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ロシア恐るべし。

 と、大きく出てみたが、風雲急を告げるウクライナ情勢の話ではない。
 それは、娘の一言から始まった。
「ね、ママ。プーチンさんって幾つなの?」
 私は、テレビ画面の池上彰の顔を眺めた。久しぶりに見た彼は、一生懸命世界情勢の話をしていた。そう言えば、知らない。
「幾つなんだろうね」
 私は、娘にそう答えた。
「調べてみるよ」
 私は、ダイニングテーブルの向かいに座った娘にそう言うと、手元のスマホに『プーチン』と入力した。
 検索候補に、私は目を疑った。
『プーチンカレンダー』『プーチンカレンダー 2022』
 何プーチンカレンダーって?
 私は、震える手で(大げさ)プーチンカレンダー 2022をタップした。
 プーチン。
大型犬とたわむれるプーチン。柔道を観戦するプーチン。サバイバル風の服装のプーチン。(流石元KGB、似合いすぎ)リゾートっぽい風景の中の半裸のプーチン。
あらゆるプーチンがいっぱいだった。
中には、ロシア正教の宗教儀式で、寒中でみそぎを行っている写真もあった。寒そう、と言うより、宗教は麻薬って言ってなかったっけ?(言っていたのはプーチンじゃないけど)
「プーチン……」
 画像を見た娘が、ぽつりとつぶやいた。
「プーチンカレンダー、2800円、売り切れ……」
 私も呟いた。今まで、こんなにカレンダーになっている大統領が居るのだろうか。しかも、2020年頃までは、LOFTで売っていたらしい。大体、何故プーチン氏をカレンダーにしようと思ったのか。外貨獲得の為?ロシアのプロパガンダ?
「ママ、何て言うか」
 娘は言った。
「ロシアって、凄いね」
「ホント、おそロシアだわ」
 カレンダーの破壊力に忘れそうになったが、プーチン氏の年齢は、70歳、古希であった。

 私のスマホには、現在も検索履歴が残っている。検索する度に、『プーチンカレンダー2020』が出てきて、私は思わず呟いてしまう。
「プーチン、恐るべし」

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