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悩ましくも愛おしいプラグイン -2021-

どうも、
プラグインを愛し、プラグインに愛された廃課金者こと「コレナガ」です。
デベロッパの金ヅルに、俺はなる!

今年もいろんなプラグインに学ばさせてもらいました。
ミックスってもはやプラグインとの対話ってとこあるよね。(ない)
ってことで、今年自分に新たな視座を与え、技術・思考共に成長させてくれたプラグインを10個紹介していきます。

一個一個単体のレビューくらい書いてると2023年までかかるので、適当に書きます。すいません。

意味わからないことや、僕の使い方が間違っている点などあったらコメントやDMお願いします。
深堀りしてくれっていうリクエストあったら、単体でもっと細かくプラグインレビュー書きます。

では、行きましょう。
3・2・1 GO シュート!!

Cableguys / Shaperbox2

8つのパワフルなエフェクトが搭載された複合エフェクター。
それぞれのユニットはLFOやオーディオによるエンヴェロープ・フォロワーで簡単に操作が可能。
ドライブやノイズ・ビットクラッシュ・ボリューム。フィルターのみならずパンニングや時間の流れのコントールも可能。
ループ・ビート・メロディ・ベースラインに中毒性のあるフックを追加して、新時代のトラックをキックスタートしちゃおうぜ!!!

ハイパー意訳 https://www.cableguys.com/shaperbox.html

ShaperBox2自体はそんなに新しいプラグインでもないし、使ってる人からするとどメジャーなんだけど、如何せんProToolsのプラグインの規格であるAAXに対応していなかった。
しかし、今年の5月に突如としてAAXに対応。
満を持してのAAXバージョンの登場により、今年は登場頻度が一気に高まった。

いわゆるDJライクなエフェクト・飛び道具的な扱いをされるものの、実は一個一個のユニットの質も高く、LFOの自由度も高いため、しっかりとミックスの下地固めに使える。
LFOを有効にせずに時間変化のないサチュレーター、ビットクラッシャー等として使っても全然良いクオリティだと思う。

自分の使い方としてはパンの頻度が一番高かったように思う。
市販のオートパン系プラグインって実はそんなに自由度なくて、周期くらいしかいじれないんだけど、ShaperBoxのパンの場合は定位も周期も自由に書き換えられるし、サイドチェインも組めるし、Mixつまみもついているから、パッドシンセや壁ギター、コーラス隊などベタつきがちな素材にgrooveを加えるのにすごく役立つ。

パンニングのLFOはテンポシンクさせてもいいし、そのテンポから少し早めると楽曲全体がラッシュして聞こえるようにもできる。細かい変化だが、ここ重要。

プリセットも超優秀なので、「このまま行くと1サビと2サビが全く同じ構成になってしまうが、全く頭にアイデアがない」「落ちサビだから明らかに何かをしないといけないんだけど、全く頭にアイデアがない」的な場面でポチポチしていくと毎回助けてくれる。

特にボーカルグリッチ系のアイデアはStutterEditよりShaperBoxの方がクールで好き。

Voxengo / TEOTE

プロフェッショナルな音楽制作のための自動スペクトラルバランサー。
ミキシング・マスタリングにおける穏やかなレゾナンスの均し、ディエッシング、チルトイコライジングなどの作業を自動で行う。
TEOTEはダイナミックイコライザーではあるものの、技術的にはあくまでもマルチバンドダイナミクス処理に基づいている。
このプラグインは一般的なAIプラグインが行う「カーブフィッティング」ではなく、「サンプルレート×バンド数」分のゲイン調整判定を行なっています。ニューラルネットワークではなく、特定の関数をベースに処理しています。

まぁまぁちゃんと訳 https://www.voxengo.com/product/teote/

「見た目めっちゃダサいんだけど、どのプラグインも高品質で超頼れる相棒」でお馴染みのメーカーVoxengoから発売されているイコライザーTEOTE。
最初のキャラとしては絶対に選ばないんだけど、遊び慣れた友達から「あいつ、結構使えるぞ」との口コミを受けて使い始める、実は有能な格ゲーのキャラに近いものがある。
すいません、スト2もスマブラも通ってないので想像で喋ってます。

話は戻るけど「TEOTE」とは「That's Easier On The Ear」の略である。
日本語で表すならば「ミミナジミ ヨクナ〜ル」
クソダサい。ダサいからこそ信頼できる。
きっと見た目を捨てて音楽に全振りしているはずだ!!

Gullfossやsmart:EQ3などのポップなオートEQに比べると、DAW界隈でも敬遠されがちなのであろうが、実力は段違いである。
というかそもそも設計思想が遥か高みのレイヤーにいるって感じなので、比べることが間違ってるのだけど・・・。

一応個々のトラックでも使えるものの、個人的な推奨はミキシングにおけるマスタートラック、及びマスタリング。
つまり2Mixに大して使うのが適正だと思う。
他社にはないベースの重心、ステレオリンク、ルームdipの設定などがことごとく良く出来ている。特にPeakとRMSで切り替えられるステレオリンクは一気に視界が広がる印象。

ひとつ注意点を挙げるとすれば、このプラグインは欠点を補うものではないということ。つまり素材に対して足りない部分を補ったり、出過ぎた帯域を引っ込めてくれるものではない。

かなりの精度で周波数バランスやゲインステージが整ったものに対して使うと初めて真価を発揮して、ミックス全体に動きを加えることができる。
あくまでもう一段高みへ連れて行ってくれるプラグインと捉えておくと吉。
ここら辺のことはマニュアルの「In-Chain Position」に詳しく書いてあるので、要参照。

Voxengoは他のプラグインも超優秀なので、地味な見た目に耐えられる人はぜひ使ってみて欲しい。

MASTERLAB / DynaQ

レコーディングのバランス調整、クリエイティブなサウンドデザインには、フィルタリングとサウンドシェイピングが欠かせません。
しかし、信号の大きい部分には良くてもその逆には必ずしも良いとは限りません。
ダイナミックEQはかなり昔から存在していて、フィルタリング処理に優れていますが、処理のスレッショルドの以上と以下、二つの信号については少し理解が難しく複雑なフィルターカーブを扱うには適していません。
そこで私たちは非常にシンプルなアプローチでダイナミック・セレクティブ・プロセッシングを開発しました。複雑なフィルターカーブを素早く追加するだけでなく、アナログサチュレーションとステレオワイドニングを可能にします。
私たちはこれをダイナミック・スプリット・プロセッシングと呼んでいます。

まぁ、意訳 https://masterlab.audio/

つまり、設定したスレッショルドより、高い信号と低い信号の2つに信号を分離して、それぞれにEQ・サチュレーション・ステレオ調整ができるプラグインということ。

恐らくわけがわからないと思うので、オフィシャルHPに行って、サウンドサンプルを聞いてみてほしい。もっとわけがわからなくなるだろう。
そこがこの子の魅力というか特徴というか。

そう「何をやってるんだか全く理解できないんだけど、明らかに良くなった!」ができるプラグインなのだ・・・。(?)

ふざけていてもしょうがないので使用ケースの例を挙げると、

・残響もぶっといスネア
→初速の太さは失いたくないが、残響の存在感はオケ中でじゃなのでBelowのローミッドを削る。

・素材ごとに距離感の違うオフマイク
→コンプに突っ込む前に、Aboveの中から大きすぎる帯域は下げ、Belowの中から小さすぎる帯域を持ち上げ、満遍なく空気を捉えた信号に変化させる。

など、大きい部分は良いんだけど、小さい部分は嫌い、もしくはその逆パターンの時に効果を発揮する。
EQはInverseに設定しておくと、一方でブーストした帯域が自動的にもう一方でカットされるようになるので、プラグインの恩恵がよりわかりやすくなる。

それぞれのEQやステレオイメージを設定した後に、Dynaスレッショルドを目を閉じて触って調整するのがコツ。
急に素材がナチュラルに動き出す瞬間があるはずなのでそこが正解。

右側のDynaつまみによって、AboveとBelowの閾値を決める

来年からも活用方法をどんどん考えたいプラグインである。

oaksound / soothe2 [AudioSuite]

soothe2はダイナミック・レゾナンス・サプレッサーです。
問題のあるレゾナンスを特定し、自動的にマッチング・リダクションを適用します。その結果より滑らかでバランスの取れたサウンドが得られ、周波数を手で切り取る手間を省きます。
リダクションは必要な時だけ行われるので、近くの周波数帯に影響を与えることはありません。これにより元の音源の音色が保たれ、透明度の高い処理が実現します。

ちゃんと訳した https://oeksound.com/plugins/soothe2/

さぁ、みんな大好きsoothe2。直訳すると「なだめる2」。
Ver.1の頃から2年ほど使っていたのだが、カッコ書きしている通りProToolsのAudioSuiteとして使うという価値に今年初めて気づいたのでランクイン。

AudioSuiteとはプラグインをインサートとして使用するのではなく、WAVにレンダリングして使用するProToolsの機能である。
恐らく波形ごとにレンダリングしてエフェクトを使う機能は他社DAWにもあると思う。

なぜAudioSuiteで使うのかという理由はふたつある。

ひとつは【PCの負荷問題】
とても使いやすいプラグインで音作りの幅も広いので、ガンガンインサートしたくなるのだが如何せんこのプラグインは重い。GPUも食う。
その為オーディオをレンダリングして、PCの負荷を節約することができるAudioSuiteが有効。
ライブミックスでの下地作りをsootheのインサートで行っていたのだが、PCが火を吹いてやむ無くAudioSuiteで運用し始めたのがキッカケである。
WAVファイルが増えるという欠点はあるものの、CPUの節約に直結する。

もうひとつは【目的意識の改革】である。
AudioSuiteで使う、ということはWAVの書き換えを意味するので、基本的に後戻りはできないし、後々のセッティングの微調整は不可能である(実際はプレイリスト管理しているが・・・)
そうなってくると、sootheを素材の微調整ではなく、「自分がもしこの素材を録音していたらどうしていたか」という視点での操作になってくる。
これが実践してみると案外重要な視点であることに気づく。

キャビネットのマイキングを少し変える意識でsootheでマッドな帯域を削る。
ドラムのトップマイクに角度を付けて距離を離す意識で、高域を削りつつ、MSで駆動させてMS linkを下げる。 など。
インサートで使用していた時はなぜか思いつかなかったアイデアがボコボコ出てくる。不思議だ。

レゾナンス・サプレッサーではなく、ReRecordingとしてsootheを使ってみるの、おすすめです。

Ayaic / Ceiling Of Sound Pro

Ceiling Of Sound Proは、音源編集を効率化し、ミックスのディテールと存在感を捉えるために設計された当社初のHyperEQであり、真にユニークなイコライザーです。また、ノイズのスペクトルをイコライザーの「ノブ」として取り入れた初めてのイコライザーでもあります。

これ以上訳しても意味不明なので略 https://www.ayaicinc.com/cos-pro

は? って感じですよね。
まぁ自分も人に説明しづらいし、説明しても変な空気になるからあんまりお勧めしてないんだけど、個人的に今年一番意識を変えてくれたプラグインなので、ここに書かざるを得ない。

要は、音の最大値を測って周波数カーブを作って、そのカーブをいじくり回すことでEQとしようよっていう思想。で、それをリニアフェイズの31バンドのグライコで行いつつ、そのカーブはピンク・ホワイト・ブラウンのどれかのノイズスペクトラルに基づいた変化にしようぜっていう、マジで意味わからんっていうか、要素多すぎて誰が主人公なのかわからない漫画状態。

一応思想自体は上記の動画でわかるんだけど、プラグインを触ってなんとなく「あー、こういうことかもな。」と思い始めるまでに3ヶ月かかります。
ミックスチェックでの反応をフィードバックして、まともに使えるようになるのにさらにそこから3ヶ月って感じですが、使えるようになると「周波数バランスを満たすとは」という哲学の片鱗を覗くことができます。

自分はこういう対話できるプラグインが超好き。
「俺の思うアコギはこうだぜ!」ってプラグインに提案すると「まぁ俺はこうだと思うけどね」って返してくれる感じ。最高の先生。
これまでのEQとは思想が全く異なるから新鮮。

周波数帯域が満たされていても、トランジェントや歪み感が正しくなければ音楽としては楽しくないんだよってことも、学ばせてもらいました。

Eventide / Physion

Physionは、オーディオ処理の新しい手法である画期的なStructural Effects技術を使用した最初のプラグインです。サウンドをトランジェント・パートとトーン・パートに分割し、Eventideのワールドクラスのエフェクトを使ってそれらを個別に操作し、再び融合させることができます。トランジェントとトーナル・セクションにエフェクトやダイナミック・コントロールを追加できるため、繊細なものから極端なものまで、幅広いエフェクトを作り出すことができます。

だそうです https://store.eventideaudio.com/products/physion

今年Eventideから発売された「SplitEQ」を触ったときに、「いや、使える使えない云々の前に音がシュワつき過ぎて製品としてどうなん。」と思った人いません??
恐らくマルチバンド処理をする際のフィルターによるものなんですが、
僕はその印象が強く、トランジェントとか確かに変更できるけど、それ以前に素材としてあってはならない音になるなーと思って使用をやめました。

で、その時に思ったのが「でもEventideがそんなものを作るのか?」という疑問。トランジェントとトーンを分離する技術を他のプラグインに使っているはずだ!と検索して見つけたのがこのEventide「Physion」
だいぶ前に発売されてたみたいだけど全く気づいていなかった・・・。

シングルバンド処理だけど、トランジェントとトーンをしっかり分離しつつ、それぞれにディレイ・コンプ・リバーブ・フェイザー・EQなどをかけて、再び融合することができる。「え、こっちの方が良くない??」ってことで即導入。
マルチバンドではないので例のシュワつき問題も発生せず。

素材のトランジェントとトーンを整理して下拵えにも使えるんだけど、流石のEventide、プリセットがどれもクリエイティブに狂ってて最高だった。
ドラムのトランジェント成分にだけディレイをかけたり、トーンにだけ馬鹿みたいにコンプをかけて音を伸ばしたり、ベースのトーンにだけピッチシフター噛ませて、ベースをパワーコードに変換したり・・・。

H3000とまではいかないがかなり変態的な音がすぐ作れてしまう。
で、そもそもの購入理由であるトランジェントとトーンの音量バランスを変える、という用途ももちろん優秀。
素材の下地作りからクリエイティブエフェクトまで、振り幅のある設計は流石のEventide様です。

Rasing Jake Studios / Limited-S

Limited-Sは、ミキシングとマスタリングの両方のアプリケーションで使用するために設計された高品質のディエッサー、エンハンサー、ハーシュネスコントローラーです。Limited-Sは、一般的なディエッサーやダイナミックEQ等とは異なるアプローチを採用しています。 Limited-Sは伝統的な、そしてしばしば「スラーピー」なコンプレッサータイプのアタック/ディケイ・レベル検出器を使用しません。 その代わりにLimited-Sは、常に信号のエンベロープを正確に計算する有限インパルス応答(FIR)フィルタを使用しています。 許容できる結果を得るためにアタックとディケイの設定をいじる必要はありません。 スレッショルドとレシオが適切に設定されていれば、ほとんどの場合、ディエッシングの動作は完全にトランスペアレントです。

ありがとうDeepL https://www.raisingjakestudios.com/plugins.html

ということでディエッサー。
自分は単体ディエッサーの不自然な変化が大嫌いです。
マルチバンドコンプレッサーの高域部分だけ抜き出したような、高域を検知して高域だけ叩くタイプのやつ。
そんな音自然界になくね?って感じの奥まり方をしてしまう。

そんな意識から長らく単体でディエッサーと名乗るものは使用せず、
ボブ・クリアマウンテン方式のディエッシングでミックスをしていたところ発見したディエッサーが「Limited-S」
説明にも書いてあるとおり、従来のディエッサーとは異なる検知方式とダイナミクスコントロールを行うため、自然で音楽的な結果を得ることができる。

そして特徴的なのがディエッサーなのに高域のブーストができること。
これによって【高域の密度は高いんだけど、痛い帯域はしっかり抑えられた洋楽っぽい高域】を実現することができる。

Deltaリスニングと、サイドチェインによるコントロール、減衰の最大値を決めることができるのもポイントが高い。
負荷も軽いため、気になったらガンガン挿していけるディエッサー。

個人的には単体ディエッサーはLimited-SとLSRの902以外使わなくなったかな。圧倒的に音楽的。

apulSoft / apUnmask

apulSoft apUnmaskは、音響心理学的に他の成分によってマスクされている音声の成分を増幅するオーディオプラグインです。
これを実現するために、apUnmaskは、高音質音声圧縮コーデックopusの検出アルゴリズムの一部を使用しています。圧縮によって除去されてしまう信号成分を抽出します。apUnmaskは、このマスクされた成分を増幅・整形し、音楽に加えることができます。
抽出された信号の周波数を整形するために、線形位相グラフィカルイコライザーを通して供給されます。このイコライザーの特徴は、オーバーシュートなしにベジェ曲線で平滑化された周波数応答です。
その結果、超現実的なオーディオの形ができあがります。apUnmaskは、マスタリングエフェクトとして、または単一の楽器のためのインテリジェントエキサイターとして使用することができます。

マジ直訳でごめん https://www.apulsoft.ch/apunmask/

これは説明読んでも全くわからないと思うので、とにかくデモってみて欲しい。
仕組みが全くわからないんだけど、直感で動かしていくとなぜか音楽的になっていく謎プラグインである。

そもそもは敬愛するエンジニアTchad Blakeがここのメーカーのドラムリプレイサーを使っていて、そこから検索して見つけたデベロッパなのだが、どのプラグインも異常に安く、異常に動作が軽く、異常に音楽的な音をしている。

開発者が管楽器奏者ってこともあるのか倍音のコントロールがえぐい。
その素材が本来出したかったであろう倍音を勝手にナチュラルに足していって、音を満ち満ちとしたものにしてくれるようなプラグインである。
個々のトラックに挿しても良し、マスターに挿しても良し、な本当に不思議なヤツ。

マニュアルにもあるとおり、原音解析の解像度を左右する「resolution」のノブが肝。これによってサウンドのどの深部までコントロールするかを操作できる。

いつ使ってもその結果に驚かされる刺激的なプラグイン。
やっすいのでとりあえず買っていじくりまわしちゃってください。

Overloud / REmatrix [Rafa Sardina Spaces]

Rafa Sardina Spacesは、ロサンゼルスのAfterhours StudiosでRafaのリバーブチェーンをサンプリングして作られたREMATRIXライブラリです。
彼の18枚のグラミー&ラテン・グラミー・アルバムのリバーブを忠実に再現するために、アウトボードと伝説のEMIミキシング・コンソールを含む全てのリバーブ・チェインをキャプチャしています。
彼はラック・リバーブを通してユニークで独特の色彩を作り出しているのです。

意訳 https://www.overloud.com/products/rafa-sardina-spaces

18回もグラミーを取っている激エグエンジニア、Rafa Sardinaのシグネイチャーリバーブとも言えるRematrixのサウンドパックが発売。

Rafaは、Mix With The Mastersを観ればわかるんだけど、音が良いことはもちろんで、素晴らしい人格者でもあります。
豊富なスタジオ経験から、がっちり音楽の原理主義に乗っ取った基礎体力の高い、どんな環境にも絶対に負けない強い音楽性を持つミックスを得意としています。

そんな彼のシグネイチャーが出るってことだから、もう飛びついたよね。
細かいディレイやモジュレーションによるグルーヴ感・ラテンミュージックで培った空間演出がプリセットに反映されていてもう感動。
パーカッションの動かし方とか、ギターの揺らし方とか本当に素晴らしいんですよ、彼は。
もう、曲がうねるうねる。

使い方としては、IRデータをREMATRIXに読み込んで調整する感じ。
IRの取得段階で、リバーブ後段のコンソールによるドライブ感やEQも一緒にキャプチャしていて、更にそれぞれを単独で弄りまわせるのでIRなのに自由度が高いという最高のやつ。

プリセットにはリバーブに加えてあらかじめDrive / Comp / EQなどが含まれる

仕組みがあまりに良くできているから、ビンテージリバーブ集のDuty Racksも買ってしまったくらい。
Rafaはもちろん良いんだけど、他のIRも探ってみようと思う・

ちなみに無料版のIRローダー、Rematrix playerでも使用できるけど、EQはおろかリバーブの長さもいじれず、読み込みっぱなしでの使用になるので要注意。結局有料でRematrixを買うハメになるはず。

MeldaProduction / MStereoSpread

現代のリスナーは、非常にタイトでパンチの効いたサウンドを渇望しています。MStereoSpreadは音響心理学を用いて、あなたのトラックをリスナーに近づけ、自然で美しい音を保ちながら、物理的に可能な限りワイドでタイトなサウンドに仕上げます。

んー、極めて概念的 https://www.meldaproduction.com/MStereoSpread

仕組みで言えば、コムフィルターを利用したステレオイメージャー。
逆相やディレイを使ったステレオイメージャーではないので、完全なモノラル互換性を持っているのが特徴。

どんな素材でも違和感なく広げられるし、広げ初めの帯域やかかり具合も細かく設定できるので単なるステレオイメージャーとしてもいい感じ。

それに加えて流石のMelda Production、MODを利用すると他の追随を許さない鬼ステレオコントローラーと化す。
MODというのはMelda Productionのプラグインにはお馴染みの、なんでもできちゃうサイドチェイン・LFOといったところ。
入力音の音量やピッチなどあらゆる要素を元に、プラグインのあらゆる操作子が操作できる笑

これを利用すると、ボーカルが出てきた時だけ左右に逃げるピアノとか、ギターソロのフレーズに合わせて左側に逃げるバッキングギターとか、ダッキングやダイナミックEQによる音量や帯域の整理ではない、ステレオ方向の新しい音のマスキングの回避法が実現できる。

ピッチを検出して、その高さに合わせてステレオイメージが変わるとかもできちゃうし、アイデアが追いついていないだけで実際MODの組み方は無限。Melda Production、まだまだ遊びはこれからだ。

余談

いわゆる音を変化させるプラグインではないので、10選からは漏れたものの、今年購入したプラグイン・ソフトウェアで自分なりに重要だったものをさらに3つ。

HOFA / ProjectTime V3

ProjectTime V3は、DAWプロジェクトでの作業時間をモニターするために必要なすべての機能を備えています。
ProjectTimeをDAWのプラグインスロットにロードした後、時間の追跡を開始することができます。測定された時間は、プロジェクトを閉じたときに保存され、再び開いたときに継続することができます。
主な変更点は、DAWで再生が実行されているか、オーディオ信号が検出されたかどうかに応じて、タイマーを自動的に開始する機能です。さらに、複数のセッションで作業し、後で編集することも便利になりました。

簡潔でわかりやすい https://hofa-plugins.de/en/plugins/4u-projecttime/

こっちのレビューで詳細は紹介したんだけど、改めて。

まぁ、案外DAWの作業時間って把握していないことが多くて、それはもちろん時給で動いているエンジニアにとっては精算の面でもよろしくないし、作業効率を意識できていない→成長のきっかけがないっていう面でもよろしくない。

でも作業のたびにtoggle trackみたいなアプリで管理するのもめんどくさいジャーンって時に活躍するのがこのプラグイン。

プロジェクトを起動している時間、再生している時間を選択して記録することで強制的に作業ログをつけることができる。
しかもそのままpdfやスプレッドシートとして出力もできちゃうっていう・・・。
マスタートラックに挿しっぱなしにしておくのが基本的な使い方です。

データのインポートや、ゲインステージング、ボーカルエディットなど、同じ作業をしているはずなのにセッションごとに大きく時間に差があることがやっと把握できて、ワークフロー改善のきっかけができた。

こういうユーティリティプラグインこそ本当に仕事を変えてくれるかもね。
soundflowも然り。

SOURCE ELEMENTS / Source-Nexus

アプリケーションやデバイスを越えて、どこからでもHDオーディオを統合し、ルーティングすることができます。
DAWとZoom、Skype、FaceTimeなどの会議・チャットアプリケーション、iTunes、Spotify、YouTubeなどのオーディオアプリケーションの間で、リアルタイムにオーディオをストリーミングできます。
Source-NexusのAAX、VST、AUプラグインを使えば、あらゆるアプリケーションからタイムラインに直接オーディオを送信したり、録音したりすることができます。

直訳まことにすみまめーん https://www.source-elements.com/products/source-nexus/

要はこのプラグインをインサートした任意のインサートポイントに仮想オーディオデバイスを作成して、そこで音の送受信ができるってこと。

僕はこれとRogue Amoebaのloopbackを使って、ProToolsから直で、MacBookのスピーカーを鳴らしたりairpodsでミックスチェックをしている。

Loopbackの設定はこんな感じ Nexusかの出力をairpodsに送出している

こうすることで、いちいちWAVファイルを書き出さなくても民生機での確認ができるようになるのは楽。

実際問題、モニタースピーカーで作業はするけども、最終的にお客さんはスマホやPCスピーカー、Bluetootheイヤホンで聴く方がほとんどなわけで、そういうコンシューマー意識の作業って必須だよね。

realtimeplayerでDAWの作業画面録画をしている際にDAWの出音をそのまま録音できるし、オンラインレッスンでDAWの出音をそのままSkype等に乗っけることもできる。なんだかんだあると便利。

オンラインで仕事をこなす時代では必須のツールなのだけど、
まぁ導入を躊躇うくらいには高い。買い切り295ドル・・・。

reFUSE SOFTWARE / MULLIGAN

Mulliganは、本物のノブを使ってPro Toolsのプラグインを調整できるスタンドアローンのデスクトップ・アプリケーションです。特別なハードウェアは必要なく、8つのノブが付いたMIDIボックスがあれば、すぐに使用できます。
経験豊富なエンジニアならご存知のとおり、ハンズオン・コントロールは、より速く、より直感的なワークフローを実現します。マウスやトラックパッドでプラグインを1回ずつクリックする操作に縛られる必要はありません。Mulliganは、ハードウェアだけが提供できる方法で、ミックスを把握するのに役立ちます。

https://www.refusesoftware.com/mulligan

他DAWを使われている方からすると意外かもしれないけど、ProToolsをハードウェアコントローラーでぬるぬる操作するのは意外と敷居が高い。
というかEuCon対応商品でないとプラグインのセッティングをいじるのはかなり難しい。

アナログハードウェアの利点って、個性的な音はもちろんあるんだけど、UI的に両手が使えることがかなり大きいと思っている。
クリック操作と比較して単純にスピードは二倍だし、クリック操作じゃあコンプのレシオとスレッショルドを同時に動かすとかできないからね。
で、これはその操作感がProTools上で、どんなMIDIコンでも実現しちゃおうぜっていう優れもの。導入しない手はない。

結局はMIDI制御なので分解能が127しかなく、127以上に分解能のあるツマミをコントロールしたい場合操作感が大味になるのが惜しい。
小数点以下2桁くらいまでコントロールできるプラグインだと、結局artist mix使っちゃうのはあるある。
早くMIDI Ver.2がリリースされてMIDIの分解能が化け物になってほしいなぁ。

フリモノ系のMIDIコントローラーで制御したり、パッド叩いてコントロールしたりできそうで、これからまだアイデアを出していきたいところ。

まとめ

ご覧の通り散々プラグインを試しまくって買いまくっていじり倒してな相変わらずな一年だったんですが、これもひとえに一緒に音楽制作を行っていただいているアーティストさんや、作編曲家さん、ディレクターさん、そして意見交換を行えるエンジニアさん達から得られる刺激のおかげです。

それぞれの立場はあるけど、純粋にいいもの作ろうぜ!メッセージもっと色濃く伝えていこうぜ!で熱を持って意見交換して、新しい音を探し続けらることが本当に幸せです。今年もありがとうございました。
来年も音楽のために喜んで散財します。

お知らせ

レコーディングエンジニアやってます。
今回紹介したプラグインと共に、最高に気持ち良いミックスやってます。

レコーディング・エディット・ミックス・オンラインレッスン等、
全て5000円 / 時で承っておりますので、メール・DM等でお気軽にご相談ください。
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プレイリストはこちらから

ひとつよしなに。
執筆継続のため、noteサポートもお願いします。


以下、読める内容は変わらないですが、課金ゾーンです笑

この記事に課金してもらえると、いただいたお金でコレナガが新たにプラグインを購入し、さらにそのレビューを読むことができます。
これがSDGsです。 よろしくお願いします。

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