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コナチャレとは何だったのか

運良くコナチャレに参加できたので一体どんなものだったのかまとめる。
I love コナチャレ。

1. コナチャレとは

コナチャレとは、2018年から2020年の3年間でアイアンマンのアマチュア世界選手権出場を目指す、トライアスロン雑誌Luminaによる企画である。
ハワイ島コナでの世界選手権に出場するためには、世界各地で行われるアイアンマンの大会のいずれかに出場し、年代別で上位に入らなくてはならない。
様々な年齢・競技歴のメンバーが集められ、実力が足りない中でどのようにトレーニングに取り組み、どのようにコナを獲得するか、とにかく四苦八苦するプロジェクトである。

トライアスロン界では有名なTKこと竹谷賢二さんがトータルアドバイザーとして、メンバー達に時に厳しく時に厳しいアドバイスをしてくれる。
マウンテンバイクのオリンピアンであり、2019年に8回目のコナに出場した名実ともに豪華すぎる先生である。
コナチャレでは3ヶ月に1回、フィードバック会と呼ばれる会があった。
そこではメンバー達によるトレーニングやレースの振り返りと、それに対するTKのアドバイスが聞けた。

イケオジ、、!

2018年当時、自分はショートのトライアスロンに慣れてきた頃で、いつかロングの世界に足を踏み入れたいと思っていたところでこの企画である。
迷わず申し込み、運良く補欠メンバーとして選出された。
2020年までの企画なのでもうとっくに終わっているが、貴重な経験だったので振り返る。

2. プロジェクトの様相

やる気に満ち溢れた1年目

コナを目指して参集したメンバー達。
実力はこれからだがやる気は十分。
それぞれ競うように練習し、競うようにSNSで報告する。
フィードバック会の後の飲み会でも、
「コナは特別なところ」
「コナに何としても出たい」
「コナのために時間と労力を割く覚悟がある」
「コナに向けてこんなにトレーニングしている」
と熱い話が飛び交う。
熱量の塊。
そんな中、6月にメンバーのアッキーがあっという間にコナを決める。

おいおいマジかよ、、とみんなに動揺が走り、
そして後に続けとプロジェクトは更に熱狂に包まれていく。

僕はと言うと、1年目はまだショートのレースが残っていたのでアイアンマン対策はまるでしていないという、補欠に値する生活を送っていた。
しかしレギュラーメンバーに威勢よく発破をかけるというプロレスごっこをやっていたところ、それが目立ったのか記事に取り上げられた。
作戦勝ち?である。

明暗分かれる2年目

2年目になるとみんな実力の伸びも鈍化し、アイアンマンで上位に入る実力をつけるのは生半可なことではないと実感し始める。
頂上まで駆け上がればすぐ登れるかもしれないと期待していた山が、いざ登ろうとしてみたら歩くのすら困難な斜面だったという感じだろうか。
自分の実力と成長率に対して目標タイムが遠すぎる。
その現実を目の当たりにしてトーンダウンしていくメンバーが増え始める。
次にコナを獲るメンバーは果たしているのだろうか。

しかしそんな中、アイアンマン台湾でメンバー達が奮闘を見せ、なんと3人がコナスロットを獲得。
孫ちゃん、ケンケン、東度さん、おめでとう。

この奮闘により他のメンバー達に再度火がつく。
次はこの俺、この私。

一方コナチャレ2年目の僕はアイアンマンケアンズで見事撃沈し、ほろ苦いデビューを果たしたのである。
アイアンマンしんどい。

全てが中止になった3年目

そして3年目は2020年。
そう、新型コロナが蔓延するのである。
これによりもれなく世界中のアイアンマンレースが中止となる。
フィードバック会はオンラインとなり、目標レースが未定のためコロナ禍での近況報告会と化す。
生活そのものが一変してしまったこと、
レースのない中でモチベーションが低下したこと、
様々な理由によりトレーニングを辞めてしまうメンバーも目立ち始める。
そして遂にレースに出られないままプロジェクト期間が終わる。

僕も当然そのまま終了。
3年のうちにコナは獲れず。
自分のコナチャレは失敗に終わった。

3. 自分にとって

大した見せ場もなく失敗に終わったコナチャレだが、トライアスロン人生において糧になったのは間違いない。
現時点でのアイアンマンに向けてのトレーニングに対する考え方はこんな感じだ。

砂の城を築く

突然たとえ話になるのだが、トライアスロンのトレーニングは砂の城を築く行為だ。
砂浜でも砂場でもイメージしてほしい。
砂で大きくて強固な城を建てるとする。
ここでは少しずつ砂を盛って大きくしていくのがセオリーとなる。
気を付けるべきなのが、勢いよく砂を投下すると城は崩れてしまうこと。
また一点集中で細くて高い城を作ろうとするともろい城になってしまうこと。
そして放置すると風で少しずつ崩れてしまうこと。
そんなルールの中で自分の目指すサイズや形の城をいかに築いていくか。
それがトライアスロンに取り組むということ。
端的に言うとトレーニングの原理原則らへんの話。

自分なりの攻略法

いかにして砂の城を築くか。
3年間で痛感したのが、怪我をしないのが一番ということ。
無事是名馬。
以下4つに関しては大きく意識が変わった。

  1. ベンチマーク → 積み上げ
    目標タイムから逆算して、伸び率やトレーニング内容を設定していたら怪我を量産する結果となった。
    またコナ常連の先輩方の練習量を参考にしてトレーニングをしても怪我を量産した。
    今のスピードよりちょっとだけ上、今の練習量よりちょっとだけ上、とかなり小幅な成長で一段ずつ上っていくようにしたところ怪我は減った。
    それでコナに届くのかと言われると痛いところだが、逆算してあれこれ考えるより目の前の一段を小さく上っていく方が性に合っていたようだ。
    どちらが上手くいくかはかなり人による気はする。

  2. 練習量 → 回復量
    練習量、例えば週22時間、バイク月間1000km、ラン月間250kmのような量で設定していたらやはり怪我をした。
    当初はこれくらいできなくて何がコナか、と思っていたが疲労を溜め続ければ怪我をするなんて当然の話。
    元気になったら次の練習をする、くらいの意識にした方が怪我が減るばかりかパフォーマンスも上がりやすかった。
    練習量が少なくてパフォーマンスも良いとは何ともお得。

  3. オールアウト → 腹八分
    出し切る練習をしてこそ強くなれると思っていたが、怪我のリスクはどう考えても高かった。
    それより大事なのは次の日も元気に動ける状態でいること。
    限界に挑戦するのはレースだけで良い。
    よく複数人でキツめの練習をした時に、
    「一人ではできない良い練習だった」
    と耳にするが、
    個人的には一人でできない練習などやるべきではないと思う。

  4. トライアスロンの時間 → トライアスロンの生活
    以前は、さあ練習だ、とトライアスロンにかける時間を楽しんでいたが、
    徐々に生活の一部のような意識に変わっていった。
    日常の食事や睡眠もトライアスロンのタイム向上に繋がるし、
    朝の自重トレーニングや夜のストレッチも続ければ立派なコンディショニングになる。
    練習外での立ちっぱなし座りっぱなしは筋肉疲労の原因となるし、
    姿勢の良し悪しや仕事の終了時間も疲労感に影響する。
    練習は大きな要素だが、他の要素があることを意識して柔軟に上げたり下げたりするようになった。

4. 自分以外にとって

ここは反省点だらけなのだが、自分以外にとってのコナチャレの意味をあまりに考えていなかったと思う。
まずコナチャレにはスポンサーがいた。
企画のトライアスロンLumina、メインスポンサーの株式会社メイクスを始め、

各種目の測定施設、

他にも機材やサプリメントの提供があった。

そしてこのプロジェクトを様々な視点で見ているトライアスリート達がいた。
その点で意義のある活動ができたかと言われるとかなり自信がない。
1年目に記事であれこれ言った割には目立った実績もなく、大した発信もしていないのである。
そして微力ながら発信していたブログは消えた、、
もっとコンテンツ化、ネタ化していかないといけなかったと今では思っている。
レベルは高くなくとも、挑戦すれば発信することはいくらでも出てくる。
メイクス所有の不動産を購入するとまではいかなくても、メンバー内でもっと盛り上がることはできたし、アンバサダー的にリアルやSNSで絡んだり発信することもあと何倍もできた。
トライアスロンを盛り上げるという意味では何も遅くないので、今からでもできる範囲でやっていこうと思う。

まとめ

トライアスロン人生の糧になったコナチャレ。
メンバーの熱い取り組みはもちろん、途中でトーンダウンしたことも、最後は虚しく終わったことも、全部含めて好き。
まだまだチャレンジしていきます。

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