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2019吹田市議選結果から見えるもの

2019吹田市議選結果から見えるもの

10連休はみなさんゆっくりできましたか?

昨日、保育所で久しぶりにお会いしたママ友は、「10連休、夫が仕事でずっとワンオペだった・・・」とかなりお疲れの様子でした(^_^;)

さて、4月21日投票で行われた吹田市議選について、結果をまとめてみました。

議会構成は前回から変化していないように見えるが

 今回は定数36に44人が立候補しました。このうち、トップ当選は大阪維新の会新人の松尾翔太さんで、10,468票でした。最下位当選は、公明党現職の井上真佐美さんで、2,350票でした。維新の5候補が得票を前回26,799票から今回40,102票へと大幅に増加させたことが特徴的です。

 議会構成としては、2015年に失った8議席の回復をめざした共産が7議席で議会第一党を維持する一方、自民が1議席減の6議席、公明が7議席、維新が1議席増の5議席、市民と歩む議員の会が1議席減の3議席、吹田新選会が3議席、旧民主党系の議員でつくる翔の会が1議席減の2議席、初めて立憲民主が2議席を獲得し、無所属クラブが1議席維持でした。

 ただし、前回維新から当選した松谷晴彦議員が任期途中で自民に転籍したこと、市民と歩む議員の会から府議選に立民公認で立候補するために引退した梶川文代議員の議席と、翔の会から引退した澤田雅之議員の議席分を立民が2議席取ったと考えると、一見、議会構成に大きな変化はないように見えます。

中学校給食の改善を求める議員が議会の半数に

 しかし、個別の政策で見ていくと変化が起こっていることに気づきます。例えば、今回市長選と合わせて争点となった中学校給食についていえば、全員喫食と調理方式の改善に可能性が開かれたことです。

 以前の記事(こちら)でも紹介した「吹田の学校給食をよくする会」の公開質問で、「全員が食べるあたたかい給食」と回答して当選したのが10人、自身の選挙チラシに同趣旨を公約として掲載して当選したのが1人(立民の西岡候補)。
 公明党は質問に回答していないものの、これまで会派として「中学校の完全給食の実施を考えた場合に、親子方式の検討を図るように要望」(矢野伸一郎議員、吹田市議会 2017年5月18日)しています。

 つまり、定数36の市議会で半数の18人が中学校給食の全員喫食と調理方式の改善に賛成する議員で占められたことになります。

 再選された後藤圭二市長は、中学校給食について「多くの要望をもらっています。ニーズ調査や実施可能な方式、必要な予算など具体的な検討を始めます」と公約しています。後藤市長が中学校給食の改善を議会に提案すれば、可決できる可能性が高まっています。今後、市長と市議会がこのテーマをどう扱っていくのか注目です。


激戦地域だったニュータウン

 次に個別の得票や結果を見ていくと今回の選挙で激戦となったのが、吹田市内のニュータウン地域でした。

 この地域からは、維新の松尾翔太さんがトップ当選の圧勝。さらに前回は落選した立民の西岡友和さん(前回1,744票→今回4,029票)と木村裕さん(前回1,505票→今回2,437票)が得票を増やして当選し、公明の小北一美さん、自民の白石透さんともほぼ前回並みの得票で議席を維持しました。

 一方、落選した候補のうち2人の現職は、共産の上垣優子さん(前回3,644票→今回2,184票)も自民の松谷晴彦さん(前回4,128票→今回911票)もニュータウン地域を活動地盤としていました。

 共産の上垣さんは学童保育指導員出身で、学童の年限延長や民間委託の問題にとりくんできた議員でした。阪口よしお元市長とも度々並んで演説し、超党派の"共闘"を目に見える形で示しましたが、維新の松尾さんらの得票に影響されたと考えられます。自民の松谷さんは前回は維新から当選し、途中で自民に移っており、多くの票を松尾さんに奪われました。


党派別・会派別での4年前との比較

 投票率は48.20%で前回の49.09%と大きく変わりませんでした。
 市会議員選挙は、党派も関わりますが、「自分が住んでいる地域の●●議員に入れる」「地域の会合によく出てくる●●さんを選ぶ」という傾向や候補者数によって得票が増減することもあり、国政選挙と違って無所属候補も多いことから単純な比較は難しいのですが、得票数で比較すると以下のようなことが言えそうです。

 得票数で比較すると、政党としては維新が前回より13,304票増、自民・公明は前回とほぼ同じ得票を維持、共産が前回より2,042票減となっています。今回は立民が初めて6,466票獲得したものの、前回は民主党、民主党推薦無所属を合わせると17,589票あった得票が、立民と旧民主系会派「翔の会」を合わせても12,021票にとどまり、5,568票の減となっています。
 民主系候補が8人いた前回に比べ、今回は「翔の会」の現職1人が引退し、4人しか候補を立てられない中で、チラシなどで大量宣伝を行った維新に票を奪われた可能性があります。また、一部の共産票や前回は存在した次世代の党など保守系候補、引退した議員などの票も維新に流れたように見えます。

 選挙後、市議会議長の経験のある元議員が、「以前は有力な政治家は、支援者を後援会に入れて親睦を深めて関係をつくり、選挙をたたかったが、今は『維新』というだけで大量得票するので選挙が読めなくなった」と話していました。これまで吹田で活躍してきたベテラン議員が引退、後援会が高齢化する中で、新たな無党派層をどう支持者として獲得していくのか、各議員の課題がこの結果から見えてきそうです。


まとめ 選挙は4年に一度だけど

 2019年の吹田市長選挙・吹田市議会議員選挙は終わりました。このまとめは、あくまで得票を分析しただけで、各候補の政策や演説、宣伝について何が好評だったかまでは検討できていません。
 選挙は4年に一度ですが、議会は定期的に開かれ、そこでは私たちの生活に関わる議案が討議されます。市政は市長や議員だけで動くものではなく、さまざまな住民の声や要望が影響を与えます。今後の市政のゆくえをしっかり見ていきたいですね。

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