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2022 IRONMANケアンズ レースレポート

6/12 アイアンマンケアンズに出場した。
そしてコナでの世界選手権の権利を獲得した。
遂にコナチャレ成功。

1. トレーニング

とにかくコナを獲りたい中で、自分が克服しなければならない課題は怪我と時間耐性。
怪我に対しては、欲張らずに練習量を減らし毎日の自重トレーニングとストレッチに時間をかけた。
時間耐性に対しては、週末に長時間の練習を行った。土曜アワイチ、日曜3hジョグが定番。
スピードやボリュームはある程度捨てて、怪我しない、時間耐性をつける、を最優先に練習した。
詳しくはこちら。

2. 目標タイム

練習をしていく中で見えてきた目標タイムは

スイム 1:05
T1 0:05
バイク 5:00
T2 0:05
ラン 3:15
合計 9:30

全てハマればギリギリ届くかどうかという感じ。
グッズや補給作戦の面でも対策をしてきた。


過去のケアンズのタイムを見るに、9時間30分では10位前後。
M30-34のスロットはおそらく5-6個なので本来10位では厳しいが、コロナ禍でスロット保有者が数人いることを想定して10位までならロールダウンの可能性はゼロではないと判断。
なので背伸びして9時間20分を目指すのではなく、狙うのはあくまで9時間30分。
その上で運が良ければ7-8位、順当にいけば9-10位といったところ。
まとめるとケアンズでのM30-34はこんな年代。

9時間切り→ 1-2位
9:00-9:10 → 3-4位
9:10-9:20 → 5-6位 = 自力コナゲットライン
9:20-9:30 → 7-10位 = ロールダウン待ちライン
9:30以降 → 大勢 = また来年

3. コンディション

当日朝、気温は思ったよりも暖かく、そして何より波が穏やか。
ケアンズの波の具合を知っている人からすると、さざ波だったプール程度だ。
寒さとスイムが苦手な自分としては絶好のコンディション。
栄養も水分もバッチリで、身体のコンディションも上々。
プロがスタートし、スイムの得意なエイジグルーパーがローリングスタートし始め、あっという間に自分の番。
長い1日が始まった。

4. スイム

作戦「脚を大事に」
少ないキックで心拍を上げない泳ぎを心掛ける。
とにかく抑えめに。
泳いでいると見た目通り波は穏やか、しかしそれでも押されて身体がブレる。
まだまだ泳ぎが下手なことを再確認。
その中でも良かったのは、2呼吸に1回のヘッドアップで迷子にならずに泳げたこと、キックをほとんど打たずに元気な脚で終えられたこと。
キックはヘッドアップ後に1回のみだったので、言うなら0.5ビート?
やや抑えすぎたのか、腕もそこそこ残っていたので点数つけるなら85点。

スイム 3.8km 1時間5分14秒(目標+14秒)

5. バイク

作戦「パワー出さずにスピード出せ」
オージーにパワーで勝てないことは分かっているので、ならばエアロで勝つ。
淡路島で練習したエアロなフォームをできる限り維持する。
周りの誰よりも頭を低く身体を小さく保つイメージ。
35km付近の平坦でやや格上に見えるライダーが抜いていき、そこで自分も思い切ってペースを上げる。
心拍が上がり、ペーサーにするのは無理かと思ったところ、ローリングヒルの上りで追い越す。
体重差があるようで、下りで追い越され、また上りで追い越す。
その一連が楽しくなってきて、ハイな気分、ハイな心拍のまま後半に。
当然そのツケは回り、ラスト30km向かい風ゾーンで脚が売り切れる。
腰も痛い。ピンチ。
一旦パワーを抑えて回復を待つ。
そしてエアロフォームの気持ちを入れ直す。
誰よりも小さく。
脚以外を総動員してスピードの落ち幅をできる限り減らす。
その甲斐あってか最後は少し持ち直す。
やや無理をしたがアワイチのおかげで潰れずに済んだ。
思っていた実力の少し上を出せたので110点。

バイク 180km 4時間58分1秒(目標-1分59秒)

6. ラン

作戦「心拍低く、腰は高く」
10.5kmを4周のコース。
3時間走れるであろう強度を体感で3km走ってから数字を確認。
ペース4:40/k、心拍160bpmと絶妙に想定通り。
ここからは腰が落ちないようフォームを意識しつつ、飲み食いしながら体感を頼りに走るのみ。
本気を出すのは3時間を過ぎてから。
ケアンズ市街の人情味溢れる応援を受けながら、機械のように淡々と走る。
今が何位だろうと、前後に誰が走っていようと、体感出力から上げも下げもしないのが一番早くゴールできる。
そう言い聞かせて遂にラスト1周、無理したバイクが祟り太ももがピクピクするが苦しさはない。
そして3時間のアラームが鳴る。
強度を上げる。身体はまだ言うことを聞く。スピードも上がる。
泣いても笑ってもあと3kmでレースは終わる。
最後だけ振り絞ってゴールに駆け込む。

You are an IRONMAN!!

3周目で少しタレたが、バイクで脚を使いすぎた事を考えるとランパートとしては100点。

ラン 42.2km 3時間16分3秒(目標+1分3秒)

7. 結果

トランジション込みの記録は9時間26分45秒(目標-3分15秒)。
100点。
そして年代順位は10位。
目標タイムは達成したものの、年代10位はコナに伸るか反るかのボーダーライン。
実力発揮でいうと満点だったので、上位9人に対しては完全なる実力不足。
世界とはまだまだ圧倒的なレベル差がある。
気温や波のコンディションが良かったのでタイムが出やすく順位は予想の範疇。
それでもロールダウンは完全に運任せか、とあまりに妥当な現実にやや消沈する。
冷静に考えて、自分までコナが回ってくる可能性は20%くらいだろう。

8. ロールダウンセレモニー

20%の淡い期待でセレモニーに出席。
順番にコナ獲得権利者が発表され歓声が上がる。
呼びかけに応えず権利がロールダウンするとどよめきが起こる。
親しいメンバーが逃す。チームの先輩が獲る。
その光景を見ているうちに20%はどこへやら、気がつけばドキドキが止まらない。

M30-34の発表が始まる。スロットは6つ。よし。
権利者は2人はいるはずだから、あと2人分ロールダウンすれば自分に回ってくる。

1人目、応えない。
2人目、、応えない。
3人目、、、応えない。よし!
4人目、、、、応えない!来た!!コナゲット!!!

もしかしてコナって30代に人気ない?と一瞬思ったのはさておき(結局ロールダウンは11位か12位まで)、コナゲット!!!

時間を費やしてきただけ感動が込み上げる。

3年前のケアンズでは惨敗した。
新型コロナでレースが無くなった。
繰り返し怪我に悩んだ。
ロングのタイムが伸びなかった。
コナチャレが失敗のまま終わった。
それでも地味な対策を続けてレースに備えた。
出せる実力をピッタリ出し切ってロールダウンで滑り込んだ。

ついにコナに行ける。
コナチャレ失敗が成功に変わった。

まとめ

3年後、夢は現実に変わるか?
そこからスタートしたコナチャレ。
自分の答えは否だった。
しかし5年間で、失敗しても辞めなければ少しずつ成功に近づける、と身をもって経験することができた。
この経験は人生の大きな財産になるだろう。
あとはコナまで怪我なく駆け抜けるだけ。

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