の人生を豊かにするものであるなら、それでいいのだろうと。そう思えるのも、私が周りの好きなものを周りと同じように好きと言わないと、迫害されても文句は言えないという環境から命がけで抜け出したあと、自らの意思で一番最初に「好き」と思ったものが、KAMIJOさんの紡ぐ耽美の世界だったからかもしれません。まあ、好きに理由をあれこれつけるのも野暮なんで、わからないですけどね。

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薔薇の香りのアイスティーに興味津々の子羊ヴァンパイアさん。KAMIJOさんのライブのグッズとして、物販のテーブルの上でふんぞり返っていたのをお迎えしたのですが、どんな構図にしてもヴァンパイア感ゼロの可愛い写真になってしまうので、これもKAMIJOさんの人柄かなと思います。

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