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なぜ今バーチャルアイドル「ジェムカン」が面白いのか?それはVTuberではないから

この記事は、VTuber界隈を追いかけていたら、いつの間にかバーチャルアイドル「GEMS COMPANY」通称「ジェムカン」を箱推ししていたおじさんが、その魅力をつらつらと書いてみたものである。

ジェムカンは12人のメンバーが所属する女性グループで、全員がYouTube配信を日常的な活動としている。だが正直、知名度はそんなにない。

ジェムカンの中でもっともチャンネル登録数が多いのが水科葵。「音楽系VTuber」として紹介されているのを目にした方も多いと思う。

しかし、メンバートップの水科葵でも、YouTubeのチャンネル登録数は2.2万。チャンネル登録数240万を誇るVTuberトップランナーのキズナアイは別格としても、上位キャラクターは軒並み数十万の登録数を持つのに比べ、決して多いとは言えない。

ただでさえどんどん新しいキャラクターが生まれ、飽きられ気味のVTuber界隈なのに、そこまで人気でもないキャラクターを新しく追いかけるつもりはないよ、とお思いのそこのあなた、ページを閉じるのを待ってほしい。それでもジェムカンをあえて勧めたいのは、彼女たちがVTuberではないからだ。

ジェムカンはVTuberではない

VTuberは流行った、ええ流行りました。あまりに急速に流行ったし、それに伴う言説も乱立したりで、2019年現在、飽きられ感が見えるのも否めない。バーチャルとつけば何でも流行るんでしょ、とばかりに、とにかくバズワード感があった。実際に、VTuberは2018年ネット流行語大賞金賞にも選ばれている。この金賞が、よりピーク感を増している。

しかし、ジェムカンは決して、VTuberの流行に乗っかったプロジェクトではなく、流行の前から慎重に準備が進められてきたプロジェクトである。そのことは、プロデューサー自身が明言している。

世の中面白いもので、私と同じようなことを考える人がいるんだなと思いましたね。会社の中で「GEMS COMPANY」の準備はずっと進めていたのですが、 ちょうど17年12月ころに、Vチューバーが話題になり、盛り上がり始めました。これを見てようやく時代も追い付いてきたなと思い、新年度の18年4月からスタートしようという話になりました。
私が「ドラクエ」から“Vチューバー”アイドルのプロデューサーになった理由

ジェムカンは3DアバターのキャラクターがYouTubeで配信をすると言う活動をしているため、VTuber的に見えるかもしれないが、実際には活動の初期からVTuberと言うワードを口にするのを意図的に避けていた。最近、バーチャルキャストのアバターを制作するにあたり、「VTuber活動も始めた」と言う説明がなされているが、あくまでも画面の向こうに実際に存在する女の子が配信しているのだ、と言うスタイルを現在でも貫いている。

ロールプレイのない入りやすさ

VTuber全体に言えることとして、「キャラを作る」傾向がある。もちろん、現実世界でも目立とうと思うと何かしらのキャラを作らないと難しいのは同じだろうが、ミライアカリの下ネタ芸や、「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」の様な属性てんこ盛りのキャラクターが受けた流れもあるだろう。

VTuber界隈を追っていると、デビューと称して「○○系Vtuberの〜」と新カテゴリを作り出す動きを目にするが、もはやいかに突飛なキャラを作ってそれを演じ目立つかを競う様になってしまっている(「系」じゃねーよお前ひとりだよ)。しかし、各キャラクターごとの細かい設定を覚えるのも正直しんどい。

中には「見た目は美少女、中身がおじさん」と言うVTuberも生まれ、それはそれでバーチャルの可能性を感じて面白いけど(マグロナちゃん最高だよ!)、正直、好き嫌いはわかれるところだ。

一方、ジェムカンにはそう言う、キャラを演じる様なロールプレイはない。各自の得意分野や好きなことでメンバー内の差別化はされているが、決して「設定」ではない。中身が素の女の子で無理していないので、気楽に見れるのだ。「作り込まれたキャラの中の人の素が漏れる」と言うメタ的な楽しみはないかもしれないが、どの動画から入ってもその子の素のリアクションやトークを楽しめると言う安心感がある。

運営が(比較的)安心

先日DWUちゃんが元ア組の皇牙サキをいじっていたが、VTuber界隈の浅い歴史の中でも、ダメな運営企業に振り回されるタレントもいるし、突然活動を停止するキャラクターもいる。

一方、ジェムカンはスクウェア・エニックスがかなり力を入れているプロジェクトの様で、早々に活動休止に追い込まれることはない。各メンバーはタレントとして、でんぱ組.incなどアイドルグループを多数擁するディアステージに所属しているため、そのサポートも受けられるだろう。もちろん、何でも絶対的に安心とは言えないが…。

収益をGoogleに依存していない

YouTubeの広告とスーパーチャットからの投げ銭を主な収益源としていると、Googleの一存に生殺与奪を握られている状態になってしまう。人気を得るために過激な言動をし、そのせいで(なのかは厳密には分からないが)収益化が通らないと言うジレンマに陥っているキャラクターも目にする。

もはや収益化が通らないのがネタと化していた神楽めあ。

一方、アイドルはたとえYouTubeの収益化が通らなくても、楽曲や関連グッズ、イベントの売上でいくらでも回収できるため、YouTube配信では好きなことを好きな様にやっている傾向がある。これも、ストレスなく気楽に彼女たちの配信を楽しめる大きな要素である様に思う。

配信は交流の場。本格的アイドルコンテンツを楽しもう

VTuberのように配信を主体とした活動をしているジェムカンメンバーたちだが、あくまでアイドルであることを忘れてはいけない。アイドルと言えば歌とダンス、ここはもちろん外していない。正統派アイドルソングから、

カッコイイお姉さんたちによるダンスナンバーまで、

幅広いアイドルコンテンツを堪能することができる。

楽曲はスクエニのNieRシリーズの劇伴やアイカツ!シリーズの担当で知られるMONACAが担当。映像はスクエニが本気出した4K対応の美麗なフル3DCGとあっては、見逃すのはもったいないと言うもの。

真に会いに行けるアイドル

会いに行ける身近なアイドルのコンセプトが受けたのは周知の通りだが、それでも現場に足しげく通い、アイドルと交流するには、地理的・時間的な制約は大きく、アイドルにハマるなんで無理だと思っていた方も多いのではないだろうか。

地方住みの筆者など、アイドルの追いかけ方が分からなかった人間にとって、YouTubeというプラットフォームによって、ようやくアイドルは真に会いに行けるようになった。アイドルを追いかけると言う楽しみを初めて体験させてくれたジェムカンには、感謝しかない。

なぜ「バーチャル」アイドルなのか?の答えはこれから

ジェムカンは今のところ、バーチャルならではの可能性を追求するよりは、リアルアイドルとそう変わらない活動をしている。対外活動も、ディアステージ所属アイドルとの共演や、

東京ゲームショーでのMCなど、

リアル世界との共演が多く見られる。

今後は3Dアバターの使用が当たり前の世界になると言う想定で、特にバーチャルならではの理由づけを急いでおらず、技術開発に重点を置いている様にも見える。実際、東京ゲームショーで登壇する際に使われた等身大モニターは、4桁万円するとかしないとか…。

その割に、特に機材をアピールするそぶりもない。あくまで普通のアイドルをイベントに呼んでいるのと変わらないと言うスタンスを取っている。

中国企業もバーチャルアイドルに本格的に投資するというニュースも流れてくるなか、スクエニの仕掛ける技術的なチャレンジが、1年後、5年後、どの様に発展していくのかを見届けることができるのも、バーチャルアイドルを追いかけるひとつの楽しみと言えるだろう。

初心者にオススメのメンバー

企業コラボや新ユニット発表など、毎週の様に新情報が盛りだくさんで飽きさせないGEMS COMPANY。これから入ってみようという方に、まず追いかけたい初心者にオススメのメンバーを紹介してみたい。人気トップの水科葵は外して3人をピックアップ。

珠根うた

黒髪、制服の地味なキャラデザの似合う普通の女子高生で、ジェムカンのセンターポジション。語尾に「そい」を付けるくせが発展して何かにつけて「そいそい」言っているが、決して変な子ではなく、むしろせいいっぱいはっちゃけた結果なのが愛おしい。落ち着いたマイペースなトークは、安定感抜群。

一文字マヤ

ファンからはジェムカンの広告塔との呼び声も高い一文字マヤ。ギャルな見た目だが、特技は英語。トークの引き出しが多く、そつのない対応力もあり、外部とのコラボでは最初に抜擢されることが多い。メンバー内コラボも多いので、一文字マヤの配信を追いかけながら、徐々にメンバーのことを知っていくことができる。メンバーに自作の学力テストを仕掛けるシリーズは、各メンバーの素の反応が見られて楽しい。

花菱撫子

ジェムカンの厄介オタクを自称する花菱撫子。GEMS COMPANYのメンバーでありながら、誰よりもディープなジェムカンオタクでもある。彼女のTwitterをフォローすることで、ジェムカン全体の魅力を知ることができるありがたい存在。オタク早口を駆使した軽快なトークが持ち味の配信では、一文字マヤと同じくメンバー内コラボが多いため、彼女の配信から徐々に他のメンバーを知っていくことができる。他のメンバーの配信のコメント欄に「ぶち上げ花火師」のHNで突入するのも名物。

ハマると沼でファンもディープな個性派メンバーもいるが、おいおい紹介できればと。

現場からは以上です!

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